【連載】神足裕司 車椅子からのVRコラム 「Oculus Go使ってみた」 編
1ヶ月ちょっと前、「Oculus Goを買ったよ」とか「いま注文している」そんなことをよく聞くようになった。その知人たちの話を聞くと「寝室がアイマックスシアターになったみたいなんだよ。大画面で映画を毎晩見てる」とか「用もないのにルーム(VR上に設定されたチャット空間)に集ってはなしてるよ」とか「便利」「楽しい」「手軽」「コストパフォーマンスがよい」など、悪いうわさを聞かなかった。
友だちが「Oculus Goの一番の目的がNetflixの視聴だ」と言っていて、がぜん欲しくなった。
今のボクには簡単な設定でもなかなか難しく、ゲームなど俊敏さを必要とするものは一人では難しいが映画を観るならできるじゃないか。それに我が家の夜はだいたいNetflix三昧なのだ。いつごろだろうか、TVもリアルタイムではほとんど観なくなった。みるのは日曜に家族で食卓を囲む夕飯時ぐらいのものだ。あとは録画したものを観る。あとはネット配信のものを観ることが多くなった。一話終わると次、またその次の回。あっという間に全10話。
「そういえばこれ観たかったんだよな」そんな映画もNetflixにはたくさんある。Oculus Goを装着すればそこは大画面の映画館になる。VR効果だ。音もサラウンドのよう。
いいものみつけたなあと嬉しくなる。ボクの場合は、ベッドの上で天井を向いて寝ていてもそこが正面になる。しかも大画面! それだけで価値がある。
ほかにもVRゲームや遠隔地の人とバーチャルに会って会議もできる。無駄話もできる。
もちろん遠い地の友だちと一緒にゲームだってできる。ゲームをしながら話だってできる。
Hなソフトだって誰にも知られずゴーグルの中の秘密として見られる。
ボクが大変気に入っていることがお分かりいただけただろうか。
いままでのVRゴーグルと大きく違うのはスマートフォンやパソコンがいらないこと。単体で済むことだ。この手軽さはVRの初心者にはもってこいだ。VRというわからない世界だけでなく、もれなく大画面の映画館がついてくると思えば大変お得だと思う。イヤフォンもケーブルもなにもいらない。接続もスピーディー。
「これで2万円代。安いなあ」(税込価格:2GB 23,800円、64GB 29,800円)そう思った。スマホを使い始めたころの「いじっていたい」そんな衝動と似ている。VRでなにか新しい世界が始まるような気がしていたが、それはぐっと身近で手軽になったような気がした。「コレ、みんな楽しいっていってる?」市場に詳しい友人に聞いてみると「神足さんはIT業界やテック系にお知り合いが多いからお友達が持っていらっしゃるけど、まだ一般的な家庭に普及されるまではいってないですよ」そういわれた。
けれど、ボクは「もうすぐ誰でも持っているものになるんじゃないだろうか、これの進化系が。」と思っている。
●著者紹介
撮影:石川正勝
神足裕司(こうたりゆうじ)
1957年、広島県出身。黒縁メガネ・蝶ネクタイがトレードマークのコラムニスト。「金魂巻(キンコンカン)」をはじめ、西原理恵子との共著「恨ミシュラン」などベストセラー多数。2011年にクモ膜下出血発症。1年の入院生活を送る。半身マヒと高次脳機能障害が残り、要介護5となったが退院後、執筆活動を再開。朝日新聞をはじめ連載も多数。最新刊は「一度、死んでみましたが」「父と息子の大闘病記」などがある。
●撮影協力
・秋葉原プログラミング教室
福岡俊弘氏/掛川和宏氏
●関連リンク
・Oculus Go
・朝日新聞デジタル 連載 コータリンは要介護5
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