われわれは息をするように壁ドンする──VRアイドル・鈴木あんずと白藤環「あんたま」1万字インタビュー(前編)

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世はバーチャルアイドルの戦国時代! PANORAでもいち早くインタビューした「キズナアイ」は今やYouTubeの購読者数が85万人を突破し、その後も続々とVRアイドルたちが名乗りを上げています。

 
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中でもここ3ヵ月ほどで注目を集めているのが、岩本町芸能社の「鈴木あんず」と「白藤環」のコンビである「あんたま」です。今夏のコミックマーケット92にて「Twitterのフォロワーが1万人を突破すればCDデビュー」を掲げて挑んだものの、400人に終わって逆に話題になったという「事案」を覚えている方も多いはず。

 
その後、地道に全国行脚を続けてファンを増やし、9月24日にフォロワー1万人を達成して、見事ユニバーサルミュージックからのデビューを勝ち取りました。さらに2018年には「岩本町劇場」のオープンまで予定するなど、破竹の勢いで快進撃を続けています(ニュース記事)。

 
そんな彼女たちの素顔って気になりませんか? 「VRおじさん」ことVR大好きマンな筆者(広田)はとても気になる!! ……ということで取材を申し込んだところ、VRソーシャルルームアプリ「Cluster.」上でのVRインタビューを実現することができました! これから彼女たちのファンになる方々に向けた基本情報も含めて、根掘り葉掘り聞いてきましたので、ぜひご一読ください!

 

 
 

息をするように壁ドンできないとアイドルにはなれない

──まず自己紹介からお願いします!!

 
 特に決まってるわけじゃないんですけどー、あんずちゃんどうぞ!

 
あんず 岩本町芸能社の鈴木あんずです。

 
 岩本町芸能社の白藤環でーす!

 
──二人合わせて?

 
あんず 私たち……。

 
 あんたまで〜す。よろしくお願いします! これどうやってやるんだっけ? これもざっくり決まってるだけで、特に何かあるわけではないんですよ!

 
──この緩さがやっぱりお二人の一番の魅力だと思います(笑)

 
 グダグダなんですよ、いつもー。

 
──そこがファンが惹き付けらられるところだと思います!!

 
 何てお呼びしたらいいですか?

 
──「VRおじさん」でお願いします。

 
 VRおじさんでいいんですか?

 
──はい。

 
 VRおじさまとかじゃなくて大丈夫?

 
──いやおじさんでいいですよ……って、だいぶガンガンいきますね、キミー!

 
 環だよ! 覚えて、環だよ!

 

ガンガン近づいてくる環ちゃん。VRではまさに目の前にいました。

 
──うう、ごめんなさい……。あんたま!

 
 そう、あんずと環!

 
──では早速インタビューに入らせてください。一番最初に聞きたいことは、CDデビューが決まった今のお気持ちをお願いします!

 
 ズバリどうですか、あんずさん?

 
あんず Twitterのフォロワー一万人達成できて嬉しいんですが、そのときはまだ実感がわかなくて……。でも最近レッスンが始まったんですよ。それでやっと私たちはデビューできたんだなっていう実感がやっと出てきたんです。

 
──思い返せば始まりは夏コミだったじゃないですか?

 
 夏コミ!

 
──そう。割とあれは大事件で、ネットでもかなり話題になったとは思いますけども、あの時点ではどんな思いでしたか?

 
 あのときは目標1万人って言ってたけど、3日間で400人しか集まらなかったんですよ。

 
──正直、周りから見ていて無謀な挑戦だと思ってたんですけど、その後全国色々まわられて、色々な方と交流されてファンを増やしてきたわけじゃないですか。

 
 しました!

 
──そうやってフォローワーを増やして、ようやく一万人を達成できたたみたいな。

 
 そうです!

 
──その400人の状況からめげずに、1万人達成までずっと継続できるのはなかなかできることじゃないと思います。

 
 いや私たちも、スタッフの皆さんも頑張ったんですけどー、あれなんですよ。何より応援してくれている、通称「あんたまにあ」のみなさんがスゴいんですよ! 「あんたまにあ」! 知ってますか?

 
──おおお……!

 
 あんたまのことを1mmでも応援したいなって思った人は「あんたまにあ」なんですけど、その方々が1万人を達成するためにいっぱいお友達に布教してくれたり、あんたまの名札みたいなのつくってつけて歩くみたいな、普通に。

 
──つけて歩く?

 
 普通につけて歩くみたいな、街を。で、聞かれたら答えるみたいな。

 
──グッズでTシャツとかってまだつくってないですよね。

 
 ないです、そういうのは! コミケのときにスタッフの人が着てたのがあるくらいで、売ってないです!

