世界初!プロ野球球団監修VRトレーニングシステム登場 東北楽天ゴールデンイーグルスが来季から導入
NTTデータは、プロ野球球団が監修したシステムとしては世界初となるVR技術を用いたプロ野球選手向けトレーニングシステムを2017年より提供開始する。同システムは、プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスが、2017年シーズンよりファーストユーザーとして本格利用する。
今回提供を開始する独自のVRシステムは、VR技術を用いて、打者が投手の投げるボールを仮想体験することによって、試合でのパフォーマンス向上を目指す「プロ野球選手向けトレーニングシステム」だ。VRゴーグルを装着すると、バッターボックスにいるかのような状態となり、投手の投球を体験できる。
●データ活用が盛んなプロ野球、しかし……
近年、ICT技術の進展により、スポーツ競技中の選手の動きやボールの移動軌跡など、精密かつ大量のセンサーデータを取得することが可能となり、これらのデータを選手強化へ活用する取り組みが盛んとなっている。特にプロ野球は、旧来からさまざまなデータ活用が盛んであり、近年ではトラッキングデータの活用など、新たなテクノロジーを用いたデータ分析も生まれ始めている。しかし、大量のセンサーデータを直感的にフィードバックすることには困難な側面があり、利用される情報は、ダッシュの速度や回数、ボール保持時間など、フィードバックが容易で比較的単純な統計情報に限られていた背景があった。
●VRで膨大なセンサーデータを直感的に利用
今回提供されるVRシステムは、NTTメディアインテリジェンス研究所が開発した「スポーツ一人称視点合成技術」によって、全周囲映像データをもとに、競技中には撮影できない視点での3次元の野球場空間を合成。この空間上に投手の投球映像データを実写で提示し、あたかも打席に立った目線で投球の視聴を実現する。また、東北楽天ゴールデンイーグルスが独自に取得したデータを使用することで、個々の選手ごとに異なる打席内での立ち位置やスイング中の頭部位置の変化に対しても、常に正確なボールの軌道を再現することを実現した。
これをVRゴーグルを通じて視聴することで、プロ野球選手でも違和感のない品質で、打席に立った目線から相手投手の投球動作やボールの軌跡を繰り返し視聴できる。対戦相手となる投手の特徴などを試合前に効率的に習熟することが可能となった。
プロ野球は、約7か月間に143試合が行われるため、膨大なデータ処理が必要となるが、本システムは非常に簡易にVRコンテンツが作成できるため、シーズン中にVRコンテンツを更新しながら利用可能。チーム力の継続的な向上が期待できる。
●2017年シーズンから楽天が本格利用
このVRシステムは、2016年シーズンに東北楽天ゴールデンイーグルスにて、選手がVRゴーグルを装着して投球を仮想体験し、投球のリアリティーなどのクオリティーを確認する実験を繰り返してシステムの実現性や有用性を検証。投手の動作の特徴や球筋、バッティングのタイミングなどを確認し、プロ野球選手が実戦に活かせるシステムであると判断されるに至った。
プロスポーツチームが保有するデータとVR技術の連携によって、シーズンを通した選手の能力強化に実際に使用できる高いレベルの品質でのシステム運用を実現したのは、世界初の取り組みとなる。同システムは、NTTデータが商用サービスとして2017年より本格提供を開始する予定で、東北楽天ゴールデンイーグルスはそのファーストユーザーとして2017年シーズンより実戦での選手強化に活用していく。
●今後の展開
世界中でVR市場が拡大する中で、スポーツにおける活用事例は多くない。今後、同システムは商用サービスとして、米国をはじめとする海外市場に向けて展開していく予定とのこと。また、東北楽天ゴールデンイーグルスでは、選手強化に加えてファンサービスとしても活用していく予定としている。
9月9日~11日には、楽天Koboスタジアム宮城で行う「東北楽天ゴールデンイーグルス 対 北海道日本ハムファイターズ戦」において、同VRシステムの体験会が報道関係者および一般のファン向けに無料で開催される。興味があるプロ野球ファンはプロの投球を極めてリアルに体感してみてはいかがだろうか。
●VRトレーニングシステム 無料体験会
・実施日時:
- 9月9日(18:00試合開始)
報道関係者向け 13:00~15:00 一般 15:00~試合終了30分後
- 9月10日(14:00試合開始)
一般 11:00~試合終了30分後
- 9月11日(13:00試合開始)
一般 10:00~試合終了30分後
・実施場所:楽天Koboスタジアム宮城内 スマイルグリコパーク
(宮城県仙台市宮城野区宮城野2-11-6)
●関連リンク
・東北楽天ゴールデンイーグルス 公式サイト
・NTTデータ ウェブサイト