VRやモーキャプの機材が「無料使い放題」の衝撃 リクルート、アドバンスドテクノロージーラボがオープン
リクルートテクノロジーは6月15日、同社の社内に自社で運営するオープンイノベーションスペース「アドバンスドテクノロージーラボ」(ATL)をオープン。プレス向けに発表会を開催し、ATLの概要を説明すると共に、設備などのお披露目を実施した。
リクルートテクノロジーはリクルートグループの機能会社で、グループ横断でITとネットマーケティングを提供し、テクノロジーの開拓と実践展開、運用を担っている企業になる。これまでにも、千葉ロッテマリーンズとのタイアップによる夏のマリンスタジアムでのプロジェクションマッピング(2013年)やスマートグラスなどを使った「未来レストラン」(2014年)、VRを使った「未来アミューズメントパーク 〜視覚・聴覚・触覚を刺激する、VRを超えたスーパーVR体験会〜」(2016年)といったイベントを企画してきた。
リクルートテクノロジーは最新技術を使ったイベントを開催してきた。
今回オープンしたATLは、恵比寿にあるリクルートテクノロジー本社に併設される施設。テーマブースとして「モーションキャプチャースタジオ」と「クロマキー撮影ルーム」、「VR開発大型ブース」の3つが常設されており、さらにHTC VIVEやHoloLensといった機材がレンタルで利用可能だ。
利用できる設備や機材の概要。
モーションキャプチャースタジオは、OptiTrack社の機材を使い、8×4メートルのスペースで大人2人が同時にキャプチャーできるスペース。発表会では、殺陣師のデモンストレーターに機材を装着して、モーションキャプチャーを行なうデモを披露。殺陣師には37個、刀には4つのセンサーを装着して、殺陣師の動きをキャプチャーしていた。
モーションキャプチャースタジオでは殺陣師によるデモを実施。
殺陣師に装着されていたセンサー。
高価なモーションキャプチャー設備が無料で利用できるのがポイント。
クロマキー撮影ルームも全身をしっかりと撮影できるスペースを確保。発表会ではATLに機材として用意されているモーションシートの「SIMVR」を設置して、HMDの内容に合わせた映像を合成するデモを展示。またVR開発大型ブースには、MSIのバックパック型PC「MSI VR One」が4台用意されており、VRゲームが楽しめるようになっていた。
イベントにはゲストとして、タレントでプログラマーの池澤あやかさんも参加。
クロマキー撮影ルームを体験する池澤さん。
周囲の映像を合成することで、HMDを装着している人以外も状況がわかり楽しめる。
バックパック型PCの「MSI VR One」も無料で使用できる機材のひとつ。
これらのテーマブースや機材は、VRコンテンツなどを開発したい人に向けたもので、ATLの客員研究員として登録すれば、無料で利用可能。施設を利用して開発、制作したアウトプットは、ATLのウェブサイトにて公開する権利をリクルートテクノロジーが有するもの、著作権ほかの権利は一切主張せず、自由に使えるのもポイントです。
今回の発表会ではコンテンツや機材運用についてハシラスが協力しており、安藤晃弘氏が各ブースを解説した。
先端技術に取り組むエンジニア・クリエイターを支援したいとのこと。
発表会に登壇したリクルートテクノロジー執行役員CTOの米谷修氏は、ATLの開設について「VRなどの最先端の機材や開発環境は高価なので、学生や一般のエンジニア、クリエイターには敷居が高い。せっかくアイディアを思いついても実践する場がない。そこで気軽に最先端の設備が利用できる施設を用意した」と説明しています。
ATLについての概要を説明するリクルートテクノロジーの米谷修執行役員CTO。
先端技術を研究する人たちと共生を目指すのがリクルートテクノロジーの狙い。
客員研究員として登録することで無料で施設を利用できるため、リクルートテクノロジーには直接、事業的な旨味はなさそうだが、「先端を志向するエンジニアともに進化していくこと」(米谷氏)で、最先端の技術を研究している人や企業といち早くつながりを持つといったことが狙いとのこと。ATLでは今後、コンテストや公募形式のプチイベントを予定している。
客員研究員の登録はすでにスタートしており、施設の利用は6月26日から。施設のオープン時間や利用規約などは、公式サイトに記載されている。VRを使って大がかりなコンテンツや機器を開発しようと考えている人や企業はチェックしてみよう!
(TEXT by Satoru Nakayama)
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