「できたらいいなは、もうできる」は本当だ!! バンナム「ドラえもんVR どこでもドア」体験レポ

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②ドラえもん_1_修正版
東京スカイツリータウン・東京ソラマチでは2月20日〜4月14日、3階 12番地の特設スペースにて、VRアトラクションの「ドラえもんVR『どこでもドア』」を展開する。3月4日に上映が始まる「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」とコラボした特別企画で、公式サイトより申し込むことで無料で体験可能だ。

 
日本人にとって、ドラえもんは誰でも知っているほど有名なアニメキャラだろう。そしてひみつ道具である「どこでもドア」も、ほしいと思ったことが一度はあるに違いない。先行PVでは、VRゴーグルを被ったプレイヤーが自分の手でどこでもドアを開けることで、映画に関係した南極や電車の屋根に瞬間移動して驚くシーンが公開されていた。実際に体験するとどんな感じなのだろうか。

 

 
VR開発者的には、制作の担当がかつてお台場にあったVRエンターテインメント研究施設「VR ZONE」を手がけたバンダイナムコエンターテインメントの「Project i Can」と聞けば、期待せざるを得ないはず。プレス向けの先行お披露目会に参加してきたので、レポートしていこう。

 
 

のび太の部屋から南極に一瞬でワープ!がすごい

 
doraVR09
東京ソラマチの会場に行ってみると、まず目についたのは部屋の中央に立っていたピンクのどこでもドアだ。ブースではのび太の部屋が再現されており、それを見ているだけでも「アニメのアレだ!」とテンションが上がってくる。体験は2人で1つの空間に入り、2ブースあるので最大で4人が遊べる計算だ。

 
doraVR01
どこでもドアの存在感は圧倒的で、近くを通りかかった人が吸い寄せられるように近づいてきて撮影していたのが印象的だった。

 
doraVR04
体験の流れとしては、まずスリッパに履き替え、バックパックPC(VR ONE)を背負って、VRゴーグル(HTC VIVE)とヘッドホンを装着する。PCを背負うというのはなかなか慣れない経験だが、これによってケーブルの煩わしさから解放されて、色々歩き回れるようになる。初めてVRに触れる人でもスタッフさんが丁寧に説明してくれるので安心だ。

 
①のび太君の部屋_1
バーチャル空間に入ると、暑い夏でセミが鳴いているのが聞こえてくる。しばらくするとバーチャル空間にある机の引き出しが開いて、ドラえもんが出現。その後、どこでもドアを自分の手で開けることになる。

 
doraVR11
ドアの向こうを見ると、寒そうな氷の大地と水色の空が広がっていて、さらに自分の足で踏み込むと、周囲の光景がのび太の部屋から南極に切り替わる。自分の手と足でドアをくぐることで、一瞬で世界の行きたいところへ──。多くの日本人が夢見た体験だろう。

 
⑥南極_3
ドアを閉じると、そこはもう南極だ。自分の足で歩き回ってペンギンに近づいたり、風による寒さを味わったりと別世界を堪能できる。スクリーンショットとは異なるが、実際はよく見るとどこでもドアが凍っているのも芸が細かい。

 
⑦南極_4
そうこうしているうちに地面の氷が向こうから崩れ落ちてくるというハプニングに遭遇する。氷山の端に行って見ると、下には極寒の海が……。「危ない!」とまたドアを開けて、命からがらのび太の部屋に戻ってくる。

 
⑪電車_2
その後、もう一度どこでもドアを開いて高速で移動する電車の屋根の上にワープしたり……。

 
⑫引き出し_1
のび太の部屋の机の引き出しを開けてタイムマシンのあの空間を見たりすることが可能。いずれも自分の手で実際のものに触れて、アクションを起こせるというのが楽しい。最後はドラえもんがまた机から現れて、映画の熱い宣伝をして終了になる。

 
技術的には、HTC VIVEのモーションコントローラーを持たず、ゴーグルの前につけた小型の「Leap Motion」で手の動きを取っているところが興味深い。プレイヤーの指がきちんと認識されており、バーチャル空間でも青い輪郭の手が出現する。この「手ぶら」を実現したことで、ドアノブをつかんで開けたり、机を引き出したりといった行為を自分の手で起こせるのが楽しい。

 
10分にも満たない時間だったが満足感は非常に高く、遊園地のアトラクションとしてすぐにでも展開してほしいレベルの作り込みだった。2人で同じバーチャル世界に入って一緒に体験できるので、カップルで楽しむのにもピッタリ。しかも無料なのでぜひとも多くの人に体験してほしい!

 
……のだが、惜しむらくは人気すぎて予約が可能な1ヵ月先までびっしり埋まっていること。この予約枠は毎日0時に更新されるので、少し夜更かししてぜひ争奪戦に参加してほしい。

 
 

ドアや机に触ってもらうためのLeap Motion

 
doraVR10

 
会場で制作を手がけたProject i Canのタミヤ室長にインタビューできたので、主に開発者向けに役立つ情報を聞いてみた。

 
──そもそもどういった流れで企画が立ち上がったんでしょうか。

 
タミヤ室長 実は2年前の東京ゲームショウの際、Oculusさんに「Touchの開発版ができたので見に来ませんか」と誘われて、「Toybox」のデモを遊ばせてもらったのがきっかけです。これが面白くて、自分と小山はずっとゲームをつくってきたので、ルールがないのにずっと遊べてしまうこの空間はなんだという話になって、ルールをつくってゲームを遊ばせるのやめようと。

 

 
──それが「ルールの前に面白い体験を考えよう」というCEDEC 2016の講演につながっているという。

 
タミヤ室長 そうなんです。VRは体験でいいという発想です。その体験の2日後に書いた1枚の企画書がこれ(ドラえもんVRどこでもドア」)です。

 
──お台場のVR ZONEよりも前から進めていた感じですか?

