かわいいは心のATフィールドを取り払う 「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん」独占インタビュー(後編)

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前編に引き続き、今、ネット上で話題になりまくっている「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」こと「ねこます」氏のインタビューをお届けしよう。

 
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「ケモミミっ娘の世界を構築したい」

──今回、いきなり有名になったわけですが、じゃあ今後何をしたいのかというお話をお聞かせください。

 
ねこます 一つ言えるのは、とにかく自分の芯にあるのが「ケモミミっ娘の世界を構築したい」という思いなんです。その目的を達成するために、3DやUnity、VRやMRといった具合にプレゼンス(実在感)の高い方法を選んできました。要はケモミミ帝国につながることだったら色々と挑戦していきたいというのがあります。

なので、3DもUnityもVRも続けて生きますし、新しい技術で面白いものがあったら取り入れて行って、自分の中にあるケモミミ帝国の概念を拡張していきたいです。それがやりたいことの全般です。具体的に言えば、VRChatの3Dキャラクターを増やしたり、動画を増やしたりということになると思いますが。

 
──いやぁ、これだけ有名になったタイミングなので「誰か雇ってください」「支援してください」という話をするのかと思いきや、思いの丈しか出てこないのが本当にカッコいいです。

 
ねこます あの……。現在コンビニ勤務なので、3Dとかができるところがあればぜひやりたいです。

 
──VRChatの中でVRコンビニをつくって、みんなに何かを買ってもらえばいいんじゃないでしょうか。

 
ねこます なるほど。それでひとつ思ったのですが、Twitterでも色々な人が自分のコンビニ勤務についてツッコんでくれていて、他の方からも「もっと楽な肉体労働を紹介できるのにな」というコメントをもらったことがあります。いや、そこ3DとかUnityとかで収益化する道じゃなくて、なんで肉体労働の中で変えようとするのかっていう(笑)。「VRChat内でコンビニ」という今の話も、「なぜコンビニから離れないのか」って内心ツッコミを入れました。

 
──すいません(笑)。クリエイティブ系のお仕事からお誘いがあったら興味はある?

 
ねこます ないって言ったら嘘になるので、もちろんあります。

 
──YouTubeの投稿も続けていく?

 
ねこます できる範囲で自主制作は続けていきます。

 
──すごい。しかし今年はアニメの「けものフレンズ」、スマホゲームの「どうぶつタワーバトル」ときて、12月に「バーチャルのじゃロリ狐娘おじさん」と、どんだけ「けもの」の当たり年なんだと。

 
ねこます 確かに今年は「けもの年」なのかもしれませんね。「どうぶつの森 ポケットキャンプ」も出ましたし、いい年じゃないですか。

 
──すごい年にねじ込んできましたね、しかし。

 
ねこます 「オラァ!喰らえ!これがバーチャルのじゃろり狐娘YouTuberおじさんだ!」みたいな(笑)。「バーチャルYouTuberだ!グギギギ!」みたいな感じですね。

 
──(笑)。海外展開とかは考えられないんですか?

 
ねこます それは自分が英語苦手なので……。

 
──じゃあ翻訳してくれる人がいれば……。

 
ねこます そうですね……。海外の方のセンスとあってるのかという問題もあると思いますが、成り行きですか。今は目先のことで手一杯で、そんなところまで考えられないです。

 
──もうすぐ登録者数が100万というキズナアイさんも、海外からのアクセスがほとんどだと言われています。国内と市場規模が違うので、もしヒットしたらYouTuberで食っていけるわけですし。

 
ねこます それでも実際は難しそうですけど……。まぁそんな夢の話があれば嬉しいですけど。

 
──「バーチャルのじゃロリ狐娘おじさん」グッズをつくって売ってもいいわけですし。ラバーストラップとか。

 
ねこます むしろあれですね。他の方に書いていただいたファンアートのグッズがほしいって感じですね。「そのグッズ売ってくれ!」みたいな。

 
──ちょ(笑)。ちゃんと収益化して、「ねこます」さんが今後動画で食べていけるようになると一番いいですが。

 
ねこます それがうまくいけばいいですが、「金が絡んでつまらなくなったな、フン」みたいな声もありそうなので。

 
──才能のある人はちゃんと儲けていただきたい。だって今、バーチャルYouTuberが何人いると思ってるんですか! 「ねこます」さんがある意味トップ3ですよ。

 
ねこます それはバーチャルYouTuberが少なすぎるわけで……。多分これから技術的には「Final IK」を買ってるだけなので、色々な人がどんどん参入していってレッドオーシャンになればいいと思う。

