
VRChatユーザーをメインとした創作活動の即売会・展示と交流会が一体になった「超メタフェス2026」が、5月23日に秋葉原UDXにて開催された。VRChat上の即売会イベント「メタフェス」として始まった同イベントは、2025年以降は春にリアルで実施される「超メタフェス」、秋にVRChat上で実施される「メタフェス」として定着している。
即売会というと同人誌やグッズを頒布するサークルとそれを求める一般来場者が集まる場というのが一般的だが、超メタフェスではVRChatユーザーが多く訪れることから、VRChatの関連サービスやVR関連機器など、VRやメタバース領域の一般企業による展示なども併設されている。
そこではVRChatの中の人と直接会話できるコーナーが用意されていたり、VR用デバイスを体験できたりと、ただの即売会の域を超え、VRChatを起点とした消費市場の最先端を垣間見れる場になっていた。
設計の妙があったのは、VRChat IDを用いた事前登録制の「デジタル整理券」システム。これにより、一般サークルへの入場は行列に並ぶことなく、整理券が発券されたら入場ができるようになった。多くの方は発券されるまでの合間に企業エリアを見て回るなど、時間を有効活用した回遊イベントになっていた。
今回は即売会・展示を行う昼の部、そしてサイドイベントとしてPANORAが実施した「ドデカメタのみ」の様子を合わせてお届けする。
デバイスの体験、開発機の展示を楽しめた「4F企業エリア」
4F企業エリアでは発売前・開発中のものを含め、さまざまなデバイスを試せたり、VRChat発の人気プロダクトのブースが出展していた。いくつかピックアップして紹介したい。
Meta Quest 3などは家電量販店で買えるようになったものの、30万円近い高額なデバイスや、なかなか試す機会がないグローブなどの周辺機器への注目が高く、いち早く体験したい来場者が開場に合わせてスタンバイしていた。

開場してからずっと行列が絶えなかった、NAGiSAやひまり旅館を運営する「ナギサコネクト」のブース。ひまり旅館のルームキーはいち早く完売したという。筆者はSNS上に試作品をアップされている時から欲しかった「ひまり旅館のタオル」を購入した。


Bigscreen Beyondなど、海外スタートアップのXR関連デバイスを扱う「IntoFree」のブースでは開発段階の「EOZ VRグローブ プロトタイプ」を試せるほか、6月発売予定の「Bigscreen Beyond用のヘイローマウント」の展示や、「Nare Facial Tracker Quest 3版」の展示を行っていた。

プロトタイプというだけあり、トラッキングが怪しい部分があったものの、キャリブレーションのしやすさと共に、ポテンシャルを感じるグローブだった。グローブ型だけでも、「Diver-X」、「UDCAP」各社のグローブが体験できたが、普段はなかなか試す機会がないデバイスかつ、フルトラからのステップアップとして注目が集まりやすい事情もあるのだろう。

本来であればフェイシャルトラッカーを試せたとのことだが、急遽展示に切り替えたのは少し残念。ゴーグル内部に嵌め込まれた状態を見ることができた。

Kickstarterでのクラファンでも話題になったスペイン発の磁気式フルトラッキングシステム「FluxPose」。10月にはクラファンで購入した方に製品が届くそうだが、先行して試せるとあって、多くの来場者が殺到。開場から30分で体験の枠が全て埋まっていた。筆者も気になっていたブースの一つだったが体験できず、無念だった……!

イベント当日にサービスローンチを発表した「AIAI」は、VTuberなどが小規模でもリアルイベントを実施できる箱のシステム。最大25人まで収容できるお店で、先払いでイベント費用を払うことなく開催できるという驚きのシステム。キズナアイで知られるActiv8と、クリエイタープラットフォームづくりを行うブートストラップによる合同の企画になっている。後日お店を見学してきたが、かなり注目のシステムと言える。

休憩スペースも完備! イベントも実施している「4Fイベントスペース」
4Fには企業エリアとは別の区画に、サービスのお披露目などの特別セッションを実施するイベントスペースや有料チケット購入者向けの休憩スペースが用意されていた。

イベントスペースで行われていた「ワンオフオークション」はかなりの熱気で、超メタフェスの会場で唯一、来場者が鮨詰めになる程、集まった人でいっぱいなった。オークションでは、サークル出展のクリエイターによる一点もののイラストなどをその場に集まった人たちが挙手制で値段を競い合う形に。
オークションは1時間足らずで総額235万4000円の売り上げになったという。熱気がものすごかったので、またやってほしいと感じた。
イベント会場のすぐ隣にはVRChatブースがあり、VRChatへの要望やメッセージを直接伝えられる場になっており、熱心なVRChatユーザーたちによる行列が絶えなかった。


