【TGS2018】雰囲気+謎解き! DeNAのVRゲーム「VoxEl」展示レポ 日本語ボイスは石川由依
9月20日〜23日にかけて開催された東京ゲームショウ2018。そのVR/ARブースでは、DeNAがあまた株式会社と共同開発をしているハイエンド向けVRタイトル「VoxEl(ボクセル)」を試遊することができた。
今回のTGSバージョンでは日本語ボイスが実装。ゲーム内のヒロイン「エル」を、声優の石川由依さんが担当している。進撃の巨人ではミカサ・アッカーマン、今年のアニメではヴァイオレット・エヴァーガーデンの主人公(タイトルと同名)、ゲームのニーア オートマタではヨルハ二号B型を演じており、あの心地のいい落ち着きのある透き通った声をすぐに思い出せる人も多いのでは。
エルと共に世界の音と色を取り戻そう
VoxElは、音と色が奪われた世界で、ヒロインのエルと共にそれを取り戻していく謎解きアドベンチャーゲーム。プロデューサーの永田峰弘氏に話をうかがったところ、ステージは、最初は無音状態やちょっと怖い音からスタートするなどして、クリアするごとにその音や色が戻ってくる、その変化の度合いを楽しめるように設計しているとのこと。そのため、遠くの背景までちゃんと作り込み、世界観を大切にしている。
また、今回の試遊では明かされていないが、ゲーム内のあらゆる設定は、きちんと理由付けしたうえでそうしているという。
▲ヒロインのエルちゃん。
VR空間で見ると、エルちゃんの推定身長は160cm台と小柄。石川由依さんの日本語ボイスも相まって、神秘的な雰囲気を漂わせている。永田峰弘氏が「こだわって作った」というワンオフのキャラクターだけに、エルちゃんを眺めているだけで大分満足である。
しかし、それではプレイレポートにならないので、後ろ髪を引かれながらステージ攻略を開始。操作はシンプル。基本的にはVIVEコントローラーのトリガーをつかったアクションと、トラックパッドによるワープ移動のみでOK。
さて、ステージ攻略はエルちゃんと道中を共にするのだが、彼女は大きな岩に鎖でつながれている。そのため、彼女を動かすには、主人公が持っている杖の力を使うことになる。具体的には、岩に向かってコントローラーを構え、トリガーを引いて持ち上げたら任意の位置まで運ぶようにする。
▲エルちゃんは大きな岩に鎖でつながれている。
このとき急に動かすとよろめいたり、壁にぶつかってしまうと「きゃっ」と驚いたりするので、自然と「大事に運ばなければ!」という気持ちになってくる。VIVEコントローラーを前に突き出すとより遠くへ、手前に引くとより近くへ運べるようになっており、直感的に操作できるのですぐに慣れた。
彼女以外にも持ち運べるオブジェクトがあり、コントローラーを向けると紫色に光るので判別できる。それを使って障害物をどけたり、ステージ中のギミックを動作させたりする。
トリガー操作のもう一つのアクションは、エレメントの力を射出すること。ステージ中には、風や土といった属性のエレメントがある。これに向けてVIVEコントローラーを構えてトリガーを引くことでエレメントの力を吸収。
▲エレメントの力を吸収。
そして、対応するオブジェクトに向けてもういちどトリガーを引くと魔法のように発射し、オブジェクトが動作する。
▲吸収した力を射出。
こうしてギミックを解除していき、彼女をステージの最奥にある祭壇(アンテナ)へと導くと、次のステージが解放される。このときついつい謎解きに夢中になってしまうが、エルちゃんは都度助言や、やるべき事を教えてくれるガイド役でもある。聞き逃さないよう、エルちゃんのことは終始気にかけておこう。
▲彼女をステージ最奥にある祭壇(アンテナ)に連れて行くと……、
▲次のステージを開放してくれる。ステージにも色と音が戻った。