 
──でもこの面白さは真似できないと思います。

 
ねこます 確かに後で「美少女アバターのおじさん」みたいなのをやる人はちょっと辛いかもしれませんね。

 
 

コミュニケーションを突き詰めると「かわいい」が得

 
──そもそもFaceRigが出たときも男性が多く飛びついたのですが、前編のタイトルにもあった「なぜオッサンは美少女になりたいのか」という話も聞きたいです。

 
ねこます それは重要なことで語りたいんですが、VRChatをやってわかったことは身長の低い女の子になって、身長の高いむさい男に囲まれると、それだけで圧迫感があるんですよ。

 
──なんと!

 
ねこます 要はゴツい騎士とかに囲まれると圧迫感があるのに、同じ可愛い女の子同士ですと、お互いに惹かれてすごく打ち解けやすくて平和みたいな。だからかわいいとか女の子の概念みたいなのは、心のATフィールドを取り払う効果があるんです。マツコデラックスさんが話してきたらなんでも言っちゃうみたいな感じがあるじゃないですか。あんな感じで女性らしさや可愛らしさは、打ち解け合う力を持っている。生物学的に男性、女性ということよりは、女性的な特徴を持つことの方がコミュニケーションに都合がいいんです。

VRでのコミュニケーションが発達していくと生物学的に男だということは形骸化していって、概念としての性別、そもそも現実の性別がどうだからとこだわる意味がなくなってきちゃって、コミュニケーションしやすいところに集約される。つまり、全員女の子になるってことですね。それが今の持論です。

 

 
──面白い話ですね。リアルでも見た目だけ可愛い女の子になりたい「男の娘」的な人もいます。そういう変身願望の延長じゃないんですね。

 
ねこます 変身願望を持ってる人もいると思いますが、コミュニケーションの道具として見たときに、男性が男性アバターを使う方が5倍、10倍も難しいと思うんです。女の子同士でいちゃいちゃするのは簡単なんですが、女性として圧迫感がある男性に対峙すると心の障壁ができて打ち解けるのが難しくなってしまう。

 
──自分も今、VRChatで話していて「ねこます」さんが男性声なのに違和感がなくなって、すごく自然になっています。

 
ねこます それはだんだん「入国」してきたって感じですね。

 
──入国!(笑)

 
 

「バーチャルの姿が本来の俺だ」

──入国というキーワードが出てきたタイミングで、VRChatの魅力についても語っていただいていいですか?

 
ねこます どこでも誰とでもコミュニケーションができるだけでなく、創造意欲を掻き立ててくれるというのが最大の魅力です。VRChatの運営の方がワールドとかキャラクターとかを出さなくても、ユーザーがコンテンツを出してSNSで拡散しているおかげで、VRchat内でつくって見せ合って文化になってまたそれを踏まえて発展していくという流れが生まれている。それが魅力だと思います。

 
──niconicoやpixivなどでも起こっている「創作の連鎖」という話ですね。そもそもVRChatを始めた理由は何だったんでしょうか?

 
ねこます きっかけはもはや覚えていないんですが、「何か面白いものがあるぞ」と思って、VRChatにログインしたのがきっかけだったと思います。なぜ始めたのは覚えてないです。

 
──VRゴーグルは「Oculus Rift」を使われていると聞きましたが、買った時期は?

 
ねこます 2017年の5月ですね。

 
──それはなぜ買ったんですか?

 
ねこます 「もういい加減VRを買わないと世界の流れに取り残される」という強迫観念からです。

 
──ちょっと待ってください。ニート時代ですよね?

