【連載】神足裕司 車椅子からのVRコラム 自遊空間 編
何を隠そうボクはインターネットカフェというところに行ったことが無かった。今回初めて「自遊空間 BIGBOX高田馬場店」におじゃました。店内は明るい。思った以上に清潔で整然としている。ビリヤードやダーツ、カラオケができる空間も別料金らしいが備わっている。興味津々、きょろきょろ。
漫画や雑誌の棚も見事なまでにすっきりとまとまっていて見通しがいい。その漫画の棚の端から逆の端を覗くとVRの部屋がみえる。その一角がVRブースらしい。「VR PROWRESTLING」のポスターがその個室の入り口に張ってある。そう、ここ自遊空間はVRの映像もゆっくり個室でみられるのだ。
ボクが案内された部屋は車椅子対応の個室。普通の1人部屋よりも少しひろい。そして椅子も移動できるので車椅子のまま入ることもできる。皆さんのほうがくわしいだろうが、パソコンが1台備わっている机の前にすわってVRゴーグルをつける。 この部屋にあるVRはGalaxy というスマホを使用するGear VRというHMDだ。パソコンは関係ないのだけれど、パソコンで昼ごはんも注文できワンコインで食事もできる。好きなVRをみながら。
1時間の昼休みをここでゆっくりできるOLやオフィスマンを想像するだけでうらやましく思う。そんな空間や時間の使い方があったのだなあと、それに出会うのが遅かったことにちょっと残念な気持ちになった。
初のインターネットカフェの個室体験である。VRでお勧めのプロレスを見る。ロープの間近かで選手のプレーを見る。プロレスの会場にこれない人もいつもきている人にもいつもとは違う角度でプロレスが見れるとのこと。大日本プロレスの生中継をその小さなブースでみることができるのだ。ドスンとマットに叩きつけられるときはおもわず身体ごとよけてしまった。テレビで観戦しているのとはちがう迫力がある。
そしてやはりここはオトナVRというのも体験してみる。距離がとにかく近い! しかもVTRと違うのは本当に隣にいる錯覚を起こすことだ。自遊空間の公式ツイートにもあるようにHMDの中はオトナVRだけではなく、いろいろなコンテンツが入っている。
おかしかったのは築地市場のなかのマグロのせりや解体作業のVR。「なんだこれ?」そう思いながらも見入ってしまった。その他にも亀田三兄弟のボクシングやかわいいペットの寝顔なんていうのもあった。
VRがどんなものか体験したい人にはお勧めの空間なんじゃないかな。とにかく一人でゆっくりVR映像を見ることができるのが第一の利点。
それに食べたり飲んだり休んだりも付いて来るんだからいうことなしの空間だろう。今度はぜひ何か食べながらVRを体験したい。
●著者紹介
撮影:石川正勝
神足裕司(こうたりゆうじ)
1957年、広島県出身。黒縁メガネ・蝶ネクタイがトレードマークのコラムニスト。「金魂巻(キンコンカン)」をはじめ、西原理恵子との共著「恨ミシュラン」などベストセラー多数。2011年にクモ膜下出血発症。1年の入院生活を送る。半身マヒと高次脳機能障害が残り、要介護5となったが退院後、執筆活動を再開。朝日新聞をはじめ連載も多数。最新刊は「一度、死んでみましたが」「父と息子の大闘病記」などがある。
●関連リンク
・自遊空間
・朝日新聞デジタル 連載 コータリンは要介護5
・神足裕司Twitter