バーチャルYouTuberとは? 時代を切り開く最先端アイドル/タレント

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この数か月で「バーチャルYouTuber」という言葉を目にする機会が圧倒的に増えている。YouTubeにおいて、自らが企画・動画出演して活動する配信者を「YouTuber」と呼ぶが、「バーチャルYouTuber」はその流れで誕生した存在だ。

彼らは現実世界ではなく、主に「仮想空間」において「仮想の身体」でさまざまな動画配信を行う。略して「VTuber」と表記・呼称されることも多い彼ら/彼女らは、一体何者なのだろうか。

 

バーチャルYouTuberとは?

そもそもPANORAは「xR(VR/AR/MR)」を取り扱うニュースメディアだ。そんなPANORAが「なぜVTuberを積極的に取り上げるのか?」と疑問に思う人も多いだろう。しかし「VTuber」と「xR」の技術は、非常に密接な関係にある。

もちろんデジタル生命体やAIであり、一個人である彼/彼女らがどのように仮想世界に顕現しているかはケースバイケースであり、元から具現化している場合もある。あくまでも現実世界の人間に知覚してもらったり、交流するに際して必要となる技術のひとつである。

さて、仮想空間で「仮想の身体」を自由に動かしたり、表情をリアルタイムに反映させたりするには、何らかのキャプチャー技術が必要となる。VRデバイスが比較的安価に手に入るようになったこと、あるいはiPhone Xなどで表情を読み取る技術が発達したことなど、さまざまな要因が重なって、昨年末頃から「VTuber」の台頭を加速させたと言える。

 

▲VIVEとVIVEトラッカーで従来より安価にモーションキャプチャー環境を構築

 
前述した「仮想空間」における「仮想の身体」は、どんな形でも構わない。それが2Dのイラストを動かすものでも、3Dの高精細なモデルを動かすものでも、すべて「VTuber」であるとPANORAでは考えている。

そのため、本記事の内容も「VTuber」とは一体何なのか「ザックリ」と説明するに留めている。また「VTuber」であると名乗っていない方々を便宜上「VTuber」と呼称することにもご留意いただきたい。

さまざまな場所で目にするようになった「VTuber」たちが、どのような経緯で昨今のブームを巻き起こしたのか、その歩みを振り返っていこう。

 

国内の先駆者「キズナアイ」登場


海外では数年前から「VTuber」の活動に準ずる動画をYouTubeに投稿していた人が少なからず存在する。しかし、国内でその存在を大きく広めたのは間違いなく「キズナアイ」だろう。何より「世界初のバーチャルYouTuber」ということで、「バーチャルYouTuber」という言葉そのものを作ったのが彼女自身である(PANORA調べ)。

その登場は2016年12月と、ブームが起こるおよそ1年前まで遡る。PANORAでは、2017年2月にインタビュアーがキズナアイの待つ仮想空間に赴くという試みを行い、独占インタビューを実施。ブレイク寸前の彼女の言葉を伝えている。

 
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四天王と呼ばれる5人


2017年、のちに「VTuber」の「顔」となる存在が次々にデビューする。6月に「シロ」、10月に「ミライアカリ」、11月に「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん」、12月に「輝夜月」と、1年間で「キズナアイ」を含めた「四天王と呼ばれる5人」が揃った形だ。しかし、この時点で「VTuber」と呼ばれる存在はまだまだ数えられるほどしかおらず、現在とはブームの規模が異なる。

現在の巨大なブームは、彼女たち5人を起点としていると言っても過言ではないだろう。そして、2017年末頃から、彼女たち5人を中心に「VTuber」を取り巻く環境が大きく動き出した。

 
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ファンの応援が直接届く仕組みが整い始める


「VTuber」として活動するために、機材・開発・クオリティ維持など、さまざまな面に費用が掛かることも事実だ。そしてこれを動画の広告収入だけでまかなうのは難しい面がある。

しかし、2017年末に「ミライアカリ」が実施したクリスマス生放送では、YouTubeの「スーパーチャット」機能(いわゆる「投げ銭」)によって、1回の放送中に27万円を達成したことが大きな注目を浴びた。

YouTubeに限らず「ときのそら」が活動初期から配信している「Mirrativ」や、「東雲めぐ」が活動している「SHOWROOM」など、「投げ銭」や「ギフティング」といった機能を持った動画配信サービスでのVTuber活動が、個人だけでなく法人のVTuber運営のマネタイズ手段として認識されるようになっていく。尚「Mirrativ」では、後に「にじさんじ」の活動が始まる。

