VTuber専用スタジオ「BitStar Akihabara Lab」を激写! コラボ配信や歌・ASMRの収録にも便利

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先日お伝えしたように、BitStarは12日、東京都・秋葉原エリアにVR・バーチャルYouTuber(VTuber)を研究する「BitStar Akihabara Lab」を開設し、スタジオの有料貸出を開始した。当初は法人向けのみとなる。

VTuberは産業自体が勃興したばかりということもあって外部に貸し出し可能なスタジオはまだまだ貴重で、VTuber自身や運営にとってどんな設備があるのか気になるところだろう。実際に現地を訪れて取材した。

 

リアルタイムで動かすから面白い

BitStarの広報とスタッフに実演していただきました。

 
いきなりメタい話だが、VTuberとして活動するにあたって、要となる技術のひとつがモーションキャプチャー(モーキャプ)になる。

キャラクターの動きというと、マウスやキーボードを使って手付で命を吹き込むこともできるものの、作業自体は非常に骨の折れるものになる。ネットで言えば、MMD(MikuMikuDance)界隈でダンス動画などをトレースしたモーションデータを無料で共有してくれる「ネ申」のようなクリエイターもいるが、美しく動かそうとこだわって数ヵ月、下手すると年単位で時間をかけることも割とある。

現実的にはリアルタイムで演者(VTuberでは「魂」)の動きを取得し、即座にモデルに反映できるモーキャプが便利だ。旧来、モーキャプはシステム自体が数千万、数億円と高価で、映画やゲームなどの業務用に主に使われてきたものの、2014年、KickStarterで57万ドル以上の支援を集めた「Perception Neuron」のような安価なモーキャプ機器や、2016年に「元年」といわれて盛り上がったPC向けVRゴーグルが出てきたことで、数十万円単位まで抑えられる状況が整った。

そうした技術背景が、2013年の「てさぐれ部活もの」や2014年の「みならいディーバ」、2016年の「魔法少女?なりあ☆がーるず」(インタビュー記事)、2017年の「直感xアルゴリズム♪」あたりで目立った「生アニメ」の文脈につながり、動画や生配信で目立っていたネットの個性が「魂」として注入されることで、新しくて生々しいVTuberというキャラクター表現につながっていく。

モーキャプは、3DのVTuberにとって表現の核ともいえる存在で、VTuberの事務所やMCN(マルチチャンネル ネットワーク)では自社スタジオを用意するところも多い。

一方で、企業の会議室問題と同様、所属VTuberが増え、急激に人気が出ていくに従って、スタジオや技術者が足りないという問題が出てくる。ネット越しではなく、同じ場所でコラボ収録するとなると、広さも必要だろう。既存の会議室や音楽スタジオなどに機材を持ち込んで収録することもできるが、できれば常設の専用スタジオの方が不測のトラブルが起こりにくい。トラブルが起こると、撮り直しなどでVTuberさん自身にもストレスがかかりますしね……。

というわけで、BitStar Akihabara LabのようなVTuber用スタジオが役立つわけだ。

 

最大4人のMVN収録が可能

BitStar Akihabara Labの特徴としては、

・コラボ、歌収録、ダンス用など用途に合わせた4つのスタジオを用意
・「Xsens MVN」か「Perception Neuron」という慣性式のモーキャプシステムを利用可能
・バイノーラルマイクなどの機材や運用エンジニアも別料金で発注できる

といったあたりになる。このうちMVNについて簡単に解説しておこう。現状、これが万能というモーキャプシステムはなく、やれることや価格と比較検討することになる(この辺、バーチャルキャストのさんたーPさんがQiitaに書いてる記事が把握しやすい)。

MVNは、1着数百万円というミドルクラスで、外部のカメラを使わないため、複数人で収録する際、カメラに体がかぶって動きがとれないということが原理的に起こらない。また、モーキャプスーツの外側に服を着られるので、ボディーラインがあまり目立たないというのも、主に女性の演者向けにありがたい。

PCなしで8〜10時間バッテリー駆動できるため、屋外でモーキャプできるというのも大きい。母艦となるPCとは、2.4/5GHzの無線LANのほか、有線LANやUSBのケーブルでも接続可能なため、2.4GHzの無線が飛びまくるイベント会場でも運用可能だ。

 

 

 
弱点は、空間における絶対位置を取れないため、時間が経つにつれて微妙にずれていくという点。

……なのだが、BitStar Akihabara LabではVIVEトラッカーを腰につける通称「腰トラ」の併用でこの弱点を克服している。さらにいえば、同スタジオではNoitomの「Hi5 VR GLOVE」をつけてMVN単体でとれない指の動きも反映可能だ。こうしたニーズに即したキメラ的運用ができるのが、専用スタジオならではの魅力だろう。

ほかにも「ならでは」の魅力といえば、コラボ配信時のモデル調整なども挙げられる。3Dモデルは表情の出し方や可動範囲、揺れものの揺れ方などに癖があり、普段とは違うシステムに持っていく際には微調整した方がその魅力を存分に発揮できる。その辺、朝宮ゆりちゃんをはじめとするVTuberを本番運用している技術者に発注できるのも負担を軽減できるはずだ。

 

 
●メインのモーキャプスタジオ「α Studio」

主にMVN用のモーションキャプチャーを想定。プレイエリアは7.2×3.6mで、MVNのみでは4人、Perception Neuron Proなどを併用すれば最大7体のVTuberをリアルタイムで同時出演できる。MVNのスーツは、Sが2着、Mが4着、Lが2着。

 
●音声収録スタジオ「β Studio」

歌唱などの音声収録か、簡易的なコラボ配信を想定。

 

マイクとしては、ソニーの「C-100」と……。

 

バイノーラルマイクの「Free Space ProⅡ」を用意している。

壁にはもちろん吸音材が入っているが、殺風景とのことで普段はカーテンを引いている。

 
●サブのモーキャプスタジオ「γ Studio」

こちらはPerception Neuron Proの2台稼働を想定(インプレッション記事)。プレイエリアは5.4×2.7m。Neuronは周囲の磁場の影響を受けやすいが、γやδのスタジオは、αやβよりも磁場の状態がいいとのこと。

 
●ダンス用の「δ Studio」

MVNによるダンス収録を想定し、フローリングの床を採用。プレイエリアは、3.6×2.7m。

テーブルが会議室っぽい長机なので、αスタジオで大人数収録する場合、ここを控え室として利用することも可能だ。

 

その他、ドレスルームも用意する。

 
取材していて興味深いと感じたのは、ラボのエンジニアが先進的なVTuber表現にチャレンジしている点だ。先日は、どこでも収録できるというMVNの特性を生かし、高尾山に登ってモーキャプしてきたとのこと。実際の地図データをもとにCGの山を生成し、VTuberがリアルタイムで山を登っているところを配信したいというアイデアもあるそうで、とても面白そうだ。

 

ほかにもVTuberと一緒に撮影できるシステムも構築しているとのこと。すでにVTuberを運用している企業だけでなく、これから運用してみたいというところも相談してみるといいだろう。

 
●問い合わせ先
TEL:03-4520-5777
MAIL:[email protected]
担当:広報 本田

 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
BitStar

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