ゲーム実況にぴったり!! 1対4の対戦デモ「The PlayRoom VR」を試遊した【Morpheus体験】
2016年上半期に発売が控えているソニー・コンピュータエンタテインメントのPS4向けVRヘッドマウントディスプレー「Project Morpheus」。6月の「E3 2015」では、ハードの進化こそなかったものの、20種類という大量のデモを出展してソフトの充実をアピールしていました。
それらのデモから6つを試遊できたプレス向け体験会に参加したので、1本ずつインプレッションをお届けしましょう。いずれも甲乙つけ難い内容で非常に面白かったのですが、最初は「The PlayRoom VR」をピックアップ。ちなみにTwitterに投稿した直後の感想はこんな感じです。
The PlayRoom VR。
Morpheusのプレス向け体験会に行ってきた。やっぱりどれもコンテンツのレベルが高い。特にSCE製のコンテンツがそのままゲーム化が想像出来るほどいろいろ考え抜かれていた。解像度的にはOculusのほうが上だけど、VR体験の面白さは解像度がすべてじゃないってのを再確認しました
— Minoru Hirota (@kawauso3) July 21, 2015
どれも印象的で甲乙つけがたい。The PlayRoom VRは、Morpheusかぶった怪獣側と、小人ロボットで対戦。最初は小人たちが途中にいる仲間をたすけながら攻撃してくる怪獣から逃げて、港にきたら攻守交代。小人が助け出したロボからアイテムもらって投げて攻撃みたいな
— Minoru Hirota (@kawauso3) July 21, 2015
最大5人でわいわい楽しめるのは、まさにボンバーマン的な楽しさですね。港で戦う際のコツは、小人なら左右にわかれて、一方が怪獣の目線を引きつけて、死角になったほうがアイテムを投げて当てまくると倒しやすい。怪獣なら攻撃できないので、一方に引きつけて、左右やスウェーバックで避けまくる
— Minoru Hirota (@kawauso3) July 21, 2015
怪獣側で攻撃がヒットした際、画面を揺らすのではなく、CoDで攻撃くらったみたいに視界に何かが張り付く的なのは、VR酔いを起こさせないいいアイデアだなと思った。小人のほうは戦隊モノモチーフにしてて、変身したりとかちょっとした仕草が可愛かったりとか、細かい作り込みも凝ってました
— Minoru Hirota (@kawauso3) July 21, 2015
VRのデモは一人で遊ぶだけでなく、大勢で集まって他人の反応をみながら盛り上がるのも楽しいもの。ちょっと前なら、Oculus Riftの初代開発キット(DK1)で人気を博したジェットコースターデモ「RiftCoaster」が鉄板で、居酒屋などで飲みながら「ワーキャー」遊んでいると、最終的に店員さんまでかぶりにきてみんなで笑顔に……みたいなことがよくありました。
そんなみんなで遊ぶ楽しさを発展させたのが、The PlayRoom VRです。プレイ人数は最大5人。1人がMorpheusをかぶって怪獣になり、あとの4人が小人のロボットを担当して、怪獣vsロボットのチームで戦います。Morpheus内部には怪獣そのままの一人称視点が表示されますが、テレビには俯瞰映像が現れるという、同じシチュエーションを2つのカメラで表示しているのが特長です。
ゲームは、前半は現れた怪獣からロボットたちが逃げ、後半は逆にロボットたちが一丸となって怪獣と戦うという流れになります。操作は怪獣側は頭の動きだけ、ロボット側は左のアナログスティックで移動、ボタンでジャンプしたりアイテムを拾って投げるという単純なもの。
後半は攻守交代で、小人ロボット側が武器を投げて怪獣を倒します。戦隊ものをモチーフにしてるのか、後半に入った直後にロボット側が変身するのが面白いです。
