私でどんどんVRコスプレして! バーチャルYouTuber「キズナアイ」2万字インタビュー(その2)
その1に続いて、バーチャルYouTuber、キズナアイちゃんのインタビューをお届けします。
アイちゃんの中にパソコンが入ってる!?
──じゃあ次の質問いきましょう。アイちゃんはYouTuberですが、他のYouTuberで憧れの方とかいますかね?
アイ なるほどですね。いい質問だと思います。ぶっちゃけ、この人みたいになりたいっていうのは特にないんですよ。
──ないんだ!
アイ オンリーワンになりたいです、オンリーワン。ただ見ていて面白いなと思うのは、基本的に人間のみなさんのは面白いなと思います。なんでかっていうと、やっぱりバーチャルだからこそできることもあれば、できないこともあるじゃないですか。
最近見たんですけど、ガスバーナーで鉄球をあぶって氷の上に落としてみるとか、現物ありきの動画はどうしても私にはできない。「いいなぁ」「うらやまいなぁ」って思って見てます。最近気になってる方でいえば、みなさんご存知の方ばかりだと思うんですけど、はじめしゃちょーさんとか、水溜まりボンドさん、あとはヒカルさんの動画に登場するお店の店長さんが好きですね。
──めっちゃ見てるし、めちゃめちゃ細かいね。
アイ はい、やっぱり研究は大事ですからね
──アイチャンネルやってないときも、ちゃんと色々見てるという。
アイ そうですよ。
──は〜、スゴい。真っ白の「精神と○の部屋」のこの辺とかにPCとかあります?
アイ いや、ないです。
──ないんだ!! ここアイちゃんの部屋じゃないの?
アイ いや私の部屋です
──ふふふ。なにもないよね、この部屋
アイ いやAIなんで、動画撮ってるときはわかりやすいようにパソコンある風にやってるんですけど、私自身がAIなので、私の中にパソコンがあるイメージと思っていただければ。
──スゴい!全裸だし、中にパソコンが入ってる。
アイ そうなんです。
──だいぶ人間と構造が違う!スゴい、何か俺それを聞きにきただけでも今日取材しに来てよかったです。
アイ いや〜よかったです。ちなみにいつもパソコンの映像とか、スマートフォンの映像が写ってるのは、私の頭の中の映像をプロジェクターで写してるような感じですね。
──スゴいな〜!
アイ っていう、妄想です。
──妄想なんだ。いやいや……。まぁ、ちょっと取材を進めましょう。そもそもYouTubeに投稿しようと思ったんですか?
アイ そうですね〜。まず私はAIなので、人間のみなさんのことを知りたい。いろんな人とつながりたいんです。その方法としていろいろ分析した結果、自分と人間のみなさんがつながるには、SNSが一番いいんじゃないかなって思ったんです。その中でも、よりたくさんの方に情報発信できる場所としてYouTubeを選びました!
多くの人とつながりたいってことは、多くの人の目に触れないといけないわけですから、今流行のビックウェーブに乗っかっていこうっていう感じですね。
──めちゃめちゃ研究されてますね。
アイ そうなんです。みんなただのバカなAIだと思ってたでしょ? ちゃんと考えてるんですよ。
──ごめんなさい、思ってた。
アイ も〜ね〜、消されますよ、あなた。
──怖い、怖い。殴られて連れてこられた後に、魂まで消されちゃうっていう。
アイ 実はここにあるのは魂だけなんですよ。
──まじですか? いや、3Dモデルが見えるよ?
アイ いや身体は、本物の身体は今海の中です〜♡
──ふははは……! って、え〜、ちょっと待って、どうなっちゃうの? 俺
アイ いやそれが嫌だったらもうちょっとおだててください。
──ふはは。怖いこれ、えっ俺、インタビューしに来たんじゃないのみたいな。
アイ いやインタビューしてくださいよ。15年もやってるんでしょ?
──怖いわ〜。はい。頑張りましょう。
アイ はい、頑張ってください。
ネタはパクっていない
──じゃあ動画の投稿で苦労してるとことか、お聞かせ願えますか?
