【TGS2018】元セガ・鈴木祐氏が手掛けるVR eスポーツ「VRSUS」発表 有野課長も駆け付けたJPPVRステージレポート
JPPVRとVReSは、9月20日開催の「東京ゲームショウ2018」ビジネスデイ1日目にて、新作VR eスポーツタイトル「VRSUS(バーサス 仮称)」を発表した。同タイトルは「ハングオン」「バーチャファイター」「シェンムー」などを手掛けてきた元セガの鈴木祐氏を中心に開発が進められており、ステージイベントに同氏も登壇。「ゲームセンターCX」の有野課長も駆け付け、開発陣らがVRゲームやVR eスポーツの魅力を存分に語った。
TGS2018では「VRSUS」の発表を含めたステージイベントを実施。その内容をお届けしよう。
セガ時代からVR開発に取り組んでいた鈴木祐氏が総合プロデュース
VRゲームで実際に体を動かして競い合うeスポーツを「VR eスポーツ」と定義するVReS。これは「eスポーツ」の中でも特に「スポーツ」に近い存在となる。
VReSはゲームの開発を含めた「VR eスポーツ」を広めるさまざまな取り組みを世界中で行っており、日本国内を中心とした地域では、数々のロケーションVR筐体・ゲームを販売するJPPVRとタッグを組んでいる。その中で、総合プロデューサーとして鈴木祐氏を招いて贈る新作「VR eスポーツ」タイトルが「VRSUS」となる。
▲左からVReS Seralyn Campbell CPO(と通訳の方)、鈴木祐氏、JPPVR 田端俊哉専務
JPPVRの田端俊哉専務、VReSのSeralyn Campbell CPOとともに壇上に上がった鈴木氏は、「VRSUS」の開発の経緯について「VR」に興味がもともとあったことに加えて、「アーケード向け」であったことを理由に挙げている。
80年代から「ハングオン」のような特殊な筐体を使ったゲーム(この場合はバイク型)や、「アフターバーナー」のような奥行きを感じさせるゲームを手掛けてきた鈴木氏は、90年代には早すぎた「VR」のゲーム開発・実機稼働に挑戦したこともある。実に「あの時代のセガ」らしい話だ。昨今衰退しつつあるアーケード業界を「VR eスポーツ」で再び活気づけるきっかけになれば。そんな思いから、総合プロデューサーとして開発に参加することになった。
「VRSUS」はどんなゲーム?
開発の進行具合については「まだ始まったばかり」「ゲームの面白さがどこにあるのか探している状態」とした上で、その開発中のプロトタイプを使い、コンセプトを伝える紹介映像のほか、なんとHTC VIVEを含む筐体を利用した実機による対戦プレイを披露。
ジャンルとしては1対1で戦うシューティングとなっている。狭めのトンネル状の空間に向き合った2人が、相手の頭部を狙って大量の球を撃ち合うというシンプルなルールだが、体の動きで球を避けることはもちろん、溜め撃ちによる巨大な球の発射、シールドを構える、時間をスローにする、球の速度を加速させるなどなど、状況に応じた駆け引きや読み合いが熱いゲーム内容となっているようだ。また、3Dではあるものの、大量の球を掻い潜って相手を倒すという目標に向かう爽快感は「弾幕シューティングゲーム」的であるとも感じた。
▲(H)3m ×(W)3m ×(D)15mの電子空間をアリーナが取り囲む
▲実機による迫力のデモプレイも披露。2戦中2戦、女性が勝利した
体を動かしてプレイする姿がスタイリッシュで格好良く、プレイして楽しめる要素と見て楽しめる要素が両方しっかりとある点はまさにスポーツ的なアプローチと言えそうだ。
鈴木氏は「どんどん良くしていきたい」「(VRの良さを活かして)自由にしていきたい」「まだいろいろなアイデアがあるがチューニングができていないので(導入はこれから)」と力強く語ってくれた。産声をあげたばかりの、アーケード向けVR eスポーツタイトル「VRSUS」。続報に期待したい。
有野課長が登場!VRゴーグルデビュー!