 
──じゃあ勝手に看板をつくってまで、宣伝してあげたいっていう方々がいるという。

 
 そう。時計とか、バック作ってくれてる人とか。

 
──スゴい!

 
 何かスゴいんです。キャリーケースにあんたまの絵がデカデカと書かれてるやつとか。

 
あんず タンブラーもつくってくれてた……。

 
 そういうグッズを自分たちでつくって、あんたまを広げるみたいなことをめっちゃやってくれたんですよ。

 
──ありがたい限りですね。

 
 ありがたいですね。毎日「あんたまってこういう子たちよ、だからフォローしてね」って、一万人達成した今もずっと言い続けてくれる人もいて。「あんたまにあ」がスゴいんです。

 
──この1万人は自分たちだけじゃなくて、ファンがいてくれて、布教してくれたからこそ達成できた偉業だったっていう?

 
 間違いない! 私たち2人だったら何もできてないです、多分。絶対そう! だって全国で体験会やってたんですけど、わざわざ東京から来てくれる人とかいて。

 
──マジですか!

 
 9回とか来てくれた人とかいて、スゴいですよね。

 
──早くCluster.の中でバーチャルで会えるようにした方がいいんじゃないですかね?

 
 え?

 
──ご家庭で、このインタビューみたいにVRで会えるようにならないかなって。

 
 ご家庭で会えるアイドルになる?

 
──はい。

 
 でもね、毎週、生放送とかやってるので!

 
──でもね、VRだとこうやってお二人と本当に会ってる実感がありますし。さっきも環さんに近寄られてだいぶ緊張しました(笑)。

 
 でもみんな、環が「壁ドン」するとよころんでくれるよ?

 
──インタビュワーに「壁ドン」するアイドルって中々いないですよ(笑)

 
 本当ですか? 

 
──ないないない!

 
 いや、みんな時代が環についてきてない! みんなが追いついてない!

 
──確かに色々最先端だ!

 
 やっぱり息をするように壁ドンくらいできないとアイドルにはなれないと思う。

 
あんず ええ……。

 
 私たちヤバイ感じってよく言われるんですけど。ファンのことが好きすぎて、「あんたまにあ」さんのことが好きすぎて、「あんたまにあ」のみなさんのTwitterをめっちゃ監視するっていう、スーパーエゴサ(エゴサーチ)系アイドルなんですよ。

 
あんず すぐエゴサする。

 
 すぐエゴサして、体験会に来てくれた人に「今日寝坊したんでしょ?」とか言うの。え〜、あんたまさんへのツイートじゃないけどみたいな。我々の代名詞が「見てるよ〜」っていう。

 
──すごい(笑)。そんなお二人が回った全国巡業で思い出深い出来事とかってありました?

 
 あんずちゃんは行ったことがないところが多かったんだよね?

 
あんず 出身が栃木なんですけど、栃木からほとんど出たことなくて。だからほとんどが全部初めてみたいな。

 
 でも一番なんだかんだでわれわれ車での旅だったんですよ。だから車の中が一番思い出深い。車内!

 

 
──ではお客さんとの交流で印象深い話を教えてください。

 
 お客さんとの交流? それはいっぱいありますよ!

 
──それを聞きたい!

 
 環ばっか話してるから、あんずちゃんどうぞ!

 
あんず え……。

 
──ふられて困らないでください(笑)

 
あんず 思い出がいっぱいありすぎて、どれを……。

 
 色んな県をまわって、みんながその土地のお土産を持ってきてくれるんですよ。食べたことないやつとか、普通に好きって言ったらそれ持ってきてくれたり。あと県の方言とか、「ここのお店は美味しいから行ったほうがいいよ」とか教えてくれるんですよ。

 
──「あんたまにあ」はみんな親切ですね。

 
 そう! みんな優しい。だからそういう色んな県に詳しくなった。勉強になりました。楽しかった。大阪の人みんな「バーン」ってやったら、「うぅ……」ってやってくれるんですよ。面白かったね〜! 大阪は盛り上がったね、それで。

 
あんず 人もいっぱい来てくれましたね。

 
 大阪は来た人全員に「バーン」ってやったんですよ。 

 
──みんなVRとかって初めてじゃないんですか?

 
 初めてじゃないですかね。みんな第一声が「スゲ〜!」って言ってました。

 
あんず 何これとか。

 
「ヤバ〜イ」みたいな。

 
──まぁ目の前でこうやって会えるわけですからね。

 
 確かに。環がめっちゃ近いから、みんな「環ちゃん近い近い近い」って言われるんですよ。

 
──わかります(笑)

 
 みんなにそれやられるんですよ。

 

みんなに喜んでもらえました。

 

マネージャー丸茂氏によるCDデビュー祈願も。

 
 

われわれは基本的になんでもふんわりしている

 
──そもそもお二人はなぜアイドルを目指したのでしょうか?

