VRだからわかる「ありがてぇ……」の心 ミスFLASH 2017・SHOWROOM「3D VR」撮影現場に潜入
「SHOWROOM」といえば、ネット番組を通じてアイドルやアーティストとコミュニケーションが楽しめる配信プラットフォームのこと。そのSHOWROOMでは360度カメラを利用したVRゴーグル向けの番組も継続して行なっており、さらに5月15日の「ミスFLASH2017」レギュラー番組よりVRかつ3Dに対応した配信をスタートさせた(ニュース記事)。
一体、どんな機材を使ってどんな環境で3D VR配信を実現しているのか。そしてミスFLASH2017の方々は、どんな感じで3D VRを楽しんでいるのか。聞けば水着での出演になるとのことですが……。ええ、PANORAとしてはテクニカルなサイドをマーベラスにカバーしなければという使命感に駆られて、可及的速やかに撮影現場を取材してきました!
ミスFLASH 2017は3人ですが、当日は写真左から月城まゆさん、吉澤玲菜さんのお二人で、池田ゆりさんは欠席でした。
番組が始まる22時時点では、月城さん1人でスタート。吉澤さんは当日、所属するアイドルグループ「Pimm’s」のライブをこなして少し遅れての参加となりましたが、クマがプレゼントされたら水着に着替えるというこの番組のシステムのおかげでいきなり大胆なビキニに着替えることに! いいんですか! ありがてぇ……、ありがてぇ……。
さらに続けて月城さんも水着に! ここはありがとうが生まれる桃源郷か。
吉澤さんがスマホVRゴーグルを装着して、月城さんのヒップの大きさを間近で確認。3Dだから飛び出すというか、自分のパーソナルスペースを侵している「うわ近っ!」という感覚が半端ない! 言葉で書くと軽いですが、実際にVRゴーグルで体験すると、とてつもなく肉感的だ。
当日、スマホ(Galaxy S7)を使ってVR表示にして見た結果がこちら。これ、静止画だと伝えにくいですが、本当に目の前にいるんです!
当然、カメラのアングルに縛られることなく、自分の好きな目線で好きなところを眺められます。VRすっごーい!
さらに胸まで。キャー! 吉澤さんが手を差し出したくなる気持ちもわかります。
その後、番組恒例の「クマボックス」からカードを引いて、お色気たっぷりな指示に従って……。
月城さんが水を一気飲みしたり。
手押し相撲的な感じで対決したり。
3Dカメラの前にセッティングされたポッキーを……。
食べたり!
きゃー!
スゴい! わかる!(*読者の声「わかる!」)
さらにセクシーな感じでデザートを食べるなど。
まさに目の前30cmぐらいで、普通に女の子とデートしてもこの距離で物を食べてるのを見るのってなかなかないのでは……!?
ほんと三人称視点のカメラでお伝えしてるのが申し訳なくなるユーザーエクスペリエンスなのでした。
番組はさらにカメラに向かっての壁ドンや。
カメラに向かっての20回腹筋という指示に。
VRではこうなるわけであって。
これはありがたいとしか言いようがないです。古事記にも書いてありました。
現場でも見ていましたが、ミスFLASH2017に選ばれた二つの「名峰」が目の前に迫るシチュエーションは、ありがとうが生まれる場所という他にありませんでした。
……と、お楽しみいただいた(?)上での技術的な側面ですが、実際現地でミスFLASHを目の前にしつつ、VRゴーグルをかぶって感じたのは、ライブ配信なのに画質がキレイということ。360度動画は、画質が荒れがちで、特に人間の肌に関しては「もう少し……」という感覚があったが、今回の配信に関しては「あっ、こんな綺麗な肌が間近に」という感動が生まれていた。
これもまた込み入った話になってしまうが、現状、360度動画は高画質を目指すのが難しい状況にある。360度動画は現在、「エクイレクタングラー」という2:1の画面比で保存しており、その動画をプレイヤー側で世界地図を地球儀に展開するように配置し、ゴーグル内のセンサーでユーザーが向いた部分を検出して、球体の一部を表示している状況だ。
つまり、VRゴーグルの視野角しかみえていないということで、元動画が4Kでも、VRゴーグルの視野角100度なら、100/360ということで1066ドットぐらいしか見えていないことになる。つまりはフルHD(1920×1080ドット)に慣れた現代人にとっては、「なんだか荒いかも?」と感じさせる要素になってしまう。
今回の360度撮影を手がけたディー・エヌ・エーの技術開発室、小倉豪放氏によれば、今回の3D360度撮影ではコダックの「SP360 4K」を2台正面に並べて撮影。取り込んだPC側で前面の180度だけ見えるように加工して、2つの映像を1920×1920ドットで左右に並べて4Kサイドバイサイドの3DVR映像として配信し、ユーザーのプレイヤー側で展開しているとのこと。
従来、SHOWROOM VRでは、360度見渡せる方式を取っていたが、今回前面180度に変えて3D化した理由は前だけでよかったというところにある。「ミスFLASHの番組は、昨年のミスFLASH2016から1年以上やっているのですけど、スタジオで撮るのなら360度いらないなと感じました」(小倉氏)
小倉氏によれば、このシステムは昨年に完成したものの、テストを重ねて今回初めて表に出したそうだ。キレイの秘訣については、SP360 4Kというカメラにあるのではなく、スタジオのライトをきちんと焚くことにあるとのこと。前面180度なら、ライトも気にならずに配置できそうだ。
VR業界の方なら、4Kライブ配信というとそのビットレートが気になるはずだが、今回は10Mbpsで配信していた。さらに画面解像度的にiPhoneよりもAndorid端末のほうが高いため、より高精細を実現したいならGalaxyシリーズなど高性能なAndroid端末を選んだ方がいいそうだ。
筆者的には、3D360度映像の否定派だった。というのも、3D映像ではピントが合わないケースが多く、それがストレスになって「立体視できなくてもいいじゃん」という感覚だったが、今回のカメラに迫るミスFLASHを見て、「あっ、これは表現としてアリだ」と実感した。そしてピントが合わないこともあまり感じなかった。
小倉氏によれば、瞳孔間距離(IPD)を日本人男性の64mmに合わせて配置して撮影にのぞんでいるとか。あとは被写体距離的にピントのスイートスポットに入るようにしているのか、なかなうまい運用だと感じた。今後も続けていくというこの3D 360度ライブ配信、VR関係者ならぜひともチェックしておいて損はないだろう。ミスFLASHのダイナマイトを実感できるのは、SHOWROOMだけ!
次回放送は5月29日の22時から。ちょっとスペックのいいAndroidスマホをお持ちの方は、ぜひSHOWROOMアプリを落としてみて、そのインパクトを実感してみよう。
(TEXT by Minoru Hirota)
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