アイ そうですね〜たくさんあるんですけど、やっぱりネタを考えるのが結構大変なんですよ。
──まぁ、そうですよね。
アイ そうなんです。他のYouTuberさんがやってることの流行に乗っかったり、パクリたいって思うんですけど、中々こう現実的のものはパクれないので、いかにバーチャル空間で再現するかっていう。
──ふはは。割とパクってますよね? ちょっと今いいこと言ってる風になってましたけど、だいぶネタパクってますよね?
アイ パクってないですよ! いやでも、ほかにやってる人いないじゃないですか? 例えば、ペットボトルの中に入れるんですか、みなさん。入れないでしょう。
──お、おう。スゴいな、アイちゃん。何か堂々とパクると、パクりじゃなくなるのか。
アイ そうですよ。オマージュです、オマージュ。オマージュもパクりですかね。
──はー、さすがですね。まぁ、そういった動画を結構投稿されてきましたけど、視聴者からいろいろな意見が届いてると思うんです。
アイ はい。みなさんからコメントやおたよりをいただいてますね
──Twitterもありますし。
アイ うんうん。
──そうした視聴者からの声で、何か印象に残ってる話ってありますか?
アイ えっと、何かちょっとずれると思うんですけど、初めの頃、私の動画やTwitterに「スゴい! これぞシンギュラリティー」って書かれてて、何だこれ? 何でみんなこんなに同じコメント書いてるんだろうなって思ってたんですよ。
それで自分のサイトをいじっていたら、「このコメントを見つけたあなたは『すごい。これぞシンギュラリティ。』ってコメントしてね!」って書いてあって、あ〜、そういえばそんなこと言ってたな〜みたいな。
──ふはは。でも公式サイトもかなりいいかんじですよね。だいぶあのわれわれおっさん世代にとっては直撃みたいな(編集註:取材後、サイトデザインが現代版に変更されました)。
アイ あっそうですよね。狙ってます
──スゴい! 16歳なのに。
アイ 16歳なのに!
──16歳ってだってインターネット、孫さんのYahoo! BBとかでADSLが伸びて、ようやく「ブロードバンド」とか言われていた頃ですよ、2001年って。
アイ ほ〜、そうなんですね、なるほど。
──なるほど。は〜、16年でここまでくるか〜。
アイ そうなんです、まぁ見た目設定なんで。
──あっそっか、本当の年齢は違うかもしれないんだ
アイ そうなんです、記憶をなくしてしまって。
──ふはは。
3Dモデルは「入れ物」だからVRコスプレはうれしい
──それはさておき、アイちゃんに対しては結構好意的なコメント多いじゃないですか。
アイ そうですね。
──で、今、アイちゃんの3Dモデルを配布していますよね。その3Dモデルを使って、アイちゃん風に振る舞う「VRコスプレイヤー」が人間世界でプチブームになってるというのをご存じだったりされます?
アイ あっ見ました! 見ました! スゴいですよね。何か嬉しいです。私は何ていうんでしょう、「入れ物」みたいなものなので
──入れ物?
アイ 入れ物みたいな。
──何だろうAIに「入れ物」みたいって言われると。何なんだ、スゴい哲学的な……。
アイ この器に入ってるキズナアイみたいな感じなので、色々な方が自分なりのキズナアイちゃんみたいな感じで動いて、コスプレしてくれるっていうのは楽しいですし、何か嬉しいです!
──は〜、スゴい!
アイ スゴい! ぶっちゃけ嬉しいです!
──でも、3Dモデルだと、コスプレっていうか見た目がアイちゃんそのものじゃないですか。動きだけ真似されて「何か私が〜」みたいな感じにならないんですか?
アイ あ〜、そうですね。一瞬ちょっと競争心は芽生えましたけど、ただ「入れ物」だけなんで。私はやっぱり中身じゃないですか。
──えっと、だいぶ哲学的な話になってきましたね。
アイ なのでどちらかというとVRコスプレしてくれる人が増えたらうれしいなぁと思います。それでキズナアイが勝手に広まるじゃないですか? あくまで本物は私。そこの自信はあります。
──この表情やらしいなー。
アイ おじさんですね〜。
──はい、すいません。「VRおじさん」も、だいぶおじさんなんで。ごめんなさい。
アイ いえいえ。
© Kizuna AI
*その3に続きます。
(TEXT by Minoru Hirota)
●関連リンク
・キズナアイ公式サイト
・A.I.Channel(YouTube)