 
 私はアイドルが昔から好きだったんですよ! キラキラした、みんなを笑顔にしてくれるアイドルがスゴい好きで、私もみんなを笑顔にしたいなと思って目指し始めました!

 
──目標にしている方っていらっしゃったりしますか?

 
 目標というと、わからないんですけど……。

 
──憧れの人!

 
 アイドルのみなさんはみんな目標ですし、みんな先輩なんですけど、好きなのはまゆゆ(渡辺麻友)さんです!

 
──一番好きなところは?

 
 環、スゴい似てるんですよ! アニメめっちゃ好きじゃないですか!私、オタクなんですよ。まゆゆさんもめっちゃアニメ好きじゃないですか! 好きなキャラも似てるし、環運動苦手なんですけどまゆゆさんも苦手らしくて、めっちゃ近いというか、似てるみたいなところから、めっちゃ好きってなりました。

 
──それはぜひご本人と会って話せるといいですね。

 
 会いたいです! めっちゃアニメの話とか一緒にしたいんですよ!

 
──スゴい。バーチャルキャラクターとアニメの話をするって、中々スゴい状況ですね(笑)

 
 でもわれわれ、生放送でめっちゃアニメの話してますよ。環がオタクすぎて今期のアニメ全部見てるみたいな。「ほぼ見てるから、何の話振ってくれてもわかるよ」みたいな。めっちゃ盛り上がる。「今期アレがいいよね」とか。

 
──スゴいなー、やっぱり。

 
「名探偵コナン」が好きなので、「あ、それコナンで見たよ」みたいな感じで、すぐにコナンの話にもってく。だからアニメトークもできるアイドルになります。 

 
──環さんのこの話止まらないですね(笑)。申し訳ないですが、いったん止めていいですか?

 
 環、喋りだすとうるさいから、あんずちゃんにパスしますね。

 
──今日、あまりお話を聞けていないので、あんずさんもアイドルを目指した理由をお願いします。

 
あんず 私は、自分を変えたいなと思って。アイドルってキラキラしてるじゃないですか。それがスゴいな、私もあんな風になれたらなと思って。それで私みたいに自分に自信がない子に変わるきっかけになれる存在になりたいという感じです。

 
──お2人とも自分で岩本町芸能社に「アイドルになりたいです」って申し込んだ感じなんですか?

 
 環は……違う話になりそうだった、今。何で「あんたま」になったかみたいな話をしようとしてました。コミケの初日は実はあんずちゃんだけだったんですよ。知ってました?

 
──そうですね。私、本当に初日の最初にCluster.で見させて頂きました。人がまばらな状態で、あんずさん一人でスゴくしゃべるのが大変そうで、恥ずかしそうにしてるところを見て、「何か大変だな……」って。

 
 そうなんですよ。環も大変だなって、でも頑張ってるなって思って、いても立ってもいられなくなって2日目に勝手に来たんですよ。だから公式サイトの大きい画像はあんずちゃんしかいないでしょ? 環、突然来たからいないの! 知ってた?

 
──2日目に突然来て「一緒にアイドルやる?」みたいな。

 
 そう。あと「あんたま」って言ってますけど、これもそもそもファンの人につけてもらったんですよ。

 
──あれっ、岩本町芸能社は?

 
 岩本町芸能社は事務所じゃないですか。岩本町芸能社の鈴木あんずと、白藤環っていう一人ずつだったんですけど、環が突然現れた事により勝手に二人になったんですよ。じゃあせっかくだし2人の呼び方がほしいよねということで案をいっぱい出してもらって「あんたま」になったんですよ。だから勝手に言ってるんだよね、これ。

 
──ええええっ。じゃあ、元々ユニットで出る予定じゃなかった。

 
 そうです。そして現在も別にユニットではないんです。勝手に言ってるだけなんです、これ。勝手にセットみたいにしてるだけで、本当は一人ずつなんです。

 
──一応、ソロアイドル?

 
 そう。勝手にみたいな。わからないです。

 
あんず わからない、もう……。

 
 もしかしたら勝手に「あんたま」って言ったからユニットになってるかもしれませんし、なってないかもしれません。

 
──事務所的にそれはどっちなんですかね?

 
 事務所もふんわりしているのがわれわれです!

 
──ふんわり……。素晴らしい!

 
 われわれは基本的になんでもふんわりしているんです。ふんわりしかしてない。

 
 
*後編はこちら

 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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