新VRシステム「StarVR」を体験 自然に銃を撃ちまくれる「ウォーキングデッド」がスゴい
「PAYDAY」シリーズや「Syndicate」といったFPSゲームの開発で知られる、フィンランドのソフト開発スタジオ・Starbleeze Studiosが、E3に合わせて発表したVRシステムの「StarVR」。その実機をE3で体験したライターの岩井省吾氏にレポートをお願いした。
StarVRは「InfinitEye」と呼ばれていたVRシステムを発展・継承させたもので、従来のVRシステムでは100×100度だった視界を270×130度まで拡げたのが大きな特徴になる。この視界のために2560×1440ドットのモニタを2面搭載し、5120×1440ドットの画面を実現している。「5K VR System」との呼称はここからきている。
2つの16:9モニタを装備。
OculusやProject Morphiusとは一線を画した……割と無骨なデザイン?
上部から。
背面はこんな感じ。
センサーは地磁気、ジャイロ、加速度を搭載。これとマークによる光学トラッキングを組み合わせることで、遅延の少ない位置検知を可能にしている。
実際にはQRコードのようなマーキングが本体各所に記されており、これでトラッキングを行う。
体験用のソフトは、同社子会社のOverkill Studiosが開発進行中の「Overkill’s Walking Dead」だった。原作はテレビドラマシリーズにもなったアメリカンコミックの「ウォーキング・デッド」で、過去には、日本でもPSプラットフォーム向けにシーズン1を発売したアドベンチャーゲームのTallTale Games版のほか、ActivisionがリリースしたFPS版など複数の会社がゲームをリリースしており、本作は新たなライセンシーとなる。
なお、ゲームとしての本作はPS4/Xbox One/PCのマルチプラットフォーム作品となっているが、今回のE3ではStarVRのお披露目を兼ねたVR版の展示のみという、VRに対する本気度の高い展示となっている。
本作のブースは、E3会場であるロサンゼルスコンベンションセンターのWest Hallで入口にほど近い場所にあった。パブリッシャーである505 Gamesはこの近辺にゲーム別のブースを展示してアピール。
実際に車いすに乗ってプレイ。今回のVR展示はこのようなシチュエーションに凝ったタイトルも多いようだ。
メディアレセプション内では、原型となったInfinitEYEの実機も展示していた。
シチュエーションとしては、プレイヤーは足を切断して車イス生活を余儀なくされており、病院で暮らしていたが、そこにもゾンビの一種である「ウォーカー」の群れがやってきて……というもの。移動は、プレイヤーの別のキャラクターが自動でおこなうレールシューティング風になっている。
プレイヤーは途中でショットガンを渡され、ウォーカーの群れを突っ切ることとなるが、途中で共闘していたパートナーがウォーカーの餌食になり、さらに弾切れになった瞬間、もう一人のパートナーがプレイヤーを見捨てて逃走(!)。プレイヤーはあわれウォーカーの餌食になって終了……。
視点移動や銃のエイミングなどの遅延は特に問題なく、自然にゲーム世界に入り込めたのはVRシステムとゲームがグループ内で密接に開発されている強みともいえるだろう。
これが噂のショットガンコントローラ。ポンピングアクションでリロードする、ずっしりと重量感のある本格派! ……想定価格も気になるところ。ちなみにこれにもマーカーがついていた。
今回のデモは、視界が広いというStarVRの特徴を活かし、多数の敵が登場するという今までのVRゲームになかった仕上がりになっている。しかしながら、ほぼ本作専用のショットガンコントローラを使う、というのはテーマパークなどでの展開ならともかく、家庭用の展開では価格面を含めて厳しいものがある。
もちろん、体験に必要だからこそ用意されたコントローラなので、価格面などでどう折り合いをつけるのか、ほかに追随するタイトルが登場するのかにも注目したい。
現時点では必要PCスペック、価格、発売時期などは未発表。現時点での開発パートナーは、505 Gamesや映画会社のLionsgate(「ハンガー・ゲーム」「エクスペンダブルズ」「RED」)や東芝などが参加している。また、SteamのOpenVRプラットフォームにも対応し、広く開発会社を募る模様でもある。今後の展開に注目すべきVRプラットフォームの一つになることは間違いないだろう。
●関連リンク
・StarVR
・Overkill’s Walking Dead