VRクリエイターが見るHololens(その1) 最初の体験から感じたオーパーツぶりがスゴい
日本でもリリースからVR/AR界隈で大いに話題になっているMRゴーグル「HoloLens」だが、VRクリエイターはこのデバシスについてどういった評価を持つのだろうか。NPO法人オキュフェス、および株式会社桜花一門の代表である高橋建滋(@oukaichimon)氏に数回に分けてレビューしてもらった。
まえがき
VR/ARはコンピューターの歴史でいくと今、PC-6001(編集註:1981年より発売のPCシリーズ)やカセットビジョン(ファミコン登場以前の1981年に発売したカセット式家庭用ゲーム機)あたり。今からWindows 95のように世間に広まるためには、いくつかの段階を踏まねばならぬと考えている。
そのひとつが「サラリーマンがオフィスで使うようになる」という課題だが、現状のVRはどうやってオフィスで使うか悩みどころであった。HoloLensにはその悩みを解決する糸口があると思い、できるだけHololensをかぶって生きる生活にチャレンジしてみようと思う。
邂逅編
HoloLensを自社のみんなに見せた反応は「いがいにごつい」というもの。実際、オール・インなので重さもそこそこあるというのが第一印象でした。
外箱から開けたところ。
キャリングケースを開けたところ。
化粧箱にスイッチ入力ができるデバイスが入っていました。自分はこれを見逃していて、ずーとエアータップという人差し指を曲げる動きをして、腕と指がつらいです。
装着などにコツがいる初期設定
まずはゴーグルのバンドの後ろにある電源スイッチを押します。
ダイアルをまわしてバンドをゆるめます。一件PlayStation VR風なので、バンドを引っ張れば伸びるように思いがちですが、HoloLensはダイアルで緩めない限り伸びませんので注意してください。
伸ばした状態がこちらです。そして被ります。最後に前の部分を引っ張り、自分の一番良い感じの位置で固定してください。そうすると荷重が分散して長時間つけられるようになります。
個人的な装着時のアドバイスですが……。
イメージ的にはPS VRのようにバンドで締めて頭で固定する……というものではなく、バンドは頭のサイズより小さめにして、帽子を乗せるような感じで頭に置くのが一番疲れませんでした。
最初にジェンスチャーの取れる範囲が示されるので、把握したら「Next」と叫びましょう。この先ちょいちょい音声認識が必要だったり、あった方がいい場面があるので今のうちに英語の発音を鍛えておいたほうがいいと思います。
この音声認識が英語という件について、日本語化対応の希望もあるでしょうが、個人的には英語のままの方が人前で恥ずかしくないはず。いきなり「閉じろ」とか「開け」とか言い出すよりも、「Remove!」とかの方が心理的ハードルは低いでしょう。
また説明が全部英語だけど、絵や動画つきで解説してくれるので中学生レベルならなんとかなると思います。
次に無線LANの設定と、マイクロソフトアカウントの設定になります。ただ覚悟しておいてほしいのがキーボード入力の大変さです。視線(正確には首の向き)でキーを選んでエアータップ(人差し指を素早く曲げる)で文字決定なのですが、人間の首はすぐぐらつくのでキーから外れる。視界が狭いのでテキストボックスを見ながらキーを見ることができない。エアータップ自体が疲れるなどがあります。
このあたり、Bluetoothキーボードがあればだいぶ解決するという話もあるそうですが、自分は持っていないのでずーっとエアーキーボードとエアータップでやって腕が疲れました。
最後にBloom(ブルーム)という手の平で花を咲かせるようなポーズでメニューを出すチュートリアルが終わったらいよいよ本番。
ここで感じたのは既存のVR向けゴーグルと違って視野角が狭いので、いままでのように雑にかぶってもどうにかなるというものではないということ。
まずHoloLensがどんどんずり下がっていくので、ノーズパッドは高いものを選ばないとどんどんずり下がって、視界がますます狭くなってしまいました。バンドの締め付け具合も試行錯誤が必要。締めすぎると頭が痛くなるし、締めないと鼻に重量がかかって鼻が痛い。ここらへん被り方に慣れが必要で、さきほどの輪っかを頭に乗せる感じの被り方が自分には一番合っていました。
軽くソフトを使ってみた
基本的な使い方は、以下のような感じです。
アプリを起動し、次にそのアプリを空間のどこに固定するかを決めてエアータップ。その後、開始という流れになります。
ウィンドウの一括削除はできないそうで、ふいに自分が置いていたウィンドウを発見することがあって驚くことがあります。
まず試してみたのが3Dモデルを空間に設定する「Holograms」。凄くよくできていて、猫を表示させてみる。そのまま回り込んでみたが、空間にびたっと固定されてやばい。MIROさんほかが「どんな謎技術だ! オーパーツだ!」って言っていたけどその気持は解ります。
最新技術と呼ばれるものを眺めるとき、つい「自分が同じものを作れって言われたら作れるか」基準にものを見ちゃうんだけど(もちろんすべて自分自身で実装するという意味ではなく、専門家の力を借りる前提ですが)それでもHoloLensはまったく作れる気がしない。ほんと何がどうなってんの感ある
— MIRO (@MobileHackerz) January 22, 2017
Cortanaが音声認識&検索してくれる。Amazon Alexaもそうだけど、英語で文章を作るスキルが必要です。
skypeも軽くやってみましたが、空中に「↓」だせるとかすげー。ただ友達申請のやり方がよくわからずまだ本気の使い勝手を味わっていないです。
以上、Hololens邂逅編でした。次回の日常使い編のレポートに続きます。
(TEXT by 桜花一門)
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