このほか、「富士葵」は2018年1月~3月に実施したクラウドファンディングで2000万円以上の支援金を集めている。この流れは形を変え、企業がバックアップするVTuberに限らず、個人VTuberがファン活動を行うために「pixiv FANBOX」を開設するなどの方法で、ファンにアプローチしている。

このように、ファンの声援が直接VTuberに届く仕組みが整い始め、それが反映されて新衣装や仮想世界のボディーの高精細化、配信のクオリティアップ、グッズ製作に繋がり、その活動をお互いに楽しめるようになってきた。

また最近では各種VTuber向け配信ツールもリリースされ、「VTuber」は、それまでよりも「デビュー」しやすい状況が整っていると言えそうだ。

 
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市場が巨大化し、マネージメントも活性化


2017年末からのおよそ半年の間で「VTuber」市場は大きく拡大した。その最もたる例は、大手企業の参入だろう。もともとVR市場に力を入れてきたエイベックスが主体となるVTuberプロジェクトの始動や、グリーによる事業投資などは、まだまだ氷山の一角に過ぎないのかもしれない。

また、ディー・エヌ・エーが運営するニュースアプリ「ハッカドール」のキャラクターや、Cygamesのメディアミックスプロジェクト「ウマ娘 プリティーダービー」の「ゴールドシップ」など、既存のIPをVTuber化する動きも増えてきた。

市場が急激に巨大化する中で、有名VTuberをマネージメントするプロダクションが登場してきたことも必然だ。「.LIVE」「ENTUM」「カバー」など、既存のVTuber運営会社がプロダクション事業を本格化するケースや、もともとスマホアプリなどを手掛けてきたxR技術に強い会社がVTuber事業を新規で開始するケースが多い中で、「ジャストプロ」のようにタレント事務所が「VTuber」の企画を立ち上げるケースなどもある。

さらに、グループ性を強く打ち出したVTuber運営は企業・個人問わず増えている。2018年1月に事業を本格始動した「にじさんじ」の公式配信者の大ブレイクを例に、今後も増加していくことが予想される。

 
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活動はYouTubeの外側へ


「バーチャルYouTuber」と呼称される彼ら/彼女らの活躍の場は、もはやYouTubeだけに留まらない。国内においてYouTubeとライバル関係にある動画共有サービス「ニコニコ動画」が4月に開催したイベント「ニコニコ超会議2018」では、VTuberを全面に押し出した企画が多数出展され話題になったほか、その後も「バーチャルYouTuber人狼」など、ニコニコだけで配信するVTuberの番組も増えつつある。

さらにはインターネットを飛び出し、テレビ番組への出演や大手企業タイアップを果たすVTuberも続出している。この流れは、今後も続くことになるだろう。

 
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3000人のVTuber、1000万人規模のファン


1年半前には「キズナアイ」たった1人だった「バーチャルYouTuber」も、現在は3000人まで増えている。また、YouTubeのチャンネル登録者はのべ1000万を越えている(ユーザーローカル調べ)。

テレビ出演が増加傾向にあるVTuberだが、YouTubeでの配信は、その対極にある「視聴者との双方向コミュニケーション」を重視した「ライブ配信」が増加傾向にある。

さらに、VTuber本人と仮想空間で会えるかもしれないVRコミュニケーションツール「VRChat」のユーザーは、2017年12月5日時点でおよそ15万人だったが、2018年1月17日時点で195万人2月には300万人と急増し、VTuberの人気拡大と比例するように広がりを見せている。

 
 
たった1年半ほどでこれほどまでに環境が激変したVTuber界隈。かなり近い将来、インターネットの利用者1人1人が仮想空間で自分だけのアバターを持つような「バーチャル」が特別ではない時代が到来するはずだ。仮想空間と現実空間の隔たりを感じない、そんな時代が来たときに「バーチャルYouTuber」と呼称される存在は珍しくなくなってしまうのだろう。

それでも、彼ら/彼女らは「バーチャルタレント」「バーチャルアイドル」「バーチャル芸人」……どんな呼称かはわからないが、特別な存在として、さまざまなアプローチで我々を楽しませてくれるに違いない。

 
(TEXT by 津久井箇人 a.k.a. そそそ/編集 花茂未来

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