先端×古典の異色ライブ「CULL:TURE」レポ 能舞台でラッパーが歌い、プロジェクションマッピングが映える!
去る4月15日、大阪にて新しい形のミュージックライブイベント「CULL:TURE」が開催された。
本イベントのコンセプトは「古典×先端」ということで、「先端」はロック、ラップ、テクノといった現代音楽と、プロジェクションマッピング技術にあたる。「古典」の部分は、なんとハコが「大阪能楽会館」ということで、どうやら能楽をからめたイベントになるらしい。そんな概要を聞いたところで、「ええー、ほんとにござるかぁ?」と聞き返したくなるのも無理はない。なにせ能といえば神事にも使われる古典芸能であり、当然しきたりとかも存在するであろうから、どうやってこんなイベントを実現させたのか、という点も興味深い。
ちなみにPANORAでも稲川淳二やアイカツスターズ!でレポートした「DMM VR THEATER」のDMM future worksもVRミニシアターブースを出展していた。
CULL:TURE ティザームービー
アフタームービー。
そんなわけで、Unreal Fest Westの取材を終え、京都から会場入りした筆者が見た光景は、
「能の舞台でラッパーがパフォーマンスをしていた」
いやぁ、マジでした! 今回は出演したのは、3組のアーティスト。
最初に登場したのはロックバンド「PAELLAS」。こちらは残念ながら未見で……
2組目はラップデュオの「OMSB&MARIA from SIMI LAB」。「ガソリンぶっかけ火ぃつけちまえ!」という歌詞のときには、会場が燃えた!(プロジェクションマッピングで)
3組目は「UCARY & THE VALENTINE」というテクノポップアーティスト。作曲はGarage Band、演奏はMacBookで行う異色のバンド構成だが、何曲かの歌唱ののちオペレーターを残してUCARYが舞台からはける……。
と、舞台の横から、日本舞踏の「やまと舞」が登場。正統派の和の舞を見せる。
そしてUCARYが再登場し、歌とともに舞子が舞うコラボレーションに
公演終了後、今回の仕掛人であるOomphの谷本祐真氏に話を伺った。
企画意図としては、「古典×先端」というジャンル、時代ともに異なる世界を融合させていくことに重点を置いている。「UCARY & THE VALENTINE」と「やまと舞」のコラボは、長唄の「道成寺」という能楽の古典をUCARY & THE VALENTINEが現代風にアウトプットし、それに合わせてやまと舞が踊る、というものだった。これは表面的なものではなく、両者が密に合わせることで芯まで筋の通ったコラボとして仕上がって、能楽関係者からも好評だったという。ちなみに出演者は、アーティスト性・世界観・楽曲などを重視した上で、さらにプロデューサーを付けずに自分たちのアーティスト性を媚びることなく前面に押し出しているという基準で選んだそうだ。
次の舞台は……と聞いたところ、年内にDMM VR THEATERにおいて公演をやりたいと話していた。そのときは、今回とは真逆の発想で、能楽をVR THEATERの施設でホログラムの縁者を用いたり、現代風な演出・音楽を加えつつ上演したいそうだ。同劇場では様々なタイプのコンテンツが多数上映されていることもあり、親和性が高そうに思える。なお、入り口には劇場の模型と近々の上演コンテンツのパンフレットが置かれていた。
伝統芸能と現代芸術を、中身の芯まで融合させたイベントはほかにはない、と自負している谷本氏。今後も現代芸術と日本が作り上げた文化を組み合わせ、より深く文化・芸術・技術を楽しんでもらいたいと語っていた。横浜での公演の続報に期待したい。
ちなみに、「道成寺」って某ゲームでおなじみの清姫の話だそうで……。いやまさかそういう層を狙ったわけ……じゃないですよね?
(TEXT by Shogo Iwai)
●関連リンク
・CULL:TURE
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・Summit(OMSB&MARIA from SIMI LAB)
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