SVVRのVRデモで実践! 海外展示会で「わかってもらえる」ビジネス英会話の実例集
米国時間の3月29〜31日、カルフォルニア州サンノゼにて開催したシリコンバレーのVRカンファレンス「SVVR 2017」。SILICON VALLEY VRの正式名称にあるように、発祥はシリコンバレーで、今回で4回目の開催となる。
会場は昨年10月「Oculus Connect 3」が開催されたサンノゼコンベンションセンターで、展示エリアではOculus VRやHTCをはじめとするデバイス、コンテンツ、ツールなどの幅広い会社が参加していた。日本から出展した合計11社のうち、私(Riftup)もフォージビジョンのお手伝いとして現地に行ったのだが、その際に実践した英語でのデモへの誘い方や説明方法などをまとめたのでぜひ参考にしてほしい。
その場で英語で考える時間を減らすように準備する
いきなり逆説的だが、よほど慣れている場合を除き、海外での展示会ではなるべく英語を使わない体制を整えておいたほうが負担が軽くなる。この観点に基づき、以下のように準備しておいた。
●ブースにはなるべく視覚でわかるものを置こう
百聞は一見にしかず、の通り、ポスターやパンフレット(brochure、ブローシュアーともいう)など、何か特徴がわかるものがあるといい。指差しながら説明できるので、英語を話す量を減らせる。ポスターには簡単な導入文を英語で書いておくと、説明のときに緊張しててもそれが手がかりになるのでオススメだ。
●説明する内容を事前に考えよう
例として、今回展示したわっふるめーかー(@waffle_maker)氏の「PentaVR」について、説明文の作り方を書いてみた。
まず、(1)、(2)について、日本語で単語をつなげてメモをとる。
(1) 2つ理由がある。
一つ目:散らかった部屋では創作意欲が低下。綺麗な部屋ならinspireされる。クリエイターには重要。
二つ目:ドラゴン、大きな車、実際には出せない。頭の中で想像しながら描くのは大変。「実物」が目の前にあれば簡単に書ける
(2) ペンタブレットで、VRの世界で絵が描ける。ペンタブレットはどこでも売っているもの。Tilt Brush、3Dペインティングツールはとてもいい。一方で、2Dペインターもたくさんいる。
次に、これを英語にする。
(1) Messy room is not good environment for painting creator. If view in front of you is beautiful scenery, it inspires their motivation. A Doragon, A big car, it is impossible to generate in the real world; But it is easy in the virtual world.
(2) You can draw anything with normal pen tablet in VR. The pen tablet is a mass product. We think 3D painting tool like “Tilt Brush” is very good, but there are still a lot of 2D painting creator.
文法的に完全に正しくはないが、展示会場は英語の試験ではないので、多少細部が間違っていても相手が理解してくれる。この準備があったおかげで、今回それほど詰まらずに説明できた。
●コンテンツのポイントを整理しておこう
より効果的な出展にするには、短時間で関心をつかむ必要があり、そのためには論理的に通じることが重要だ。例えば、今回は以下の観点を話すようにした。
(1) どうしてこのコンテンツを作ったか?
(2) 何ができるのか?
「どうやって作ったか?」は、開発者同士でしか興味がないので、相手がよほど興味を持っている場合を除き、説明しない方がいい。
●準備の通りにいかなくても割り切って対応しよう
実際、「なぜアメリカで展示するのか?」など、想定外の反応をされたことが何度かあった。私の場合、そういうものだと割り切ることで、何も言えなくなる、がないようにした。これは試験ではないので、「英語が通じないな」「質問の意味が理解できていないな」と思われたら、深く追求する人はまずいない。気楽に考えるのがお勧めだ。
展示説明での英会話のコツ
●積極的に話しかけよう
今回のSVVRの場合は、OcuFes、JapanVRFestなどの日本のVRイベントに比べると、広さの割に来場者が少なかった。そのため、待っているだけだと来場者がブースに来ない時間帯もあった。このようなときは、ブース近くにいる来場者に話しかけてみよう。なお、聞こえたときのイメージをカタカナで表記してみた。
「Hi, there」(ハイ、ゼア)
「Hello」 (ハロー)
「How is going?」(ハウ イズ ゴーイン)
などの挨拶をすれば、まず話を聞くかデモを体験してもらえる(個人的には、これで成功率は90%程度だった)。アメリカでは、列の待ち時間などで、全くの他人同士が会話を始めることがよくある。そのため、日本よりも話しかけやすいと考えていいだろう。
また、
「Do you have interest in Japanese VR contents?」 (ドゥーユー ハブ インタレスト イン ジャパニーズ ヴィーアール コンテンツ?)
