カワイイ360度カメラ「Giroptic IO」レビュー スマホですぐ撮りがめちゃくちゃ気持ちいい!!
まだまだ続くCES 2017のレポート。360度カメラの中から、仏Giropticが展示していたiPhone/iPad向けの「Giroptic IO」について取り上げていこう。
「すぐシェアしたい!」までの障壁をより少なく
VRゴーグルとその周辺ほど急速ではないが、360度カメラの世界も徐々に進化している。CES会場では昨年同様、中国系企業から360度カメラが山のように出展していたが、その中でも「RICOH R」をはじめとするライブストリーミング対応機や、「Insta360 Pro」のような高性能プロ向けソリューションなど、単に360度撮れるだけでなく一芸に秀でた製品が目立っていた。
そうしたトレンドのひとつとして、スマートフォン向けが挙げられる。先の「Insta360 Nano」が切り開いた分野で、スマホの端子に360度カメラをはめ込んで、静止画や動画を直接端末に取り込めるのがメリットだ。
Insta360 Nano。
このスマホ向け360度カメラが素晴らしいのは、「撮ってすぐにシェアしたい」というニーズに直撃している点に尽きる。
小○製薬風に言うなら「ネットシェア、一秒でも早く!」というわけで、日常で面白いものに遭遇したらFacebookやTwitter、YouTubeなどに投稿して、みんなで楽しみたいという人も多いだろう。その目的を達成するために、スマホのフロント/バックに内蔵した両カメラを使って360度撮影できればベストだろうが、現状ではそうした製品が存在していない。というわけだ、スマホ向けカメラを使うのが最適解になる。
もちろん「THETA」シリーズや「Gear 360」などもスマホ経由ですぐにシェアできるが、無線LANの設定が意外と面倒だ。カメラ側の電源を入れてスマホの設定画面で……と毎回やるのは、意外としんどい。そしてすぐにシェアできないと、得てして「もういいかな」と萎えてしまいがちだ。
めちゃくちゃ前置きが長くなったが、そのスマホの分野に新たに名乗りを上げたのが、Giroptic IOだ(ニュース記事)。Giropticといえば、3つのレンズを備え、防水性能をうたった360度カメラ「360cam」が有名だが、今年のブースでは一切展示しておらず、このGiroptic IOに全振りだった。
ブースの様子。
カメラを差すだけで使える
実際にテスト機を借りて、CESの期間中から使っているが、これが非常にいい。とにかく難しくなくて、ストレスが少ないのだ。特徴を3行でまとめると、
・手のひらサイズの小ささ
・差してすぐに使える
・ライブ配信にも対応
といった感じ。実際、ズボンのポケットに入れてラスベガスの街を歩きながら、気になったものがあったらサッと取り出してスマホに装着して360度で写真や動画を撮影──というのは、なかなか気軽だった。大事なことなので2回言うが、カメラを差すだけで使えるというのが非常に素晴らしい。
透明ケースが付属するので、ポケットに入れていてもレンズが傷つく心配がない。なお仕様としては、レンズは195度でF1.8が2基、解像度は静止画が3840×1920ドット/JPEG、動画が1920×960ドット/MP4(H.264)だ。
まずはApp Storeからアプリを入手してセットアップしておこう。
iPhone 6sに装着した様子。iPhoneは逆方向に持って、Lightning端子にGiroptic IOを差してしばらく待つと、アプリが自動的に起動する。
画面の左右フリックで、PHOTO、VIDEO、LIVEの撮影モードを変更。下の青いボタンをタップすると撮影が始まる。
撮影した静止画や動画は「Moments」に保存されるほか、「写真」アプリのカメラロールからもアクセスできる。
実際にラスベガスのマッカラン国際空港で撮影した静止画。クリックで実寸が開きます。
もちろんiPhoneでの動画の再生も可能。最初からジャイロがオンになっており、自分を中心に端末を360度回すことで、見たい方向に映像が自動で切り替わる。また、画面をフリックすることで視点を変更することも可能だ。
右下のゴーグルアイコンをタップし、スマホ向けの2眼VRゴーグルにiPhoneをセットして閲覧することも可能だ。
海外でパケット代が怖くてYouTubeライブ配信までは検証できなかったが、ニーズがあればチェックします!
そこから静止画ならFacebook/Twitter/Instagram/Flickr、動画ならFacebookやYouTubeに投稿と、スムーズにシェアまで持っていける。
Facebookでは、タイトルや説明、公開範囲などを設定して360度の状態でシェアできる。
TwitterやInstagramなどでは、「リトルプラネット」と呼ばれるカメラを中心にして360度映像を平面に展開した状態でシェアが可能だ。
機能的な側面だけでなく、見た目の可愛さも見逃せないだろう。
もちろん、使っていて不満がないわけではない。筆者はiPhoneをケースにいれているが、ケースから出さなければGiroptic IOは装着できない。また、iPhoneの端子に完全に固定されるわけではないので、斜めや横方向にして撮影しようとすると落ちそうになってしまう。三脚穴がないため、基本、iPhoneを手持ちでの撮影になってしまうのも、アングルが限定されてしまうだろう。
画質も暗所でややノイズが目立つなど、そこまで高いわけではないが、この辺は最終製品ではないので、なんとも言えない部分がある。実はこのRazerの記事の360度動画も、Giroptic IOで撮影したものだが、暗所では解像感がかなり落ちてしまう。
バッテリーはiPhoneから給電できず、本体内蔵のバッテリー(915mAH)を利用する。充電はマイクロUSB。
充電時は側面のランプが点灯する。ライブ配信時は外部給電できないため、短時間しか使えないだろう。
ただ、そうした細かい話は、使い勝手のよさの前には正直どうでもいいことだ。今撮って、今ネットにシェアして、今楽しみたい。そんな360度カメラを求めている方は、Giroptic IOにぜひ注目してほしい。
……といっても、オンラインストアでは売り切れで、2月27日にならないと購入できないようだが。
(TEXT by Minoru Hirota)
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