竹中工務店、建物や地域情報から災害を想定するVRシステム「maXim」開発 避難誘導等に利用
竹中工務店は、連鎖的な発生が想定される地震や火災や津波など複数の災害の予測やその際の避難行動の解析結果を統合し、VRによる事前体験を可能とする災害事象の統合VRシステム 「maXim(マキシム)」を開発したと発表した。
「maXim(マキシム)」は、建物のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データを活用し、各災害事象の解析結果を3次元モデル内に時間経過に沿って統合化。ドーム型スクリーンやVRゴーグルなどで可視化する。これにより誰でも容易に、複雑な災害事象をリアルに把握した上で防災計画の検討などが行えるようになる。
●maXimの仕組み
1. BIMから必要情報を抽出
2. 災害現象や人の避難行動を解析
3. 解析の結果や、建物の3次元モデルをインポート
4. 情報の補完や最適化ののち、全てのデータを単一の空間と時系列の中に統合
5. 計画地周辺の都市モデルを追加
5. 計画地域のハザード情報などに基づき災害シナリオを作成
7. 竹中工務店が保有するVR技術+maXimオリジナル開発技術で可視化
8. 利用目的に最適なVRデバイス用にVRコンテンツを出力
「maXim」適用により、重要であるとされつつ個別の対策技術の効果が見えにくい、あるいは実感しにくいBCP(ビジネス・コンティニュー・プラン)などを含む防災計画の対策や個々の技術の効果が可視化される。これにより、建物の防災性能に対する理解と評価が促進され、建築主や施設管理者、またそれを使う人々の防災意識の向上が見込まれる。同社は、プロジェクトごとの小さな効果の積み重ねが「災害に強い建物やまちづくり」「国土強靭化」といった社会課題解決に寄与すると考える。
今後は、建物単体への適用のみではなく、自治体や行政のハザードマップのVR化、災害発生時の避難誘導の個別化・リアルタイム化などまちづくりや都市計画における災害対策への応用も検討し、ビジュアルBCPコミュニケーションツールとして「maXim」を活用していきたいとしている。
●関連リンク
・竹中工務店 ウェブサイト