有料チケット購入者限定のスペースでは、「暮らしと珈琲」とのコラボレーションで、淹れたてのコーヒーを飲めるスペースになっていた。
なお、コーヒーの裏手にあるのは人気アバター作家の新作アバター「シルク」ちゃん。会場にてお披露目とのこと。
夜の部は交流会イベントの実施
即売会や展示は昼の部とし、夜の部は同会場で交流会を行うところも超メタフェスの特徴の一つ。大きなイベントをきっかけに他の都市から東京にやってくる方も多いこともあり、メタフェスによる夜の部だけではなくサイドイベントも実施。「リアルGZ supported by 超メタフェス2026」「Rigale! & ごっつええFuture」「OUTSIDE リアルライブイベント」など、秋葉原のクラブやライブハウスでの音楽イベントもあり、こちらに参加した方にとっても大ボリュームの一日になったのでは。
PANORAでは「ドデカメタのみ powered by 超メタフェス2026」と題して、HUB秋葉原店(通称、秋HUB)にて二次会を実施。「サキュバス酒場LILITH」のメンバーらとおしゃべりできたり、トークやライブのステージなども展開していた。
サークル出展エリアは「デジタル整理券」で行列消失!

開催前から話題になったのはVRChat IDと紐づいた事前登録制というイベントへの参加方法だった。
従来の同人誌即売会イベントでは基本的には大行列を経ての入場となるが、前回の超メタフェスでもコミックマーケットで列捌きをしている有志スタッフを呼ぶなどし、参加者目線ではかなりストレスが少ないイベントだった。

しかし、今回は行列そのものをなくしたという。
男性向け女性向けを問わず、多くの同人誌即売会イベントに参加した経験がある方なら、入場するまでの行列や、会場内の混雑に面食らった事があるかと思う。それが存在しないというのはにわかに信じられなかったが、実際に開場30分前の状況で行列らしい行列はなく、滞留しているとスタッフに注意されるのを繰り返し、イベント直前とは思えない閑散さがあったのは純粋に凄いと感じた。
逆に、いつでも入場可能な有料チケットの方が開場すぐに入場前に行列を形成。いち早くお目当てのサークルに向かえることから、絶対に欲しいグッズなどがある方が並んでいたと見えるが、この程度の行列で済んでいるのは驚異的だった。

「デジタル整理券」を利用するためには、VRChat IDを用いてログインする必要があることで少なからず議論も生まれたが、実際に筆者の知人やSNS上の反応を見る限りでは、過去に類を見ないほどの快適な待ち時間だったという意見が多かった。整理券が発券されるまでの時間で食事休憩を取ったり、4Fフロアでデバイスの体験をするなど、ほとんど「待たされた」という話を聞くことがなかった。
即売会イベントに不慣れな方もいることから、来場者の滞留に対しては随時スタッフが注意する場面もあったが、配置の段階から混雑を減らすような設計をしていたのはさすがだと思った。
繰り返しになるが、今回のシステムの構築はかなり画期的なことだと感じたし、運営による「絶対に快適に参加してほしい」という理念にはすごみすらあったと思う。
VRChat/メタバースイベントの現在地
VRChatのブースやトークイベントも実施されるだけあり、VRChat側からの注目があるのは明らか。さらに、関連企業が多く企業ブースを出展しているのも、「VRChat周辺」への注目度が増している結果だ。
超メタフェス自体も、VRChat内の即売会・交流文化を背景に生まれたイベントのひとつだが、今回のイベント後には、SNS上で複数のユーザーが新たなイベントや企画の立ち上げが活発に語られる様子が見られ、超メタフェスの成功から、次のイベントが生まれていく循環もうかがえた。
バーチャルマーケット(Vket)から発展したVket Realはもちろん、最近ではVRChatグループの「VRCくりえいてぃ部」から発展した即売会の「出張版!VRCくりえいてぃ部」が企業を巻き込んだ大掛かりなイベントになっていたことも含め、VRChatから生まれる創作への熱量への注目は増している。
ストリーマーのスタンミ氏が動画で取り上げたり、「超かぐや姫!」のVRChat進出などの影響も大きく、ユーザー数を順調に増やしている。それだけに、ユーザーによる熱量が企業にとって、VRChatという場への先行投資から消費市場として注目の眼差しへの移り変わりを感じさせた。
(TEXT by ササニシキ)
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