MR市場は15兆円へ&ビジュアライズ革命を起こす最新グラボ MSとNVIDIAの「VR,MRの最前線」【コンテンツ東京】

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4月3日、東京ビッグサイトで開催中の「コンテンツ東京2019」にて「VR,MRの最前線」をテーマとした特別講演が行われた。登壇者は日本マイクロソフト 業務執行役員 Microsoft 365 ビジネス本部長 三上智子氏とエヌビディア エンタープライズマーケティング シニアマネージャー 田中秀明氏のふたり。それぞれ自社製品やサービスと関連した、VRやMRの動向についてプレゼンを行った。

日本マイクロソフトの三上氏は「現実とバーチャルの融合でビジネスは変わる! Mixed Realityが巻き起こす改革」をテーマとし、まず「この1年は、さまざまなデバイスやサービスが登場しMRの地盤が固められた年だった」と振り返った。

 

▲日本マイクロソフト 業務執行役員 Microsoft 365 ビジネス本部長 三上智子氏

三上氏はMRとは、物理世界とデジタルを合わせたものであるとし、PCから手のひらやポケットに収まるスマートフォンを経て、「MRが次世代のコンピューティングプラットフォームになる」と説明。クラウド側もエッジ側もどんどん賢くなっていくことによって、あらゆるモノがデジタルでつながり、「テクノロジーが一体化していき、気がつかないうちに使っている」デジタルなしでは成り立たない世界になるという。

 

▲MRは物理世界とデジタルの融合

さらにPCやスマートフォンの世界では3次元のものも2次元で表現していたが、MRの世界は3次元のまま表現可能。普段の3次元の世界にデジタルが融合して、スクリーンの中に閉じ込められるのではなく、時と場所にとらわれない表現ができるようになるとのこと。そのためコミュニケーションの仕方もどんどん変わっていくという。

そのMRの最先端として三上氏が紹介したのが、2月末に開催されたMWC2019 Barcelonaで発表された「HoloLens 2」。HoloLens 2は前モデルと比べて、「快適性の向上」と「没入感の向上」、「価値創造時間の短縮」と3つのポイントで改善がなされているという。

 

▲HoloLens 2の3つの改善ポイント

「快適性の向上」では、長時間装着しても負担にならないことを目指して設計。本体重量自体は全モデルとあまり変わりないが、前モデルでは装着時間が1時間くらいで厳しくなるところを、3時間以上装着しても快適性は変わらないようになっているという。また装着もしやすくなっており、未使用時にはグラス部分を上げられる「フリップアップバイザー」も利用可能だ。

 

▲フリップアップバイザー機能

「没入感の向上」としては、視野角が2倍になっている点をアピール。さらに両手の指10本を認識できるため、映し出されたオブジェクトを手で拡大縮小といった操作も可能となっている。またアイトラッキングも搭載され、視線でのスクロールだけでなく、生体顔認証のWindows Helloでのログインにも対応。ヘッドセット装着後にログイン作業が不要となり手軽に作業が進められる。

 

▲視野角は2倍に

「価値創造時間の短縮」としては、Microsoft Dynamic 365での開発環境について説明。HoloLens 2と組み合わせることで、遠隔地からの「Remote Assist」や、現実世界の中で実際の大きさで空間設計などができる「Layout」、3Dでステップバイステップの作業手順を表示できる「Guides」といった機能を利用することで、サービスやコンテンツを手軽に作れるとのこと。

 

▲開発環境も充実してきている

MRを活用するためには3Dデータが必要となるが、3Dデータはサイズが大きいためHMDだけでの処理は困難となる。そこでマイクロソフトが提供しているクラウドサービス「Azure」にもMRサービスをローンチ。負荷が高い処理はクラウドのAzure側で行うことで、エッジ側でよりリッチなコンテンツが再生できるわけだ。

また位置情報などもAzure上で共有する「Azure Spatial Anchors」も用意される。これにより共通のプラットフォームでおなじ物を見ることができるようになる。これはHoloLens 2同士だけではなく、スマートフォンやタブレットといった別のデバイスを使っても、同じ情報が共有可能だ。

 

