Google DayDream実機に触った! 柔らか本体や描画乱れの少なさを実感【VRDC】
11月2、3日、米国サンフランシスコのセントラルパークホテルにて「VRDC」が開催されている。毎年3月前後に実施しているゲーム開発者会議「GDC」(Game Developers Conference)が主催で、今年3月に続いて2回目となるVR開発者向けカンファレンスだ。
そのVRDCにて、米国など5カ国で11月10日の発売が決まった「Google DayDream View」の実機を体験できた。Googleブースは、会場入ってすぐ目の前、カンファレンス会場との出入りも多い一番目立つ場所に位置しており、セッション開始前のデモ体験予約時には、参加者が長蛇の列を作っていた。運良く予約できたので、早速、インプレッションをお届けしよう
柔らかい手触りの布製本体
まずはハードの外観から。DayDreamは、DayDream Viewと呼ばれるガワの前面に、「Pixel」などの対応スマートフォンを挟み込んで使用する。ほかのスマホ向けVRゴーグルとは異なり、全体が柔らかいスウェットのような肌触りの布製というのが大きな特徴だ。また、モーションコントローラーが1つ付属し、リモコン的にボタンを押したり、手を動かしたりして操作が可能だ。
本体前面とモーションコントローラー。
左側面。「G」マークがあしらわれている。
右側面。
レンズ側。装着時は、バンドの後ろにあるバックルでキツさを調節。ただし柔らかいゴムですぐずれてしまったので、ちょっとコツが必要そうだ。
天面。挟み込んだスマートフォンは、ゴムで固定する。
底面。鼻の間は指一本入るくらい。隙間から入ってくる光は、プレイが始まってしまえば気にならないレベルだった。
ジャダーの少ない描画を実感
さて、実際の装着感だが、まず顔に当たるところの柔らかを感じた。本体の重さは頬骨でを支えることになるが、そこまで気にならないレベルだが、激しく頭を動かすとずれてしまった。
画面の鮮明さは、Gear VRと遜色ない。DayDreamでは、モバイルながら描画レイテンシーを20ミリ秒以下に抑えたというのがひとつのウリになっている。遅延が抑えられると、頭を動かした際のジャダー(画面の乱れ)が目立ちにくくなり、あちらの世界にいる感覚が強くなる。通常時はGear VRと比較してもジャダーは感じられなかったが、途中で二度ほどWi-Fiが接続されていない通知が入ったときは、その前後でジャダーが生じていた。
ソフト方面を見てみると、ホーム画面はOculus Storeと同じで、目の前の空間に並んでいるアプリのサムネイルから、コントローラーを使ってレーザーポインター方式で選択する形だ。
実際のアプリは3つほど試用できた。まずは「Fantastic Beasts」。ハリーポッターの原作者J・K・ローリング原作の映画「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」の短いデモで、音声に従って、部屋から外へと案内されていく。雰囲気はHTC Viveの「The Lab」の「Secret Shop」に似ている。
コントローラーが光る魔法のステッキになり、ビーストの入ったトランクを指してクリックして開くと、次は実験室へ。ステッキで巻物を開くと、今度は表示されるジェスチャーをなぞって、魔法をかけるとドアが光り出す。ドアを指してまたクリックすることで、屋外へ……。筆者はここで、アプリが落ちてしまって続きができなかった。
「Wonderglade」は、コントローラーの傾きを利用した玉転しゲームだ。農場がモチーフのコースが描かれた、正方形の板のようなボードの上に、ボールのような形状の牛がスタート地点で待機している。ボードと連動したコントローラーを傾けることで牛を転がし、ゴールまでの速さを競うミニゲームになる。
傾きが大きく反映されていて、繊細な操作は難しい。箱庭の小さな村のような世界観が3Dで作られている。コース途中で障害となる柵も踏切のように動いていて、ステージが増えるにつれて難易度が上がるようだ。
最後は「YouTube VR」で、シンプルな灰色の空間にOculus Videoほどの画面が広がっていた。残念ながらWi-Fi接続がなかったため、動画視聴は出来なかった。コントローラーで検索アイコンを選択、クリックすると、音声入力かキーボード入力を選択できる。スクリーンの下半分ほどの高さで手前に出現し、コントローラーでレーザーポインタ方式で選択、決定して入力できる。キーボード入力は短文の検索であれば、大きくストレスはなかった。
気になるのはモーションコントローラーの精度だが、トラッキングはポジションなし、オリエンテーションのみで、精度はOculus TouchやViveコントローラーより少しブレやガタつきが大きい感じがする。HTC Viveユーザーなら、Viveコントローラーからポジショントラッキングを抜いた操作感といったほうがわかりやすいかもしれない。
途中で、コントローラーがVR内に表示されなくなることがあり、マイナスボタンを長押しすることで再表示させていた。前方の大きい円の範囲はトラックパッドになっているとの説明だったが、今回のデモでは使わず、クリックして決定に使った。
完全に余談だが、Googleブースで驚いたのが、デモの予約方法だ。DayDream現物を見つけて近寄っていったところ、ほかの参加者が何やら紙に記入している。よく見ると自分で希望の時間枠に名前を書いていくシステムの予約表で、あわてて筆者も記入した。その予約の証として渡されるカードにも、自分で時間を記入するという、ファミレスの席待ちのようなシステムだ。
特に告知をするわけでもなく、察知した参加者が次第に列を作って、各自自分で記入していたのが興味深かった。ちなみに。ブースの裏はGoogle Tangoのデモコーナーだったが、当日のセッション開始時間にもまだ設営をしていた「ゆるゆる」な感じだ。
(TEXT by Somelu)
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