前半は強制スクロールで、怪獣のプレイヤーはMorpheusをかぶった頭を縦に振って地面に叩きつけ、うまくロボットにヒットさせて足止めするのが目的です。一方でロボットたちは攻撃できず、怪獣の頭の落下地点が事前に表示されるので、左右に動いたりジャンプして避けます。道中に、ロボットの仲間たちがいて、彼らに触ると後をついてきます。
港までたどり着けばゴールとなり、攻守交代して後半戦のスタートです。今まで助けたロボットたちがヘリに搭乗して武器となるアイテムを投げてくれるので、ロボットのプレイヤーたちはこれを拾って怪獣に投げつけます。ここまでに助けられたロボットの数で、投入する武器量が変わってくる仕組みになっています。
怪獣は頭を左右に振ったり、後ろに動かしたりして避け続ければOK。徐々にロボットたちが立ってる埠頭の領域が狭くなっていくので、完全になくなる前に一定のダメージを怪獣に与えられればロボット側の勝ち。最後まで避けられれば、怪獣側の勝利という結果になります。
遊んでいて「これは!」と思ったのは、ゲームの楽しさをきっちり盛り込んでいる点。特にロボット側で繰り広げられるコミュニケーションは至上です。
前半、4人でドラゴンから逃げる際には、ロボット5、6人分しか道幅がないため、どうしてもほかのロボットと当たってしまって逃げ切れずに怪獣の一撃をくらってしまうことがあります。そこで展開される「お前邪魔だよwww」や「あっちいけwww」といった会話でめちゃくちゃテンションがあがります。
後半も、うまくダメージを与えるためにロボットの一部がおとりとなって相手を引きつけ、Morpheusの視界に入らない逆サイドのプレイヤーが武器を投げてボコボコにする連携プレーが実現できます。「俺がおとり役をやる!」「頼んだぞ!」といったアツいやり取りの末、見事、怪獣を撃破できれば、かなりの「俺らやったぜ!」感を味わえます。
怪獣側は怪獣側で、一生懸命攻撃したり避けたりしなければいけないためものすごい運動量で、終わったあとには汗だくになってしまうはず。Morpheusを外してリアルに戻ったときには、激戦についてアツい会話が交わせるでしょう。
なんとなく37歳の筆者が思い出しのは、スーパーファミコンの「スーパーボンバーマン」シリーズでした。5人対戦で、まず1人目を退場させるために協力してウマい位置に爆弾をセッティングするあの楽しさ。あるいはファミコンの「ダウンタウン熱血行進曲」の4人バトルロワイヤルにも近いものがあります。
現状、VRの世界は「夜明け前」なので、大半の方々は360×180度の全方位が映像に包まれることを体験できるだけで新鮮という感覚を味わえます。さらにもうひと段階進んで、自分の手などを使ってバーチャルの世界に干渉できるようになると、「VRって面白い!」と実感できるはず。そこをまた一歩発展させ、多人数で楽しいときを過ごせるパーティーゲームの仕掛けを入れたことが、The PlayRoom VRの真髄だと思いました。
細かい話でいえば、MorpheusのプレイヤーがVR酔いしないように演出も気をつけているのが素晴らしかったです。
例えば、後半で武器を投げつけられてダメージを受けた際、平面ディスプレーでは後ろにのけぞったり画面を揺らすエフェクトを入れることが多いですが、VRコンテンツでは体が動いていないのに視界だけ大きく動かすと気持ち悪くなりがちです。そうした既存の映像文法を流用せず、視界が悪くなることでダメージを表現する方向に舵をとったのが素晴らしいなと感じました。
ここから怪獣/ロボットともにやりこむことでパワーアップ要素を盛り込んだり、ダウンロードコンテンツで武器を増やしたり、ステージをさまざま用意したりと、容易に先が見えてきます。もちろんネットワーク対戦にしても面白いはず。このままパーティー用ミニゲーム集に盛り込むのもアリでしょう。
「SCEはVRゲームにめちゃくちゃ本気だ!!」と実感できたThe PlayRoom VR。ぜひ展示会などで機会があったら体験してみてください。
●関連リンク
・Project Morpheus(ニュースリリース)
・VRシステム”モーフィアスをやってみた!” 15のデモを怒濤のプレイインプレッション!【E3 2015】