MTV表彰式の360度中継で新型「黒Gear VR」を体験 確かに装着感の向上を感じた!
2016年10月26日、サムスン電子ジャパンは同社が展開するモバイルデバイス「Galaxy」と「Gear VR」ユーザー向けに、「MTV VMAJ 2016 -THE PARTY!!-」の360度動画中継を行った。MTV VMAJはバイアコム・ネットワークス・ジャパンが運営する音楽とエンターテインメント専門のテレビチャンネル「MTV」による、その年の優れたミュージックビデオを表彰するイベントだ。
また同時に、渋谷区恵比寿のRacers’ Cafeにて、日本での発売が発表されたばかりのマイナーチェンジ版Gear VRを用いて360度動画中継を視聴できるイベントに参加してきたので、そのインプレッションも含めて報告する。
まずは、マイナーチェンジ版のGear VRについては、着実な進歩を感じられた。今回のデモ機に差し込まれていたのは、Galaxy S7 edge。従来のGear VRからの変更点は、本体色が白から黒に変わったことにより内部での光の反射が抑えられた点、顔の形にフィットする形状を実現したこと、96度から101度に拡大した視野角などであり、より没入感の高い映像体験を実現したという(関連記事)。
従来モデルと厳密に比較体験したわけではないが、確かに装着感は向上していた。ヘッドマウンテッドディスプレイでありがちな、鼻周辺などの隙間からの外部光が気になるということも全くなく、この点についてはPC向けのVRゴーグルやPlayStation VR以上のものだと実感した。また、従来からの特徴ではあるが、本体上部にあるダイヤルを左右に回して焦点が調整できるため、視力が悪い人も裸眼で見えることもあるのが嬉しい(もちろんメガネのままで見てもいい)。
次に、360度動画中継について。今回は、VMAJ会場に2台の360度カメラを用意し、ステージ両端の最前列との間に置いて、観客の目線より80cm程高い位置に掲げていた。2つのカメラの映像は、自動的に切り替えられて配信している。サムスンは360度カメラの「Gear 360」も発売しているが、今回の中継で使用されたのはクロスデバイス社の協力の下構築された独自のシステムだ。同社営業部の梶原氏曰く、VMAJ会場では8K程度の画質で撮影し、4K程度の画質でエンコードして配信しているという。
中継中、原因は分からない(おそらく通信環境によるもの)が時折、映像が途切れたり、ブロック歪みがかなり目立ったりした。また、Gear VR自体は二眼レンズだが、映像は立体視ではない360度動画であった。前述の目線の高いカメラ位置や画質も踏まえると、「現地で見ている」という感じはやや薄かった。そのほか、360度ではない中継と比較して30秒程遅延があったので、Gear VRを装着して中継を見ている人と、そうでない人との間で盛り上がるタイミングに隔たりがあった。
しかし、360度配信については事例が少なく、今回も含めての運用の知見が蓄積されて、さらにデバイスや通信インフラも高性能化していくことで体験が改善していくだろう。近いうちに、本当にライブ会場にいるかのような体験ができるようになることを願うばかりだ。欲を言えば、必ずしもライブ会場にいる体験が快適であるわけではないので、360度動画中継ならではの視点や体験が盛り込まれると、より魅力を訴求していけるだろう。
(取材・文/久道響太)
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