5カ国で授業を行った理科学習の複合現実(MR)アプリがオープンソースとして公開
フィール・フィジックス
フィール・フィジックス代表が、5月29,30日のマイクロソフト社のITカンファレンスで、複合現実技術を使った理科学習アプリを、セッションを理解し実践するのを援助するために、オープンソース化し提供します
理科学習アプリ開発会社 フィール・フィジックス(所在地:三重県四日市市)代表の植田達郎は、5月29,30日に開催される「de:code 2019」における MVP パーソナルスポンサーとして、複合現実(MR)技術(Microsoft HoloLens)を使った理科学習アプリをオープンソースとして公開し提供します。
「de:code 2019 MVP パーソナルスポンサー」とは、Microsoft MVP アワード 受賞者の中でも、de:code 2019 のセッション内容をより深く理解し実践するのに役に立つサンプルコードやツールを提供した17名です。前記テクニカルカンファレンスのホームページで紹介されています。
このアプリは、弊社が開発し、5カ国10の学校300人に対する理科の授業で弊社が使用したものです。
フィール・フィジックス(所在地:三重県四日市市)代表の植田達郎は、5月29,30日に開催される「de:code 2019」*1 における MVP パーソナルスポンサーとして、複合現実(MR)技術 *2 (Microsoft HoloLens)を使った理科学習アプリをオープンソースとして公開し提供します。
https://github.com/feel-physics/HoloMagnet3
「de:code 2019 MVP パーソナルスポンサー」とは、Microsoft MVP アワード *3 受賞者の中でも、de:code 2019 のセッション内容をより深く理解し実践するのに役に立つサンプルコードやツールを提供した17名です。前記テクニカルカンファレンスのホームページで紹介されています。
https://www.microsoft.com/ja-jp/events/decode/2019/sponsor.aspx#primaryR14
このアプリは、弊社が開発し、5カ国 *4 10の学校 *5 300人 *6 に対する理科の授業で弊社が使用したものです。
理科学習アプリについて
1. 内容
複合現実(MR)ヘッドセット「Microsoft HoloLens」を装着し、私たちが開発した理科教材アプリを起動すると、目の前に朱と青色に分かれた棒磁石が現れます。周りには多くの方位磁針が並んでいます。
棒磁石をつまむように動かすと、それに応じて方位磁針の向きがいっせいに変わります。さらに、磁界の様子を3次元で表示することができます。生徒は、周囲を動き回ったり、しゃがんで見上げたりして、様々な角度から観察することができます。
本来は目に見えない「磁界」が、視覚的・体験的に理解できるようになっています。
2. 背景
中学校の理科では「磁界」というものを学びますが、その説明は「目には見えないけれども空間に広がっている」というように、とてもイメージしにくいものです。このため、多くの生徒が理解できず、理科離れを引き起こしてしまう原因となっていることを、理科教育の研究者たちは指摘しています。7
私たちが開発したアプリは「磁界」を可視化し、現象のイメージをもたせることができます。これにより、子どもたちが理科を楽しんで学習できます。さらに、優れたアプリのラインナップを増やし、最終的には世界の科学教育の向上に貢献していきます。
授業実践と効果について
開発したアプリを使って実際に学校で授業を行い、フィードバックを元に改良し、さらに別の学校で授業を行うということを繰り返しました。現時点で、アフリカのガーナ 8 、ルワンダ 9 を含む5カ国の、10の学校と2つの展示会において、300人に対し授業を行うことができました。授業をした300人全員の授業後の満足度と、そのうちの3校における学習効果を測定しました。
1. 授業に対する満足度
授業に対するネット・プロモーター・スコア(NPS)満足度を収集しました。結果は、授業を重ねてアプリを改良するほど高くなました。1回の授業の満足度と企業のサービス全体の満足度を比較することは単純ではないと考えられますが、数値としては Amazon 社の満足度を超えました。*10
2. 学習効果
a 磁界の向き
授業前の多くの生徒は棒磁石のN極、S極のすぐ近くの場所の磁界の向きについてはわかるものの、極から離れた場所の磁界の向きがわかりませんでした。授業後はほとんどの生徒が、棒磁石から離れた場所についても正確に磁界の向きを答えることができるようになりました。スコアは13%~42%上がりました。
b 3次元としての理解
この理科学習アプリでは3次元の磁界のようすを、生徒が動き回って様々な角度から観察することができます。生徒たちからは「磁界は2次元のものだと思っていたが、3次元なのだと初めて知りました」「2次元や3次元を通常の実験で見るのは難しいので心によく残りました」「いろんな角度から見れるので覚えやすかったです」といった反応がありました。
c 研究報告
これらの効果については日本物理教育学会から研究報告の執筆を依頼されており、学会誌に詳細が掲載される予定です。
授業・体験展示をしています
開発したアプリを使った、目に「見えない」現象が「見える」授業・体験展示を、出張して行っています(現在は新しいアプリの開発に専念しており、本年度12月から再開する予定です)。費用は、現在は交通費のみ頂いております。中学校・高校の理科・物理・総合学習の時間や催事場でのイベント、博物館の展示などに最適な内容です。リクエストをお待ちしていますので、関心を持っていただいた方は当方にご連絡(以下の「本件に関するお問い合わせ先」です)下さい。