「TGS2018」オフィシャルサポーターの有野課長がトークセッションに登場。鈴木祐氏とは15年ほど前に「ゲームセンターCX」の番組内コーナーで会ったことがあるとのことで、有野課長は「シェンムーどうなったんですか?」と、ブースを飛び越えて現在開発中の最新作「シェンムーIII」の話題に。ここで国内初公開となるトレーラー映像がサプライズで流れるなど、大盤振る舞いな「シェンムートーク」が繰り広げられた。
▲JPPVRブースでまさかの「シェンムーIII」映像!
話題がVRゲームになると、有野課長はVRゴーグルを着用した本格的なVRは未経験とのことで、JPPVRブースの出展タイトル「PHOTON BIKE」をプレイすることに。鈴木祐氏を含む4人対戦を行った。有野課長は初体験のVRゴーグルに戸惑いながらも、コンパニオンの誘導でバイク型筐体にまたがる。メニュー画面に表示される女の子にも興味津々のようだ。
▲しばらくメニュー画面の女の子を凝視する有野課長(笑)
今回、有野課長も体験した「PHOTON BIKE」は、アミューズメント施設向けの筐体であるため、ゲームに合わせて速度や浮遊感を身体で感じられる風なども受けられるゴージャスな仕様となっている。ゲームスタート後はVR空間と筐体の仕様に大興奮。ジャンプ台で「うわああああああああ!」と大声をあげたり、減速するステージの仕掛けに当たって「痛い痛いっ!」と思わず声が出てしまったりと、VRならではの体験をしっかりと味わっていた様子だった。
▲有野課長の勇姿
レトロゲームに詳しい有野課長らしく「ハングオン」を思い出すといった感想も飛び出した。これには「ハングオン」の生みの親である鈴木祐氏も納得。新旧バイク筐体ゲームで改めてゲームを「体感する」というVRの魅力が伝えられた形となった。「PHOTON BIKE」というゲーム自体に「ハングオン」へのリスペクトが込められていることは、筐体のコンセプトなどから筆者にもビシビシ伝わってきた。
▲「ハングオン」の生みの親でもある鈴木祐氏が最新のバイク筐体に乗る
「VR Sportsワールドトーナメント」2019年開催へ
VReSとJPPVRが共同開催するVR eスポーツ大会「VR Sportsワールドトーナメント in アジア」を発表。年齢、性別、国籍はもちろん障がい者も含めたユニバーサルなeスポーツ大会を目指すという。賞金総額は日本最高クラスになるとされ、第1弾は2019年に開催予定とのことなので、続報に期待しよう。
また、VReSは9月24日より、シンガポールを拠点とする取引所である「Bit Forex」に上場することもあわせて発表した。
ゲーム大好きアーティスト・宮崎歩氏登場
続いてゲストに「デジモンアドベンチャー」挿入歌「brave heart」などで知られる音楽クリエイター/アーティスト・宮崎歩氏が登場。宮崎氏は、ブースで流れるジングルや、VReSの新作ゲームにも音楽を提供しており、このトークセッションコーナーでは鈴木祐氏ら4人でさまざまなお題に沿ったトークを展開した。ブースイベントの最後には宮崎歩氏のミニライブも実施。「デジモン」曲などで会場を大いに盛り上げた。
鈴木祐氏を中心に紐解かれた新旧体感ゲームとVRゲームの歴史。ゲームの歴史を生き証人である鈴木祐氏が中心となって動き出す新作VRゲーム「VRSUS」は、アーケードに人を呼び戻すための「VR eスポーツ」をコンセプトしている。鈴木氏は「eスポーツ」という言葉が登場するはるか前に、自身の作品のひとつである「バーチャファイター」の全国大会を数万人が参加する規模で開催したこともあり、体感する「VR」と、大会が盛り上がる「eスポーツ」の相性をすでに予測しているのかもしれない。
「VRSUS」は「VR eスポーツ」分野の起爆剤となるのか。今後のJPPVR、VReS、鈴木祐氏の動向に大いに注目したい。
▲左から、司会を務めた吉田仁美さん、VReS Seralyn Campbell CPO、鈴木祐氏、宮崎歩氏、JPPVR 田端俊哉専務
(TEXT by 津久井箇人 a.k.a. そそそ)
*東京ゲームショウ2018の記事まとめはこちら
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