手を使うことでVRの可能性が広がる——サムスン・Creative Labに聞く「rink」に込めた想い
現地時間の1月6〜9日、米国ラスベガスにて開催している世界最大級の家電見本市「CES 2016」。先に取り上げたサムスン電子のモバイルVR向けハンドモーションコントローラー「rink」について、Creative Labのrinkチームを率いるチョ・ヨンジン(Cho Yongjin)氏を始めとするメンバーのインタビューをお届けする。
チョ・ヨンジン(Cho Yongjin)氏。
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6人の精鋭が生み出した
——rinkを生み出したCreative Labはどういった機関ですか?
社内スタートアップで、いろいろな人からアイデアを集めて1年間開発するチャンスをあたえられる。rinkでは6人が選ばれて、2015年の2月から開発を始めました。
——ちょうど一昨年の12月、Gear VRの開発者向けである「Innovator Edition」がリリースされたあとですね。
正確に言うと、アイデアを出したのはもうちょっと前なので、まだGear VRも出てませんでした。私たちのチームは、VRにすごく興味があって、「こういうものがあればいいな」や「つくってみたい」といった想いを抱えて始まったプロジェクトになります。
もともとCreate Labは、サムスンのメインの戦略とはすこし離れた先進的な試みです。rinkでも、まったく違う分野から開発者を集めて、ひとつのアイデアを実現しようと目標に向かって進んでいる生き生きとしたチームになってます。
——Create Labはどこにありますか?
韓国のスウォン(水原)市にあります。
——6人の中のチーム分担はどうなってますか?
ソフトが4人、ハードが2人です。センサー、ファームウェア、SDK、アプリといった具合にそれぞれが担当を持っていて、自分の担当したところは必ず完成させることになっています。
——今回のプロジェクトで一番難しかったところは?
ありすぎて話せないほどですが、一番難しかったことは、モバイルVR環境で手を認識させることです。まず。バッテリーやCPUの処理能力といったハードウェアの制限があります。それに手の動きを感知するために、どのセンサーをどうつかえば最適なのかがわからなかった。
最終的に選んだ技術は、地磁気を活用して手の位置と回転を、赤外線センサーで指の動きを取るというものですが、どの技術をどう使えば手や指の動きが正確に取れるのかというテストをゼロから始めたので、いろいろな困難がありました。
——rinkはいつ製品化するのでしょうか?
まだ正式なサムスンの製品になるかどうかは決まってなくて、フィードバックを集めてる段階です。
——Gear VRのユーザーはすごく求めていると思います。
CESで初めてデモしたのですが、いい反応をたくさん集められましてすごく嬉しいです。しかし、まだまだ改善したいところもいっぱいあります。
——サムスンのニュースリリースでは、テニスの画像を使っていましたが、そういった用途も考えていますか?
いろいろな用途を期待しています。VRの中で手を使ってできることは、もっともっと人間の想像で広がっていくと思います。今はVRはゲームが注目されていますが、もっと多くの分野で生かせるはず。
反応速度が上がれば、KinectやLeap Motion以上に動きがとれて、Perception Neuronほど装着に手間がかからない入力デバイスとして業界標準を取れるかもしれない。
——目指している夢はありますか?
汎用的な3Dインターフェースデバイスを目指しています。
——Google Cardboarなど、サムスンだけに限らない別のHMDでも利用できるという?
そうです。モバイルVRを最初に選んだのは、いろいろな制限があるので、そこが達成できればいろいろな分野に応用できるという考えです。もっといろいろなところで活用できればと考えています。
(聞き手/広田稔、Minoru Hirota)
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