バックパックでも持ち運べる!? MSIのVR向けコンパクトPC「Trident 3」実物を激写!
MSIは3月29日、4月よりゲーミングデスクトップPCの日本市場参入を開始すると発表した。第1弾として4月10日よりVR対応モデルをうたうコンパクトPC「Trident 3」の予約をスタートする。出荷は4月下旬予定。市場想定価格は19万8000円(税込)。
今年1月のCESにて発表した製品で、日本向けの主な仕様は、CPUがIntel Core i7-7700、メモリーが16GB、グラフィックカードがGeForce GTX 1060 6GB、ストレージが128GB M.2/1TB HDD。
特徴は346.25×232.47×71.83mmというスリムな本体で、付属スタンドを使っての縦方向、テレビラックに入れる横方向と置き方が選べる。重量も3.17kgとゲーミングデスクトップPCにしては軽量なので、外に持ち出して頻繁にデモする必要があるVR開発者にとっては最適だ。
世界最小のVR対応PCとのこと。実際に手に持ってみたが、17インチノート程度の重量感だった。
PC向けVRゴーグルがなかったので、たまたま持っていたHoloLensとサイズ比較。
電源は外付けのACアダプターで230W。本体がスリムなぶん、こちらが大きめ。
VR向けの機能としては、まずフロントにHDMI端子を用意する「VR Link」が挙げられる。例えば、HTC VIVEでルームスケールの場所を確保しようと、リビングにセンサーを置いてテレビにPCをつないで遊ぶ場合、HDMIが後ろにあると何かと接続に不便だ。フロントにあれば、VRゴーグルをつけっぱなしにして放置することなく、体験するときだけ手早くつなげる。
ほかにもソフトの付属もVR向けで、ワンクリックVRで不要なソフトを終了させることができる「One-Click-to-VR」が利用可能。また、DirectX 9/10/11対応のゲームをステレオスコピック3D化してVRゴーグルで見られるようにしてくれる「TriDef VR」の3ヶ月無料ライセンス、360度オーディオ体験をVRにもたらす技術「Nahimic VR」なども提供される。
VR Link。
HDMIだけでなくType-AのUSB端子も2本あるので、Oculus Riftでは赤外線センサーを、HTC VIVEではリンクボックスからのケーブルをそのまま前面につなげる。Riftで赤外線センサーを2本使いたいときは、背面に回すことになるが……。
TriDef VRは、Battlefield 1やFallout 4、Overwatchなどに対応。
VR向けにかなり気合の入ったPVまで用意している。
PC自体の機能面としては、50度以下でファン動作を停止する「Zero Frozr」を用意。
CPUとグラフィックカードの格納エリアを独立させて吸気することで、効率的な冷却と静音性を両立させるという「Silent Storm Cooling」機構を採用。
CPUやメモリー、HDD、グラフィックカードなどのアップグレード方法。グラフィックカードはハーフサイズになる。
MSIが海外で発表しているゲーミングデスクトップPCのラインアップ。
このうち現在、国内リリースを発表しているのは、Trident 3の1バリエーションだけだが、SLI構成も可能な最上位モデルの「Ageis Ti3」(画像左)、ハイレゾオーディオに対応した「Aegis X3」(右)も順次市場投入予定とのこと。
またTrident 3も今後は、より高性能なGeForce GTX 1070のAERO ITXを搭載する予定だ。
そのGeForce GTX 1070搭載機を今回参考展示していた。ACアダプターが330Wに増量されるようだ。
この1070搭載で、本体色が白の限定モデル「Trident 3 Arctic」も海外で発表している。ともに国内の投入予定は未定。
VR業界においてMSIといえば、背負うタイプでバッテリーのホットスワップ(電源をつけたままの交換)が可能なPC「VR ONE」で有名だろう。こちらはノートPCをベースに発展させたものだが、Trident 3は高性能なデスクトップをスリム化したというアプローチになる(といっても用途からしてVR ONEは業務向けで全然違いますけどね)。
また、VR向けで15.6インチのゲーミングノートPCもリリースしている。VR開発者の中には、持ち運びを考慮してノートを選ぶ人も多いが、それと比較するとコンパクトなデスクトップPCは、時代に合わせて内蔵のCPUやグラフィックカードをアップグレードしていけるというメリットがある。
移動を考慮しなくてもいい自宅でVRゲームを遊びたい人にとっても、先に挙げたようにリビングに置いても違和感がないコンソールゲーム機のようなサイズ感とデザインなのがポイントだ。この春、PCを買い換えてVR Readyにしたいという人はぜひチェックしておこう。
●主な仕様
項目 | 概要 |
---|---|
CPU | Intel Core i7-7700 |
チップセット | Intel H110 |
メモリー | DDR4-2400 16GB(2スロット、最大32GB) |
グラフィックス | NVIDIA GeForce GTX 1060 6GB |
ストレージ | 1TB HDD、128GB M.2 |
光学ドライブ | なし |
インターフェース | フロント:USB 3.1(Type-C×1、Type-A×2)、マイク、ヘッドホン、HDMI リア:USB 3.1(Type-A×1)、USB 2.0×4、HDMI出力/入力、HDオーディオ、ギガビット有線LAN、無線LAN(IEEE 802.11 b/g/n/ac)、Bluetooth 4.2 |
OS | Windows 10 Home |
ACアダプター | 230W |
本体サイズ/重量 | 346.25×232.47×71.83mm、3.17kg |
市場想定価格 | 19万8000円 |
スペック表にはないが、グラフィックカードの端子としてDVIなども付属しているようだ(写真下部)。なお、Oculus RiftやHTC VIVEを遊ぶ際は、ゴーグルからのケーブルを必ずグラフィックカード側のHDMI端子につなごう。
(TEXT by Minoru Hirota)