VR/ARやドローンなどに応用も ソニー、小型&低消費電力のToF方式距離画像センサー開発
ソニーは、ソフトキネティックシステムズの画素技術「CAPD」を応用し、10マイクロメートル角画素の裏面照射型Time of Flight方式(光の反射を利用した距離測定、ToF方式)距離画像センサーを開発したと発表した。高度な位置取得技術を小型化することで、VR/AR分野や、ロボット、ドローンなどへの応用を想定している。
ToF方式は、光源から発した光が対象物で反射し、センサーに届くまでの時間差を検出することで、対象物までの距離を測定する方式だ。ToF方式を採用したイメージセンサーは、画素ごとに距離情報を検出できるため、高精度な距離画像を取得する。
ソフトキネティックシステムズが保有する、ToF方式を実現する画素技術「CAPD(Current Assisted Photonic Demodulator)」は、反射光信号の読出し精度を上げるため、高速処理が可能な独自の画素構造を採用。各画素の測距精度が上がり、遠距離でも正確な測定と距離画像の取得が可能となる。
ソニーは「CAPD」とソニーの裏面照射型「CMOSイメージセンサー」の画素技術を融合させることで、業界最小となる10マイクロメートル角画素の裏面照射型ToF方式距離画像センサーの開発に成功。配線が受光部の下に配置されるという裏面照射型構造の優位性を活かしたほか、画素構造と画素内配線を「CAPD」にあわせて最適化することで、集光効率を向上させ、測距のための高速な処理が可能となった。これにより、従来比1.5倍の距離でも、従来と同等の精度を実現。また、高い集光効率により、光源の出力を抑えられ、モジュールの低消費電力化と小型化にも貢献する。
近年、VR/AR分野のほか、自律的な動作が必要となるロボットやドローンなどの市場において、より正確な距離画像の取得が求められている。今回の開発品は、低消費電力かつ小型ながら高精度な測距性能を実現することで、今後は、ジェスチャー認識や物体認識、障害物検知など、ToF方式距離画像センサーの応用領域を広げていくとしている。
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・ソニー ウェブサイト
・ソフトキネティックシステムズ ウェブサイト