 
ねこます バイトしてたりニートしてたりでしたが、もういい加減買わないとやばいということで買いました。

 
──カッコいいなぁ。なかなかニートの人は思わないですよ。そこからVRChatに出会ったという。

 
ねこます 最初は「Robo Recall」とかOculusのコンテンツで一通り遊んでいて、少しやったりやらない時期があったんですが、あるときVRChatを知ってやってみて、そこで知り合いの方にあって一気にのめり込んでいった感じですね。

 
──ん、よく考えたら2017年の5月?

 
ねこます そうなんです。値下げの前です!

 
──一番かわいそうな時期じゃないですか……。ってことはこのモデルができたのも最近なんですか?

 
ねこます このモデルが完成したのが11月の頭ですね。かなり歴史が浅いというか。

 
──どれぐらいの期間で作ったんですか?

 
ねこます デザインから始めてだいたい1ヵ月ぐらい。コンビニで働きながら平日や休日を使って完成させた感じです。

 
──「ねこます」さんは創作以外に趣味があったりするんですか?

 
ねこます 最近は創作がメインで、たまーに「Hearthstone」をやるぐらいです。

 
──なかなかいないですよ。こういう方。

 
ねこます アレなんです。5年前に踏み切ったときも、友達と遊んでるのって、すごい虚無な感じがして。休みになりました、友達とカラオケに行きました、すごく楽しかったね、次の日から同じ月曜日……と繰り返されるのが虚無な感じがしたんです。

技術者の人と会ったり、勉強会やカンファレンスに行ったりというのは、昨日の自分よりもちょっと進んでいるわけじゃないですか。ただ、漠然と遊びました終わりましたということが楽しくなくなってしまったので、創作ばっかりやってますね。

 
──すごい。めちゃくちゃカッコいいじゃないですか。

 
ねこます いや、かわいいいですよ僕は。

 
──(笑)。私も色々な人を取材していますが、ここまでトガった人はなかなかいない。

 
ねこます ケモミミが尖ってますね。

 
──(爆笑)。じゃあ最後に読者のみなさんへのアピールをいただいていいですか? 「ここにAmazonのほしい物リストがあるから、買って送ってください」でもいいですし。

 
ねこます じゃあ「ケモミミ帝国に行きたい人はついてこい」でお願いします。

 
──まじで! なんて欲のない人なんだ……。

 
ねこます いや、欲ありまくりですよ。ケモミミ帝国に行きたい人をついてこさせるわけですから。VRChatでケモミミのプレイヤーが増えるだけで嬉しいです。

 
──ケモミミになれる魅力って何なのでしょうか?

 
ねこます 逆に現実の姿がマイナスだとすると、ケモミミの姿が原点になるので。マイナスを本来あるべきところに戻してるって感じです。

 
──「バーチャルの姿が本来の俺だ」みたいな。

 
ねこます そうです。VRChatに入ったときの方が「あっ、居心地いいな」と感じたりするので。

 
──やべぇ。新世界のひとだ。

 
ねこます いやでも自分なんかよりも10倍長い人もいるので、自分なんかまだまだ浅いですよ。長い人だと累計で1500時間ぐらいログインしている人もいるので。

 
──ぜひVRChatに来ていただいて、ケモミミ帝国を作ろうと。

 
ねこます それでもいいですが、VRChatに限らず、色々なプラットフォームや表現方法もあるので、とにかく自分の中にあるケモミミの概念を具体化していきたいですね。

 
──そんな「ねこます」さんはVRChatで会いにいけるわけですよね。

 
ねこます そういう触れ込みを使うこともあります。といってもあまりに普通にいるので、もともとのVRChatの知り合いは特にプレミアム感を感じてくれたりしませんけどね(笑)

 
──マジですか。みなさんはオフ会は結構やられるんですか?

 
ねこます いやー、やらないですね。そこにいらっしゃるSIGさんとかはインディーでゲームをつくられているかたで、そうした面白い方とも出会えますよ。

 
──なんか「ここがリアル」って感じですね。

 
ねこます そうです、ここがリアルです。ぜひみなさんも遊びに来てくださいね。

 

 

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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