▲HoloLens 2以外のデバイスでも活用できるよう、クロスプラットフォームがすすむ

三上氏は、日本でのHoloLens導入例としてトヨタやJR東日本での事例を紹介。トヨタでは塗装厚膜検査や工場設備移設の際の動線確保や安全シミュレーションに使われているとのこと。またJR東日本では信号保守で司令室から保守センターと離れた場所でも支持が出せるシステムを構築。また線路設備の保守訓練でも活用しているという。

 

▲トヨタでの活用例

 

▲JR東日本での活用例

このように現状では法人がメインとなっているが、三上氏は「MR市場は5〜6年で15兆円になる」と予測。法人での普及が進めば「いずれコンシューマーにも爆発的に広がる」とMR市場が今後も大きくなる可能性をアピールした。

 

▲MR市場は5〜6年で15兆円規模に

続いて登壇したエヌビディアの田中氏は「NVIDIAの最新技術「RTXテクノロジー」が実現するVRとビジュアライズの革新」をテーマとし、同社のリリースした最新のグラフィックプラットフォーム「GeForce RTX」とVRの関係性についてプレゼンを行った。

 

▲エヌビディア エンタープライズマーケティング シニアマネージャー 田中秀明氏

エヌビディアはPCなどで使われるグララフィック用のプラットフォームを提供してきたが、2006年に発表した「CUDA」によって状況が変わってきたと田中氏は説明。CUBAは汎用並列コンピューティングプラットフォームのため、グラフィックの処理だけでなくディープラーニングなどの処理にも使われるようになった。そして現在ではスーパーコンピューターからロボティクス、自動運転といった分野にもGPUが活用されている。

 

▲2006年の「CUDA」の登場からグラフィック以外にも広がっていった

田中氏は「エヌビディアというとハードウェア企業のイメージが強いが、開発者の6割はソフトウェアを担当。ドライバーの上に乗る開発キットなども提供している」と話す。

さらに注目を集めているのが、昨年夏に発表され、今年になって出荷が始まっている最新モデルの「RTX」シリーズだ。RTXシリーズは従来のプロセッサーが「SHADER」と「COMPUTE」のみだったのに対し、深層学習向けの回路「Tensorコア」とレイトレーシング処理向けの回路「RTコア」を搭載。世界初のレイトレーシングGPUとなっており、これまでは複雑で処理が難しかった光の挙動のモデル化が可能となっている。

 

▲最新モデルRTXシリーズのラインアップ

 

▲「Tensorコア」と「RTコア」が搭載されている

さらに田中氏は、RTXを使った「RTX SERVER」も紹介。サーバー上で3Dレンダリングなどの思い処理を行うことで、PCなどのクライアント側の負荷を軽減でき、VRやMRなどの利用環境をさらに広めることができるという。

 

▲RTXシリーズはサーバーでも活用できる

こういったエヌビディアのGPUやシステムを使ったVRプラットフォームが「Holodeck」だ。仮想空間上に複数の人がアバターとして参加。同じコンテンツを見たり操作しながらコミュニケーションが取れる。田中氏はまず2017年にトヨタと協力して作成した「Holodeck」の活用例を紹介。クルマのCADデータをそのまま取り込み、複数人で同じデータを見ながらデザインプレビューが楽しめるようになっていた。

 

▲同一仮想空間で複数人がコミュニケーションできる「Holodeck」

Holodeckは現在「Holodeck EA2」へと進化しており、VR空間をさらに大型化し複数階にまたがるような建築デザイン内を移動可能となっている。そのほかブラウザ機能でウェブサイトやテキストを配置したり、VRのオブジェクトの平面カットの表示。アバターのカスタマイズにも対応している。田中氏は「平面カットは日本からの要望で入れてもらった機能。なぜか他国からは声があがらなかった」と話していた。

 

▲「Holodeck EA2」では空間移動などに対応

RTXシリーズは発売されたばかりということもあり、これから開発環境や採用ベンダーも増えていくとのこと。3D設計をしながらリアルタイムでシミュレーションができる「ANSYS Discovery Live」やAIを使ったレタッチ機能なども利用でき、今後のVR市場の中心となるシステムになりそうだ。

 
 
(文 中山智/編集 花茂未来
 

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