武器なしの絶体絶命、ゾンビから逃げ回る恐怖……! VRステルスホラー「ChainMan」体験レポ
8月16日に発売を迎えたVRステルスホラー「ChainMan」。同作は、「Anime Expo 2017」や、徳島のポップカルチャーイベント「マチ★アソビ」内の「徳島VR映画祭」などで、難易度を調整したイベント向けバージョンが何度か体験できたが、今回は製品版とほとんど同じ内容のものをHTC VIVEで体験できた。
公式トレイラー。
ChainManの舞台は、ゾンビがあふれかえっている島だ。プレイヤーは目覚めると手錠がはめられた状態で、他の生存者達のチャットログより様々なヒントを得て、ゾンビを避けながら様々な仕掛けを解きつつ、この島から脱出するために探索を進める。
チュートリアル兼プロローグでは、真っ暗な洞窟を進みながら基本的な操作や登場する仕掛けの解き方などを学ぶ。プレイヤーの視点は一人称で、下を見ると設定通り両手首に手錠がはめられていることがわかる。VIVEの場合、コントローラー1本だけの使用となるので、コントローラーを両手で握ると「手錠をはめられている感」が高まってより没入しやすい。
移動方式は、トラックパッドの上側を押し込む間、向いている方向に進むというものだ。トラックパッドによる移動は、テレポートと呼ばれる非連続的な視点移動と比べてVR酔いを引き起こしやすいとされるが、視覚誘導性自己運動感覚を低減させるために、しっかりと対策がされている。
ChainManでは、チュートリアルの洞窟以外のステージもほぼ真っ暗なので、プレイヤーの視点に追従する照明で行先を照らしながら進むことになる。2種類ある照明は、コントローラーのメニューボタンで切り替え可能だ。1つ目は、ランタンのように全周囲を照らせるもので、これは照らせる距離が短いため、屋内で部屋の様子を見たいときに使うといい。2つ目は、サーチライトのように遠方まで光が届くが、視界の中央付近しか照らせないタイプだ。基本的には、このサーチライトで進んでいくのだが、この視界中央付近しか照らせないことがVR酔いしにくさにも貢献している。
とても暗くて怖い。ライト重要。
ギミックとしては、ドアなどを操作するレバー、中に隠れてゾンビをやり過ごすための箱、ゾンビの気を逸らしその隙に逃げるための発煙筒、障害物を吹き飛ばすための爆弾やそれに着火するための松明、島から脱出するためのボートの燃料が入っているジェリカン、様々なところにかけられている鍵……などがある。
プレイヤーは、手で松明や発煙筒、ジェリカンなどを1つだけ持ち運ぶことができ、他には口で鍵を1つくわえて運べる。どのギミックも、頭を近づけたり、トリガーやグリップボタンなどを使うことで簡単に操作可能だ。ちなみに、プレイヤーはゾンビに対抗する手段はなく、これらのギミックを駆使してとにかく避けるしかない。
チュートリアルを終えると、まるで映画館でスクリーンを見ているかのような視点に変わる。主人公が小屋にたどり着くも人影はなく、あるのはコンピューターと他の生存者同士のチャットログだけで、ログより島がゾンビで溢れかえっていることを把握する、というシーンが流れる。
その後、再び一人称視点に戻ると、先ほどの映像に出て来た小屋に自分が座っており、目の前のスクリーンにはチャットログなどが映し出されていることがわかる。このスクリーンはメインメニューのような役割をしており、ここからエピソードを選択して、ストーリーを進める。
エピソードを選ぶと、まずは他の生存者同士のチャットログが流れるが、この中に仕掛けを解くヒントなどが紛れ込んでいるので、しっかりと読んで覚えておこう。探索に出てからは、死なない限り再びチャットログは見られないので、ヒントを覚えていないと暗闇をゾンビと共に彷徨い続けることになって、とても辛い。
エピソードは6まであり、ゾンビたちを避けつつ仕掛けを解いて、「ボートにたどり着く」「燃料を集める」など目的を達成する。例えば、南京錠用の鍵を取りに行くために、ダイヤル式の鍵を開錠しなければならず、他の生存者がどこかに書き残した暗証番号を探しに行くなど、仕掛けを解くために仕掛けを解くということを繰り返すことになるわけだ。しかし、そうこうしているうちにいつの間にかゾンビが増えているので、箱に隠れてゾンビが通り過ぎるのを待ったり、発煙筒で気を逸らしつつ逃げることになる。
ゾンビはある程度近づいたり、視界に入ったりすると凶暴な叫びを上げ追いかけてきて、追いつかれると襲われプレイヤーは死亡する。ゾンビは何種類かおり、素手で襲ってくる男性ゾンビや、同じく女性ゾンビ、また刃物を持っている大男ゾンビなどがいる。ゾンビによってはプレイヤーよりも移動速度が速いので、発見=死亡になることも。
ゾンビたちは常に「ゼーハー……ゼーハー……」と息を荒くしているので、おおよその位置は分かるのだが、地形的に近づかずには通り抜けられなかったりする場合は「気づくなよ、こっち見るなよ!」と祈りながら移動することになる。突然ゾンビが降ってきて襲われたりとかはしないので、理不尽な驚きは無いのだが、自らゾンビに近づかないといけない状況に置かれる恐怖は極度の緊張感をもたらしてくれる。
あっ!
Noooooooo!!!
プレスリリースによれば、本作の根底にはChainManを開発する株式会社桜花一門の代表取締役・高橋健滋氏の趣味「危険地帯での深夜俳諧」があるとされている。筆者としては、夜の街で喚いたり喧嘩している輩の傍を、あからさまに走り抜けるわけにもいかず、かといって迂回するわけにもいかないというあの感覚に本当に近いものを感じた。
今回はエピソード2まで体験したが、かかった時間は2時間30分程だった。これが、エピソード6まで続くのだから、かなり長時間攻略ができるVR体験となっているだろう。
ミニゲームやシューティング的な短時間で遊べるゲーム系VR体験とは一味違ったテイストの同作。VIVEユーザーは、ぜひ購入して恐怖を体験しよう。友人や知人に体験させ、ゾンビにおびえる姿を観察するのも楽しいだろう。後日、ローカルマルチプレイの追加要素が実装予定とされているので、そちらも楽しみだ。
また、今秋にPlaystation VR版の発売も予定されており、そちらはリリース段階でローカルマルチプレイ要素も入っているとのことだ。
(取材・文:久道響太)
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