授業・体験展示をおこなって、子どもたちが理科を楽しんで学べるよう努めると共に、子どもたちの反応を観察して学習アプリの質と量を高めていきたいと思います。
代表プロフィール
京都大学理学部物理学科卒
京都大学情報学研究科修士課程修了
公立中学・高校の教諭として10年勤務
理科学習アプリ開発会社を設立
Microsoft MVPアワード受賞
三重大学非常勤講師
本件に関するお問い合わせ先
フィール・フィジックス 植田達郎
電話:080-4387-0629
ホームページ:https://feel-physics.jp
メール:[email protected]
所在地:三重県四日市中町8-13
脚注
*1 マイクロソフト社の開発者をはじめとするITに携わるすべてのエンジニアのための年に一度のテクニカルカンファレンス(出典:de:code (decode) 2019 | 開発者をはじめとする IT に携わるすべてのエンジニアのためのイベント https://www.microsoft.com/ja-jp/events/decode/2019/default.aspx)↩
*2 複合現実感は、通常、ゴーグル型のヘッド・マウンテッド・ディスプレーhead mounted display(HMD)を用い、実際に目で見ている視野に、文字やコンピュータ・グラフィクスなどを重ねて映し出すことで知覚情報の複合的な増幅を行う。ディスプレー着用者が頭部を動かせば、視界の変化を瞬時に読み取り、実在する世界と電子的な情報が自然に融合するように位置合わせが行われる。具体的には手術時の患部の拡大映像表示装置、機器製作工程や設計のシミュレーション、軍隊での敵探索の赤外線暗視スコープ、ゲーム、アニメ、広告などで使用される3D映像などに利用されている。(出展:ニッポニカ日本大百科全書 https://kotobank.jp/word/%E8%A4%87%E5%90%88%E7%8F%BE%E5%AE%9F-617201)↩
*3 マイクロソフトの製品やテクノロジーに関する豊富な知識や経験を他者と共有することで、すべてのユーザーが最大限に製品を活用できるよう多大なサポートをおこなったコミュニティのリーダーに、マイクロソフトが感謝の意を表して授与する賞。MVP(Most Valuable Professional)アワードの表彰は全世界で行われており、現在は、世界 90 か国以上、4,000 名を超える方々が MVP として精力的な活動を続けています。(出典:マイクロソフト MVP アワード プログラムとは – マイクロソフト MVP https://www.microsoft.com/ja-jp/communities/mvp/default.aspx)↩
*4 日本、イギリス、アメリカ、ガーナ、ルワンダ↩
*5 鈴鹿高校(三重県)、三重高校(三重県)、愛知総合工科高校(愛知県)、稲城市立第六中学校(東京都)、津東高校(三重県)、セントジャイルス・ケンブリッジ校(イギリス)、タマレ市立サベルグ中学校(ガーナ)、ホ工科大学(ガーナ)、トゥンバ工科大学(ルワンダ)、ルワンダ大学(ルワンダ)↩
*6 正確には310人(アンケート記入者のみカウント)↩
*7 沖花彰、兼泰子:くぎを使って磁界を見る教材の開発、京都教育大学紀要、2008および中野寛之・奥村祐介・奥村高史・佐伯平二:ペ ットボトルを使った3次元磁界観察装置の製作、日本理科教育学会東海支部大会研究発表要旨集、2010↩
*8 弊社は設立当初からアフリカの貧困問題に強い問題意識を感じていました。そのため、経営理念に「世界のすべての人の可能性の実現に貢献する」を掲げています。弊社は、アフリカにおける科学教育に貢献したいと考え、現場を理解するために実際にアフリカへ行き授業を行いました。ガーナでは、2018年10月に3週間滞在し、JICA理数系教員ボランティアの方々の協力の下、タマレ市サベルグ中学校、ホ工科大学において、授業を行いました。また、中学校2校、高校1校、教員養成大学1校を訪問し、授業の様子や学校の設備の状況などを見させていただきました。↩
*9 2018年11月に1週間滞在し、神戸市のアフリカビジネスミッション事業に参加し、トゥンバ工科大学、ルワンダ大学において、授業を行いました。また、FabLabルワンダ、ルワンダICTビジネスマッチング展示会でも、体験展示を行いました。ルワンダでは、弊社とパートナーシップを結びたいと申し出た会社もあり、現在も情報交換をしています。↩
*10 NPS とは、企業やブランド、サービスに対する愛着・信頼・満足の度合 を測るための指標です。欧米の売上上位 企業(フォーチュン 1000)のうち 3 分の 2 以上が活用しています(Jennifer Kaplan:The Inventor of Customer Satisfaction Surveys Is Sick of Them, Too, Bloomberg.com, 2016)。授業のNPSは+50を超えました。これに対し、顧客体験のコンサルタント会社Temkin Groupの2017年の報告書(http://www.temkingroup.com/wp-content/uploads/2017/09/1710_NPSBenchmarkStudy_FINAL.pdf)によると、Amazon社のNPSは48です。↩
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