特別な日常を5秒に1マシュで体験 「Fate/Grand Order VRを支える、非常識な発想術」【CEDEC 2017】
8月30日から9月1日まで、パシフィコ横浜で開催されたコンピュータエンタテインメントの開発者会議「CEDEC 2017」ではVRタイトルの講演も盛んだった。ここでは「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライトを支える“非常識”な企画術。」をレポートしたい。
ディライトワークス・FGO PROJECTクリエイティブディレクターの塩川氏は本作を含む「Fate/Grand Order」シリーズタイトル全般に携わっている。
「Fate/Grand Order」はサービス開始後2年が経ち、全世界累計ダウンロード数は2000万に近づいている。
「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト」は「FGO」のヒロインである「マシュ・キリエライト」に焦点を当てた初のVR作品。過去4回体験会が開催され、これまでに延べ5000人以上が参加。さらに、現在も予約制の体験会がカラオケアドアーズ秋葉原店で開催中だ。
「体験したユーザーの声」に突如として登場したアロハシャツとチャーミングな笑顔の男性。これは……某VRHMDの会社を創ったパルマ―・ラッキー氏だ。(写真とテキストは関係ないそうです)
「FGOVR」の企画術には「FGO」の開発・運営を支える秘密が!? このセッションではそれを紐解いていくという。
第1のコンセプトは特別な日常。「FGOVR」のターゲットは“全”FGOユーザー! でも、スマホゲーマーにコンソールのゲーム機、しかもVR必須で遊んでもらうって実はわりと難しくないですか、ということでコンセプトは「遊べる」、「遊びたくなる」がキーワードとのこと。
フィーチャーされた「マシュ・キリエライト」はプレイヤーとともに行動するヒロイン役として登場する。「パーソナル・トレーニング」は「FGO」の概念礼装(サーヴァントにつけて能力を底上げするアイテム)で、期間限定でゲーム内のショップに登場したもの。FGOの中では表現されていなかったマスター(プレイヤー)とマシュの「日常」が体験できるという「特別感」を生む。
第2のキーワードは「マシュ詣」(マシュもうで)。実際に体験しないとわからないVRの特性を活かし、様々なイベントの目玉企画となるようVR体験会を活用した。
『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』PV(2017/01)
PV第一弾。これでマスターの想像をかきたてる。
まずは「遊んで初めてわかる」というポイント。ちなみに、「FGOVR」のマシュが動いているシーンは7月の「Fate/Grand Order Fes. 2017 ~2nd Anniversary~」で発表されたPVまであえて見せなかった。
例えば、カラオケアドアーズ秋葉原店では体験会だけでなくカラオケフロアにデコレーションを施すなど、それぞれのイベントにVR体験以上の仕掛け用意し、特別感を演出している。
とはいえ、VRの体験はSNSなどにシェアできるものがなく、それだけでは「FGOVRやってきましたー」という感想で終わってしまう。拡散するための仕組みが必要、ということで考え付いたのが「5秒に1マシュ。」。
5秒に1度、プレイヤーなら思わず目を引かれる表現が仕込まれている。
その一例として、通常の「FGO」では見ることができないマシュの胸元の開いた服装のコマンドカードが用意されている。
それらの結果がこちら。確かに人に体験を言いふらしたくなるVR体験だ。
「3つの“非常識”なコンセプト」、VRの特徴を考えれば、一見当たり前のように思われることだが、実際にそこまで実施されている例は少ない。
最後に、FGOVRに限らず様々なゲームの制作に応用できる秘訣として紹介されたのが、「顕在化していない、声に応える」こと。
顕在化していない声というのは誰もが予想だにしていなかったこと。それは驚きで迎えられ、爆発的に拡散する。例えば、エイプリルフール企画だった「Fate/Grand Order Gutentag Omen」は1日で50万ダウンロードされ、爆発的な話題をよんだ。
最後はディライトワークスの開発理念となる「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」というメッセージで締めくくった。体験会でこれだけの仕掛けを盛り込んでいる、ということは製品版ではさらに驚きの進化を期待してしまう。今冬配信予定(関連記事)の「FGOVR」、今から期待が高まる
*CEDEC 2017記事まとめはこちら
●関連リンク
・「Fate/Grand Order」公式サイト
・「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト」公式サイト
・ディライトワークス株式会社
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