約30人の登壇者がVRについての様々な知見を披露したJapanVR Fest開発者会をレポート【DCEXPO 2017】
10月28日、JapanVR Fest.(旧Ocufes)は日本科学未来館で開かれた「デジタルコンテンツEXPO 2017」のシンポジウム・ステージとして、「2017 JapanVR Fest開発者会」を開催。JapanVR Fest開発者会としては昨年に続き2回目となる。
今回のキャッチコピーは「今、VR・ARの最先端はここにある。アメリカでも中国でもない、ここだ」となっており、30人ほどの登壇者が10分間の持ち時間で各自のテーマについて話し、休憩を挟んでトータル5時間ほどの長丁場となった。
登壇するスピーカーのテーマはVR・ARに関するものなら基本的にフリー。JapanVR Fest.の主催の桜花一門氏の連絡事項などからスタートし、最初の登壇者は弊サイトの代表広田稔による「インディー開発者のためのインタビュー講座」。広田はCEDEC KYUSHU参加のため、Skypeを使ったオンラインによる登壇となった。
弊サイトの代表広田は別件取材のためオンラインで登壇
内容はウェブ記事におけるインタビュー記事の位置づけで、メッセージがある記事が読まれているとのこと。またメディアが取り上げるネタは、新規性や話題性で決めており、あるウェブ記事で取り上げていたから、ウチでも取り上げるという傾向がある。つまり開発した製品などを広めたい場合には、インタビュー記事を受けることが重要になるとのこと。
インタビューを受ける上での注意点などを伝えた
続いて登壇したLimes氏の「Meta2のアプリを作ろうとして考えたこと」では、ホロレンズに近いARヘッドセットのアプリ開発について解説。Limes氏によると、Meta2購入者は日本で5名ほどということで、かなりニッチな内容とも思えるが、ホロレンズに近いこともあり、シースルータイプのHMDに応用が利く話しとなっていた。
XRについて現状でのジャンル分けを説明
海外におけるシースルータイプのHMD採用例
また、全ての学校でVR教育を実現したいという思いから、主に子供向けVR教育アプリを制作しているやのせん氏は「子ども向けVR教育アプリの今後」と題してプレゼン。小学校と中学校での教育内容を決めている学習指導要領は約10年おきに大きく改訂されており、次の改訂は2020年。すでにこの改訂は確定しているため、VR教育を正式に導入するには2030年頃を待たなくてはならない可能性があるという。
一方中国などではすでに教育現場においてVRが導入されていたり、GoogleもVR用の教育関連ツールをリリースするなど、世界各地でVRが教育現場に導入されているという。そのため、VRそのものを教育に正式に導入するのではなく、現在の学習指導要領に基づいたコンテンツを作成することで、VRを教育現場に持ち込めると話した。
学習指導要領に沿って学習を手助けするためにVRを活用するのが、教育現場にVRを導入してもらう近道となる
話題はVRのコンテンツ制作だけにとどまらない。「VRから実物を取り出す 魔法のボクセル変換技術」では、コンテンツ内のキャラクターを3Dプリンターで実体化するというものから、「VRゲームの観戦用モニター実装について」のような、展示会やイベントへ出展するさいの細かなテクニックなど幅広い内容でスピーチが行われ、来場者同士の知見を共有する場となっていた。
マルチプレイヤーのコンテンツをオーディエンスに見せるためのコツなど、実際の体験に基づいた発表も多かった
JapanVR Fest.の主催桜花一門氏から、2018年1月13日に銀座にてFestの開催もアナウンスされた
(TEXT by 中山悟)
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