Oculus近藤氏によるVR開発奥義伝授講義 #UnrealFest2016 #UE4 #Rift
2016年10月1日、パシフィコ横浜にてゲームエンジン「Unreal Engine 4」の大型勉強会である「UNREAL FEST 2016 YOKOHAMA」が開催された。Unreal Engine 4はOculus RiftやHTC ViveなどのVRゴーグル向けのコンテンツ開発も可能であるため、本イベントでもVR関連の講演があった。
今回はそれらの中で、Oculus社Oculus Partner Engineering Specialistとして開発者の支援を行っている近藤義仁氏による、VRコンテンツ開発にあたって留意する点をまとめた「VR開発奥義」の講演を紹介していこう。
牡蠣とカレーの話
2013年からVRコンテンツの開発に携わり、その過程で様々なVR体験をしてきた近藤氏。体験したVRコンテンツの中にはVR酔いをはじめとした様々な不快感を抱くものも少なくなかったようで、VR体験を生牡蠣に例え、「食べてみて、当たらなければ美味しいが、当たってしまうと辛い思いをする。もし、初めて食べた人が当たってしまったら、2度目以降挑戦しようと思う人は少ないだろう。」と述べ、VRのさらなる普及のためにもVRコンテンツ全体の品質向上を訴えた。
また、VR酔いなど、VR体験で受ける影響には大きな個人差があるものの、快適な体験を求めすぎてゲームが面白くなくなるのもいけないので、レーティングを行って、初心者には甘口なものから体験してもらうのがいいだろうとカレーに例えて述べた。
視覚によるプレゼンス
続いて、プレゼンス(=実在感)を損なわないために視覚的な面での技法や注意点が語られた。まずはカメラについて。物語や演出上の都合があったとしても、可能な限りカメラの主導権は体験者に握らせておかなければならない。
また、カメラの位置つまりプレイヤーの視点をどこに定めるのかということについて、一人称視点だと酔いやすく、反対にプレイヤーキャラクターなどを見下ろすような三人称視点が酔いにくいという。
さらにダメージを受けた際の効果などで頭が揺れたような映像になると、非常に酔いやすくなるという。これには視覚誘導性自己運動感覚(Vection)というものが関係しており、一定方向に運動する物体を見た時にあたかも自分がその方向に運動しているかのような感覚を抱くことである。水平線を無くすことや、コックピットを描画して視覚情報量を軽減することによって酔いにくくすることができるであろうとのこと。
また、酔いやすいカメラ運動というものもわかってきており、なるべく静止状態に近い、加速度を感じにくい状態であると酔いにくいようだ。
今回の講義では、サウンドやキャラクター、操作方法によるプレゼンスなども語られたが、これらの内容も含めて、より良いVR体験を実現するための要点をまとめた記事が近藤氏本人によりQiitaに投稿されているので参照してほしい。
なお、10月5日よりSan JoseにてOculus社による開発者向けイベント「Oculus Connect 3」が開催され、PANORAでもレポートを行うので要チェックだ。
(取材・文/久道響太)
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