なお、本作のワープ移動は、トラックパッドに触れると位置指定マーカーが表示され、押し込むとその位置に飛ぶというもの。これはVIVEを用いたタイトルでおなじみの移動方法だが、加えてトラックパッドの触れている位置に応じて、ワープ移動後の向きも指定できる。たとえばトラックパッドの12時方向に触れつつ押し込んだときと、6時方向で同様に押し込んだときでは向きは正反対になる。方向はもちろんマーカーに表示されるので視覚的にも確認可能だ。
ただ、この操作は自由度が高く、冒険している感を得られるのだが、一方で「あと一歩下がりたい」といった微妙な位置調整が難しかった。また、現実の体で後ろを振り向き、VR空間内でも後ろを見ながらワープ移動すると、方向指定をしたのにワープ移動後に頭を正面に戻したことで別の方向を見てしまい、戸惑うことも。そのため、他のボタンで前後左右への徒歩移動あるいは小ステップや小ワープ、狭いステージでは移動先に応じて一定の方向を自動で向くような設定、視界位置のリセット、ワープ移動後の方向指定は頭を真正面に向けた場合の方向指定にする設定、などができるとうれしいかもしれない。
今回は初心者向けのコンパクトなステージが中心だったが、最後には複数のギミックが登場する比較的広めのステージもあった。開発が進めばもっと広大なステージが登場する可能性もあるので、ワンダと巨像くらいの広さとまではいかずとも、雰囲気バッチリの大きなフィールドを謎解きに頭をひねりながら冒険するのが楽しみだ。
▲最終ステージ。これまで登場した火、風、土のエレメントをつかって複数のギミックを攻略する。
それにステージ中は敵などはおらず、プレイヤーを焦らせる要素もない。そのため、ステージの雰囲気を味わいながらじっくり探索し、あーでもないこうでもないと落ち着いて謎を解いていくことができた。雰囲気+謎解きということで、筆者としてはお茶やお酒を飲みながらプレイしたくなった。
一転して緊張感漂うボス戦に突入
そんなほんわかムードはここまで。最終ステージをクリアすると、雰囲気は一転して緊張感漂うボス戦になる。しかし主人公(プレイヤー)は、杖の力によって物体を遠隔で持ち運んだり、エレメントの力を吸収して放つといった事はできるものの、剣で戦ったり魔法を撃ち込んだりといった戦闘能力はない。しかしボスはこちらめがけて突っ込んでくる。
そこで、ステージを後退していままで登場したギミックを駆使しつつ遅滞戦闘を行いながら、打倒可能なポイントに誘い込み、攻撃を加えて撃破を試みる、というなかなかに熱い戦いを繰り広げることになる。
▲ボス登場。エルちゃんは敵の事を知っているような言い回しだった。
▲主人公のステッキを封印してくる。コントローラーを振ると解除可能だ。
▲間近でみると、結構コワイのでドキドキする。
▲連れ去られそうになるエルちゃん。
また、理由は明かされていないが、ボスはエルちゃんを連れ去ろうとするので、すかさずこちらに引き寄せる。その合間に敵を攻撃する必要があるため、操作も結構忙しくなる。最終的には火のエレメントの塊を取り出し、すかさず風のエレメントをその塊にぶつけ、ボスに撃ち込むことで撃破できた。
▲全ステージクリア! どことなく霞がかった風景に鮮やかな色彩がもどった。エルちゃんもうれしそう。
VoxElは、DeNAが手がけるハイエンドVRコンテンツとしては初となる作品であり、チャレンジでもある。そのため、本作は参考出展となっており、開発や製品化も含め模索中だ。しかし、今後のゲームやVR関連イベントには積極的に出展していくとのこと。直近では北海道でのイベントなどにも出展予定だという。TGSで触れられなかった人はぜひ、次の機会にエルちゃんに会にいこう。
エルちゃんのコスプレはうに子さん
今回の出展ブースでは、エルちゃんの衣装をまとったコスプレイヤーのうに子さんがお出迎えしてくれた。衣装は、「牙狼<GARO>」やAKB48の衣装製作を担当した「JAP工房」によるもので、細かい模様などもバッチリ再現していた。
▲エルちゃんの衣装をまとったうに子さん(*クリックで拡大)
(文 花茂未来)
●関連リンク
・DeNA
*誤記訂正と補足説明の追加を行いました(9月27日16:25)