という質問も有効だ。本記事の最後でも記載しているが、アメリカでは日本のVRコンテンツが一目置かれており、興味を持つ人が多いからだ。話しかけるときは、ポスターを見せるかパンフレットを渡しながらにすると、会話の量を減らすことができるのでお勧めだ。
●こんな質問が来たらこう答えよう
今回の展示では色々な質問やコメントを受けた。その中で共通で使えそうなものを選んでみた。国内の展示であっても外国人の来場者は多いので、何かの参考になれば幸いだ。また、聞こえたときのイメージをカタカナで表記している。なお、下記の回答例は、「PentaVR」や「Project Lux」の回答とは無関係なのでご了承いただきたい。
「How long did you make/develop?」 (ハウ ロン ディドゥ ユー メイク/デベロッ?、制作期間はどれくらい?)
→ 「About 1 month.」 (アバウント ワン マンス、約1ヵ月です)
「How many people did make/develop?」 (ハウ メニー ピーポ ディドゥ メイク/デベロッ?)「何人で作ったの?」
→ 「5 people. 3 is software developers, 2 is designers.」 (5 ピーポー。スリー イズ ソフトウェア ディベロッパーズ、 トゥー イズ デザイナーズ、5人です。3人がプログラマー、2人がデザイナーです)
「Is it only Oculus/VIVE?」(イズ イット オンリー オキュラス/バイブ?、(あなたのコンテンツは)Oculus/VIVEのみに対応ですか?)
→ 「Now it is for only Oculus. But we ‘ll have a plan to publish to SteamVR. (ナウ イット イズ フォアー オンリー オキュラス。バット ウィール ハブ ア プラン トゥー パブリッシュ トゥー スティームヴィーアール、今はOculusのみです。しかし、SteamVRへも対応予定です)
「What kind of company is AAA? 」(ワット カイン オブ カンパニー イズ AAA?、AAAはどんな会社ですか?)
→ 「Develop VR contents, 360 movie.」(デベロップ ヴィーアール コンテンツ、スリー シックスティ ムービー、VRコンテンツ、360度動画を作る会社です)
*補足:現地では、「360」は、「スリーハンドレッド アンド シックスティ」ではなく「スリーシックスティ」と発音していた。
「Is this already in the market?」(イズ ディス オールレディ イン ザ マーケット?、これはもう売ってますか?)
→ 「Yes, you can download it by Oculus Store.」 (イエス、 ユー キャン ダウンロード イット バイ オキュラス ストア、はい、Oculus Storeでダウンロードできます)
→ 「No, but a couple month later, you can download by SteamVR.」 (ノー バット ア カップル マンス レイター、 ユー キャン ダウンロード イット バイ スティームヴィーアール、いいえ、でも数ヶ月後にはSteamVRでダウンロードできるようになります)
その他、「Cool」(クール)、「Awesome」(オーサム)、「Perfect」(パーフェクト)などは、「かっこいい!」、「すごい!」という褒め言葉なので、「Thanks!」と返しておこう。
●話すことに慣れよう
英語を話せるようになるのは、慣れていくしかない。私の場合は海外留学経験がないので、今回のような海外カンファレンス参加のときになるべく話すようにして練習している。もちろん練習方法は人それぞれででどれが正解ということはないが、参考までに、私の場合は旅行英会話の本を買って勉強した。少し古いが、個人的にはこの本がオススメだ。
本書では、出国から現地の生活まで、いろいろなシーン別の会話が掲載されている。こういう本であれば、実際の雰囲気をある程度イメージできる。
また、タクシーの中で運転手さんとする会話もオススメだ。タクシーであれば、10分から30分くらいの時間ずっと話せるし、失敗して恥ずかしくてもこの後会わないと思えば気が楽になる。「So hot day」(今日は暑いね)から始めてもいいので、とりあえず話してみると、大抵の運転手さんはお話好きなので、「Where are you from?」のように会話が始まるので、いい練習になる。
高まる日本コンテンツへの期待に、英語説明も増加!?
今回は自分のブースの紹介をする傍らで、他の日本ブースコンテンツにも誘導するように心がけたが、ほとんどの来場者は日本コンテンツに関心が高いように見えた。また、複数のSVVR関係者の方より、日本ブース全体が好印象であり、日本のコンテンツは、私たちアメリカ人が思いつかない発想のものが多く、とても刺激的であると言われていた。
日本の展示会でも英語で説明する機会が増えるかもしれないので、英語での説明を準備しておくと今後の役に立つだろう。
(Text by Riftup)
●関連リンク
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