Oculus Riftの9万4600円って高い? 「Tokyo VR Meetup」CES報告会で識者が激論
1月25日、VR専門のインキュベーションプログラム「Tokyo VR Startups」と、VR・パノラマメディアの「PANORA」は共同で、「Tokyo VR Meetup #01 CES報告会 & VRスタートアップの可能性」というセミナーを開催しました。場所は、東京・お茶ノ水のデジタルハリウッド大学駿河台キャンパス。
「日本のVR開発を加速させる」を目的に毎月開催するイベントで、今回は「Tokyo VR Startupsに聞くVRスタートアップの可能性」、「記者が語るCES 2016 VR・ARの注目はコレ!」という2つのプログラムを実施。集まった170名を超える来場者と熱気あふれる2時間を過ごしました。
「Tokyo VR Startupsに聞くVRスタートアップの可能性」では、投資プログラムに選ばれた5社から2社が登壇。IcARusの代表・村上熙さん(左)は、VRHMDでドローン目線を再現して、空中戦できるゲームを制作しています。ドローンはなんと自作!
桜花一門の代表、高橋建滋さん(右端)は、時間を止めて登場キャラを救う「セツナセーバー」というゲームを製作中。「お金を払っても現実で体験できないこと」がコンセプトで、展示会でありがちな数分で終わるデモではなく、20時間は遊べる内容に詰めていくそうです。
「記者が語るCES 2016 VR・ARの注目はコレ!」では、ジャーナリストの西田宗千佳さん、週刊アスキーの伊藤有さん、MoguraVRのすんくぼさんという、CES 2016を取材した3名が会場の見どころを語っていました。
本記事では、「記者が語るCES 2016 VR・ARの注目はコレ!」で語られた「緊急討論!! Oculus Rift 9万4600円ってどう?」というパートをまとめていきます。
まず西田さんが、「僕とイトーさんは『Oculus Riftのスタートの段階で安いはずがない』と前から意見が一致していた」と切り出し、「さすがに599ドルが日本の価格で9万4600円になるとは思ってませんでしたが、あえて安くする必要はないよねという話をしていた」と続けます。
理由としては、第三世代の試作機である「Crescent Bay」を体験したあたりからOculusの方針が明確に変わってきたことを指摘していました。
初代の開発機であるDK1では、「使用するPCのスペックもそこまで高くないし、パーツもスマホ用の安いやつで、『Cheap But Best』を目指しているのが伝わってきた」とのこと。
それがCrescent Bay以降は、最初からいいVR体験を出さなければという方針に変わって、どんどん中身をつくり変えてハイエンド化していったという。「いい体験を実現するためにPCの処理性能が必要なのであれば、HMDを安くしてクオリティーを下げても仕方がないよね、ということになったのではないだろうか」と西田さんは予測していました。
イトーさんは、「Oculus Riftをきちんと遊ぶことを考えると、そのPC環境に20万円とかめちゃくちゃ金がかかる。だからOculus Riftが例え2万円だったとしても、全体で22万とかかかってしまうので、その時点で買えない人も多い」とコメント。
すんくぼさんは、「CESの会場やパーティーで出会った人に価格を聞いてみると、『そんなもんじゃないの』という声が多かった。ただ、『買うの?』と聞いたら、『買わない』と。傍観している人も多いのかなと」と語って、会場を笑わせていました。
さらに一歩進んで、「アーリーアダプター向けの商品としてはそんなもんかなと思うけど、事前の期待値のコントロールがうまくいってなかったのでは。Oculusの創業者であるパルマーさんが夏頃から情報をぽろぽろ出して期待が高くなったところに、予想を上回る価格で出たフラストレーションがある」と、ユーザーの心境を代弁します。
会場にて挙手でアンケートを取ったところ、「高い」と感じる人が「妥当な値段」よりも多かった。
最後に西田さんが、「今、ボトルネックになってるのはGPUのパワーだけど、18ヵ月もすればPC向けは相当性能が向上する。インテルの独立ではない内蔵グラフィックが18〜24ヵ月後には『Oculus Ready』になればいいなと。そのときに、改めて200ドルとかの価格で出ればいい」とまとめていました。
第2回となる「Tokyo VR Meetup #02 Vision VR/AR Summit報告会」は、2月24日に開催します。Peatixページから参加を申し込めますので、ぜひお早めに席を確保ください。
(文/Minoru Hirota)
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