 
タミヤ室長 いや、並行してVR ZONEも進めていて、企画書だけあってどうやったら成立するかなという話をずっとしていた感じです。

 
──では今回、「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」の上映に合わせて、ようやく実現したという。

 
タミヤ室長 そうなんです。

 
──PCにMSIのバックパックPC「VR ONE」を採用した理由は何でしょうか?

 
タミヤ室長 普通のPCでも運用してみましたが、みなさんかなり歩き回るので、ケーブルさばきが間に合わない。ということで、バックパックPCにしています。

 
doraVR02
2つのバッテリーを利用し、動作させながら片方を切り替えらえる「ホットスワップ」用のバッテリーを大量に充電するために、日本ではまだ入手が難しいチャージャーをわざわざ用意してもらったとか。

 
──すごい! 同じハードでいうと、HTC VIVE純正のモーションコントローラーではなく、Leap Motionを採用したのも興味深いです。Leap Motionは150度の範囲でユーザーの手の動きを認識してくれますが、VRでは見えないところもユーザーが触ろうとしてしまうこともあります。

 
タミヤ室長 そこは今回、目標となるドアノブや引き出しが目の前に見えている状態で、実物もちゃんとあって触れるので、Leap Motionでも成立してしまうんです。

 
──そう、ドアノブの位置に手を持っていくと、ちゃんと掴めたというのが驚きでした。それにしてもなぜモーションコントローラーじゃないんですか?

 
タミヤ室長 だってドアノブ握りたいじゃないですか。引き出しだって手で引き出したい。ドアにだって手で触りたいですよね。それはフリーハンドで体験していただいた方がやりやすいんです。

 
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一方でモーションコントローラーは、引き出しのサイドに据え付けられており……。

 
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引き出した際の動き検知に使われていた。

 
────ドラえもんの世界を手で感じられるのが新鮮でした。それに高速で移動する電車の天井に乗るシーンでは、全然VR酔いしないのも不思議でした。

 
タミヤ室長 これはいわゆる等速直線運動なので、加速度を感じないんですよ。

 
──あっ、加速/減速のシーンがないから酔わないという。

 
タミヤ室長 のび太くんの部屋は止まってますよね。電車も周囲の景色は動いてますが、屋根の上は止まった状態で認識されるんです。だから酔いにくいんです。

 
──南極のシーンでは、現地に行ったような寒さを感じました。

 
タミヤ室長 壁にある穴から風が出てるんですよ。あとは実は床が振動する仕組みになっていて、地割れのシーンとかは足からの揺れ込みで臨場感を感じるようになっています。実は最初はなかったんですけど、途中ワガママをいってガンダム(「ガンダムVR ダイバ強襲」)の振動床をつけてくれと交渉した結果、筐体が10cm上がってしまったという(笑)

 
──しかし、VR ZONEもそうでしたが、今回も感動したのがアテンドしてくれるスタッフさんのクオリティーの高さです。機器のツボをおさえた装着方法とか、プレー中のマイクで案内するときのアドリブとか、体験者の気持ちを汲んだ感じがスゴい。

 
タミヤ室長 相変わらずProject i Canはスタッフさんの「引き」は抜群にいいですね。

 
──聞けば、VR ZONEで働いていたわけでなく、一昨日研修を受けたばかりということでさらに驚きました。それはマニュアルをつくってるという?

 
タミヤ室長 もちろんつくっていますが、アドリブは完全に彼女のものです。

 
──すごい。ちなみに制作で一番苦労したのはどこですか?

 
タミヤ室長 こだわったのは、どこでもドアを開けて中にはいるというところです。どこでもドアってみんな概念として知ってるんですけど、くぐった後にどうなるかって想像しきれていないと思うんです。開発担当にも「扉を開けるだけでもいいですか?」と言われたこともあったんですが、「いや、今回、中に行かせてくれ」とお願いしました。入った後に、反対側に回りこめるんだと。どうやったら空間と空間がドア越しにつながれるかを考えて試行錯誤した感じです。

 
────確かに開けて通って、逆側を見ると、「あれっ、違うんだ!」と景色が変わってるのがスゴかったです。南極のシーンでは、よく見るとドアが凍っていたり。

 
タミヤ室長 そうなんです、凍ってるんです。映画の設定がもともとそうなんですが、季節が夏でのび太くんの狭い部屋からどこでもドアを開けると、極寒のだだっ広い南極に行けるという、対比された場所の不思議さを楽しんでもらえたらうれしいです。子供の頃、ドラえもんを読んだときってワクワクした感じがあったじゃないですか。だから大人の方々にもやっていただいて、「どこでもドアとかドラえもんってスゴかったんだな」って感じてほしいんですよ。ぜひ現地でご体験ください。

 
 
このドラえもんVRには、「できたらいいなは、もうできる」というキャッチコピーがついているが、それは「Project i Can」の元々のコンセプトにそったぴったりのものといえる(インタビュー記事)。業界関係者はもちろんだが、それよりも普通の人が初めてのVRとしてぜひ体験してほしいコンテンツだ。ぜひ予約して、2人で遊びに行ってみよう。

 
 
©︎ 藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2017
©︎ BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
ドラえもんVR「どこでもドア」(予約もこちらから)
映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険

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