VRで飽きずに運動が続けられる!? エイサーとライフ・フィットネスがVRエクササイズシステムを発表
日本エイサーと、フィットネス器具では世界最大手のライフ・フィットネス・ジャパンは、HMDでVR映像を観ながらフィットネスバイクでのトレーニングができるシステムを開発。全国のフィットネスジム向けだけでなく、個人にも販売をスタートした。
今回のシステムは、エイサーが発売しているWindows Mixed Realityヘッドセット「AH101」に加えてPCやディスプレーを組み合わせたもので、価格は約80万円(1年間のアフターケア付き)。対応するフィットネスバイクが別途必要で、こちらはライフ・フィットネス・ジャパのタブレット・コンソール「SE3」を搭載したモデルのみとなる。価格は約110万円だ。合計すると200万円近い金額だが、すでにSE3搭載のフィットネスバイクを導入していれば、VRシステムの導入だけで済む。
タブレット・コンソール「SE3」と、Windows Mixed Realityヘッドセット「AH101」。
ディスプレーで再生中の映像がチェックできる。
タブレット・コンソール「SE3」はもともとインターネット接続機能などをもったフィットネス用のコントロール用デバイスで、計測したデータなどをインターネット経由でスマートフォンなどに送れるようになっている。さらにオプション機能を追加すればトレーニング中に「Hulu」や「Netflix」なども再生できる、インターネットやデジタル機器との連動を考慮したモデルだ。
SE3がセットされたフィットネスバイク。
ゴーグルをセットして漕ぐだけなので操作は簡単。
振り向けばそれに合わせて景色も変わり、実際にその場で自転車を漕いでいるような没入感を味わえる。
今回のVRシステムは、このSE3の機能追加という形で行われる。SE3のコンソールから、VR用コンテンツの再生を選択してスタート。VirZOOMが制作したVR用コンテンツは全部で7種類用意されており、自転車で実際に走行している風景が楽しめるモードのほか、カヤックや乗馬、さらには戦車になって走り回るといったゲームも用意している。
SE3でVRコンテンツの再生を指示する。
PCとの連携はBluetoothを利用しており、ペダルの回転数とスピードを同期しているので、フィットネスバイクのペダルを早く漕げば、HMD側の映像も速く進む。ペダルの重さは自動で連動していないため、坂道で重くなるといった機能はないが、プレイ中の画面から調整は可能だ。
SE3側のBluetoothユニット。取材用のため見えるように外に配線してあった。
PC側はデスクトップのため、Bluetoothドングルを装着して通信を行う。
ディスプレーやHMDとは有線で接続している。
実際に筆者もフィットネスバイクに乗って、戦車モードを体験してみた。スピード感もあり、頭を動かすことで方向転換などにも対応しているのでかなりリアル。しかも戦車モードの場合、フィットネスバイクのボタンが発射ボタンになっており、敵を倒していくゲーム性もあるためかなり楽しい。これならトレーニングが苦手な人でも飽きずに漕ぎ続けられそうだ。
モードの選択画面。自転車を含めて全部で7つのモードが選べる。
トレーニング後のデータはあとで収集可能だ。
ライフ・フィットネス・ジャパンの担当者は、「いかに飽きずにトレーニングを続けられるかがポイント」と今回のVRシステム導入について解説していた。タブレット形状のSE3でもコンテンツは提供しているが、没入感ではHMDを使ったVRシステムのほうが上。それにより「トレーニング時間を短く感じることができる」と効果を語っている。
実際に体験してみたが、運動嫌いの筆者もこれなら楽しいと思えるほどだった。
ちなみにSE3自体はトレッドミルなどほかのエクササイズマシンにも使われているが、視野を完全にHMDで覆ってしまうため安全性を考慮して、座ってペダルを漕ぐだけのフィットネスバイクのみの対応となっている。
現状カラダが大きく動くトレッドミルなどでの使用は考えていないとのこと。
また日本エイサーが今回の協業に乗りだした経緯について、担当者は「Windows Mixed RealityのHMDを提供したが、まだまだコンシューマーへ広がるのは時間がかかりそう。しかもゲームなどマニア層にはリーチしているが、それ以外の一般の層に知ってもらうのが難しい」とし、「フィットネスのような一般的なジャンルでVRやMRを楽しんでもらえれば、もっと認知してもらえるのでは」と語っている。
個人で導入するにはちょっと高価だが、ライフ・フィットネス・ジャパンが取り扱っているエクササイズ器具は日本全国のフィットネスジムに導入されているので、今後このVRシステムを採用したジムがあちこちに登場する可能性は高い。今後はプレイできるモードを増やしていく予定もあるとのことで、導入ジムの増加に期待したい。
(TEXT by 中山智、Edited by Minoru Hirota)
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