センパイ、新型の15インチMacBook ProでOculus RiftやHTC Viveを動かすのは無理そうです……
10月末より予約が始まって、19日頃より出荷が始まったアップルの新型MacBook Pro。世間的には、ファンクションキーがタッチパネルの「Touch Bar」に変わったことや、端子がUSB Type-Cに統一されたことなどが注目されているが、仕事にMacを使っている「Pro」にとっては、単純に性能の向上が嬉しいところだ。
クリエイターなら、グラフィックの表示がきびきびしたり、エンコード処理の時間が短くなればなるほど、トライ&エラーを繰り返してより質の高いものを短時間で突き詰められる。ではPANORAの分野であるVR的にはどうなのか? ざっくり調査した。
BTOでアップグレードしても無理
PC向けVRヘッドマウントディスプレーを活用する上で、一番重要になるのがグラフィック(GPU)性能だ。Oculus RiftやHTC Viveは、GeForce GTX 970以上/Radeon R9 290以上が推奨だ。パソコンに詳しくない人とっては「???」なことかもしれないが、これは2013〜2014年にかけて発売されたデスクトップ用PC向けのグラフィックカードとなる。
理由としては、PCで快適なVR体験を実現するために90fpsという高いフレームレートが必要で、さらに視差を再現するため左右の目2枚分を描画する必要がある……というのだが、すんごくざっくりいうとノートPCには負荷が高いということになる。
今回、筆者がゲットした15インチMacBook Proは、ノート用GPUの「Radeon Pro 455」が標準だ。これを注文時にBTOで「Radeon Pro 460」にアップグレードしてみた。
ストレージだけ1TBにして15インチもりもりで注文しました。 pic.twitter.com/GouGGLNA2F
— Minoru Hirota (@kawauso3) October 27, 2016
もともと推奨スペックを満たしていないため「まぁ動かないよね」とは思っていましたが、19日に筆者の元にも製品が届いたので早速試してみました! そして結論から言うとダメでした。以上、解散!!!
Boot CampでWindowsをインストール。本機種ではWindows 10しか受け付けておらず、7や8は利用できない。
しかし、昔のように外付けUSBドライブなどにコピーしなくても、Windows 10のイメージファイルを指定するだけでインストールできるようになったのが楽ですな〜。
OSの更新をかけた上で実行した、Steam VR パフォーマンステストの結果は「VR使用不可」。
Oculus Riftの互換性確認ツールでも「おめーのPCつかえねーから」(意訳)という結果に。
VR向けのベンチマークツール「VRMARK」でも試して見ました。まずは標準の「Orange Room」から。テスト中の時点で、フレームレートが明らかに90fps出てない……。
スコアとしては2382で、Oculus Riftの最低動作スペックである3715に届かず。
より高負荷な「Blue Room」のテストも実施。フレームレートが1桁台でダメな予感しかしない。
スコアは361でこちらもOculus Riftの719に届かず。
現状、ノートでVRを動かしたいならG-Tuneの「NEXTGEAR-NOTE i5720」や、ドスパラの「GALLERIA QSF1060HG」など、素直にVR対応をうたうWindowsマシンを買うのがよっぽど安価で済みますね。
どうしてもMacで動かしたい場合、「BizonBOX 3」のようなThunderbolt 3接続の外付けケースを利用する手段もありますが、これに649ドルを出すなら……という気も。
とはいえ、15インチで1.55cmという薄さや高い剛性のボディーは魅力なわけで、アップルさん、「Pro」のニーズに応えてぜひVR対応モデルを出してもらえませんかね……。
(Text by Minoru Hirota)
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