360度レポあり モバイルVRの可能性をメチャ広げるサムスンの「rink」を試した【CES 2016】
現地時間の1月6〜9日、米国ラスベガスにて世界最大級の家電見本市「CES 2016」が開催されている。VR・AR・360度パノラマ関連の最新事情を探るべく、PANORA・広田も現地で取材しております。
一番最初に気になったのは、韓国サムスン電子が事前にCreative Labのプロジェクトとして発表していた3つのうちの1つ、モバイルVR向けハンドモーションコントローラーの「rink」だ。サムスン電子といえば、米Oculus VRとのコラボで生まれ、昨年12月に日本でも製品版が発売されたGalaxyシリーズ向けのVRゴーグル「Gear VR」で知られる存在だ。
CESが開催されている場所は、ものすごく広範囲にわたる。公式マップを見るとわかるが、大きくTech East、Tech West、Tech Southという3つに分かれており、それぞれ3〜4つの建物を利用している。しかも建物自体も「幕張メッセ何個ぶんだろう……」と考えるぐらいに広大で、3カ所の間も徒歩30分ほど離れているという、かなりアメリカンサイズなイベントになる。
そのCESにおいてアツかったのが、スタートアップや大学がらみ、個人開発者などが出展しているEureka Parkだった。筆者的にはMaker Fair的な勢いを感じた。
公式のサムスンブースとは別に、このEureka ParkにサムスンがCreative Labのブースを構えていた。
Gear VR。実売価格は1万4900円。別途、スマートフォンの「Galaxy S6/同 edge」が必要になる。
VRゴーグルとして有名なPC向けの「Oculus Rift」と比べると、Gear VRはケーブルなしで快適に動けて、しかもスマートフォンで動作できるというのが強みになる。逆にスマホなので処理能力はそこまで高くなく、バッテリー駆動時間の制限があったり、ポジショントラッキング(ユーザーが歩いたり、頭を前後左右に動かしたりした位置を反映する仕組み)が利用できなかったりというのが弱点だ。
さらにいえば、バーチャル空間での体験に慣れてくると、自分の手を使えないのというのが思った以上に不満になる。Oculus Riftでは「Oculus Touch」、ソニー・コンピュータエンタテインメントのPlayStation 4向けVRゴーグル「PlayStation VR」では「PlayStation Move」(PS Move)といったハンドモーションコントローラーが用意しており、目の前にあるものをつかんだり動かしたりできるので、自分がまるで映像の中の世界にいるような錯覚を覚えるのがスゴい(関連記事)。
Oculus Touch
そんな据え置ききとモバイルのギャップを埋める試みとして期待できるのが、サムスン電子のrinkになる。
まずモバイル向けVRゴーグルの上にセンサーを設置して……。
U字型のグリップを両手にセット。仕組みとしては、地磁気センサーで手の位置を検出し、赤外線センサーで指が触ったかどうかを判定するというものになる。
デモでは、海の上空にユーザーがいて、手を握って開き、周囲から迫る敵を撃墜していくという簡易ゲームだった。Oculus TouchやPS Moveに比べると手の追従性は若干遅れるものの、Gear VRで自分の手を操れるという体験は新鮮だ。
手を握って……。
開くと攻撃が可能だ。 日本でいうと、meleepの「HADO」に近い操作感になる。
筆者はOculus Riftの「Bullet Train」やPlayStation VRの「London Heist」シリーズなど、ハンドモーションコントローラーを利用したコンテンツをいくつも体験してきている。その結果直感したのは、単に360度を見るだけのVRは当初は新鮮だが比較的すぐに飽きられて、「触れる」ことが今回のパーソナルVRムーブメントでひとつの大きな波になるのではということ。その要素を、モバイルVRに付け足してくれるのがrinkというわけだ。
もうひとつrinkのいいところは、Uの字型なので手にはめっぱなしにできること。通常、VRゴーグルをつけた状態ではコントローラーから手を離すときにはVRゴーグルを外すことになる。コントローラーにストラップをつけていても、見えないので握り直すのにちょっとした試行錯誤が必要だ。その点、人差し指から小指の間に挟みこまれているrinkなら、手を完全に開いても落ちる心配はない。
コントローラーの裏側。
現地の説明員によれば、Gear VR以外への対応も可能ということ。Google Cardboardやハコスコなどの安価な簡易VRゴーグルでも、より深い体験ができる日が来るかと思うと期待せざるを得ません!
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