須藤元気らWORLD ORDERのダンスを目の前で体感! Tissotの360度PVお披露目レポート
レコチョクの社内研究機関である「レコチョク・ラボ」は12日、スイスの時計メーカー「Tissot」(ティソ)の2017新作を紹介する360度プロモーションムービー「TISSOT BALLADE AUTOMATIC」に関する記者発表会を開催した。
同作品はTissotのアンバサダーである須藤元気氏、および彼がプロデュースするダンスパフォーマンスユニット「WORLD ORDER」とのコラボで実現したもので、当日は現地でパフォーマンスも行われた(関連記事)。VRをプロモーションに活用した意図など、発表会をレポートしていこう。
写真左より須藤元気氏、スウォッチ グループ ジャパン ティソ事業本部 Tissot Brand Directorのマーティン・ゴーディアン氏、レコチョク 執行役員CTO兼「レコチョク・ラボ」長の稲荷幹夫氏。
Top of Mind、記憶に残る映像を作りたかった
Tissot自体はスイスで160年以上の歴史を持つ時計メーカーで、今回の360度映像には、2017年1月に発表した「Tissot Ballade Automatic」という新製品が登場する。
Tissot Ballade Automaticシリーズ。須藤氏は「今日みたいな革ジャンとかのラフな格好でも、荒くれ者にならなく品がいい。どんな格好しても似合うんじゃないかな」と語っていた。
WORLD ORDERは、2009年に東京で結成されたダンスパフォーマンスユニット。海外から見た勤勉な日本人ビジネスマンのイメージをパロディーにしたスタイルで、2015年より須藤氏はプロデューサー、他の6人がパフォーマンスという編成になっている。
レコチョク・ラボは、次世代のサービスや音楽マーケット創造に向けたレコチョクの研究機関で、今回の360度動画の撮影と編集を担当。また、レコチョクが運営するアーティストとファンを結ぶプラットフォーム「WIZY」にて、独自デザインのVRゴーグルやTissotの時計などが含まれるクラウドファンディングを実施した。そして12日より、下記の360度動画がYouTubeにて公開されたわけだ。
この座組みでPVを360度動画で撮ることに至った経緯については、ゴーディアン氏が「一番の目的は『Top of Mind』。記憶に残る映像を作りたかった」と解説していた。
「時計や家具などのプロモーションビデオはCGでつくられていることが多く、同じCGで作ったのでは大きな差別化にならずに、せっかく制作しても同じに見えてしまう。そこでソーシャルを意識してネットでみなさんに広めていただくために、VRという新要素を入れた」(ゴーディアン氏)
ゴーディアン氏によれば、Tissot Ballade Automaticはデザインはクラシックだが、中身はハイスペックという製品とのこと。その二面性を表現するために、スーツなのに激しいパフォーマンスというギャップを持っているWORLD ORDERに再度白羽の矢が立った。さらに360度映像を制作できるチームを探して、VRも含めて新技術に挑戦しているレコチョク・ラボにお願いしたという。さらに360度映像をVRで見るメリットをこう語っていた。
「通常の2D映像は、ブランドのイメージを視聴者に一方的に送ってしまうことも多く、広告っぽく捉えられてしまってあまり記憶にのこらないところもある。360度動画なら色々なアングルを自分で選んで自然に参加できるので、カジュアルに見える映像になっているのかなと」(ゴーディアン氏)
Gear VRで今回のPVを体験するゴーディアン氏。
一方で、制作についてはやはり苦労したようだ。レコチョク・ラボの稲荷氏によれば、撮影には水平方向に4つのレンズを備えた「Z CAM」を利用し、映像の統合作業(スティッチング)はなるべく自動化して編集のほうに力を入れたそうだ。
「一番気をつけたのが光で、照明の強さと影に気をつかっています。注意して見ていただけると、カメラの影がまったく出ていないし、下方向にもロゴなどが映っていない(撮影時の三脚が出ていない)。映像の張り合わせは自動でやっている。360度撮影では、レンズの間でつなぎ目が出やすいが、そこを動きでカバーできるようにしてできるだけ自然に見えるようにした」(稲荷氏)
出演者の須藤氏も、演技の難しさについてコメントしていた。
「いい映像作品というのは、臨場感を支配するもの。WORLD ORDERの場合は色々な場所で撮影することで、人のリアクションで自分が本当にその場にいるかのような感覚を出していたが、それが360度になってしまうと臨場感があるんだけど、逆に臨場感を支配しにくいという難しさがあった。高校の制服でがんじがらめになっていたから、裏ボタンやシャツでオシャレしていたのが、『私服でどうぞ』となられたときに、じゃあどういった格好していけばいいのか迷った」(須藤氏)
須藤氏。
そんな360度動画だが、発表会の会場ではGalaxyシリーズ専用の「Gear VR」にて体験が可能だった。筆者も実際にかぶってみたが、360度カメラを動かさずに固定で撮っているのでVR酔いしにくく、全方位をあちこち見回すような演出を無理に入れるようなこともなく、WORLD ORDERのパフォーマンスに自然に集中できてその場にいる感覚を味わえる丁寧に作られたコンテンツだと実感した。
YouTubeに投稿された今回の360度動画は、スマートフォンのYouTubeアプリで開いて見たい方向に端末を向けることで好きな視点で視聴可能だ。残念ながらWIZYのクラウドファンディングで提供されたVRゴーグルは販売されないそうだが、ダンボールやプラスチックで作られたスマホ向けVRゴーグルを別途入手することで、よりその場にいるような感覚で映像を体験できる。ゴーグルがあるかないかで受け取り方が大きく変わってくるので、ぜひゴーグルを用意して見てほしい。
ゴーディアン氏によれば、一部店頭でもプロモーションの一環としてVRゴーグルでの体験を展開する予定があるとのこと。近くの販売店で実施される場合は、ぜひ訪れてチェックしてみてはいかがだろう。
(TEXT by Minoru Hirota)
●関連リンク
・Tissot Ballade introduction by WORLD ORDER Japan – 2017
・レコチョク・ラボ
・Tissot
・WORLD ORDER