ノウハウのない企業もVRコンテンツを作れる──Synamon「NEUTRANS」発表
Synamonは1日、VR活用を行ないたい企業向けのVR空間構築ソリューション「NEUTRANS」の記者発表会を開催した。「誰でも簡単に扱える操作性」「ハイエンド向けVR機器対象のマルチデバイス対応」「オンライン接続による複数ユーザー利用可能」などが特徴。
VR活用を行ないたい企業に対し、企画から開発プロダクトの検討、実際の開発や納品まで、ワンストップでサービスの提供を行う。
NEUTRANSのベースシステムは、オンラインによるマルチプレイを前提に、持つ、投げる、レーザーポインターによって遠くのアイテムへの接触、世界環境を瞬時に切り替えるなど、さまざまな基本機能が用意されている。
Unity上に作られたこれら特徴を持った基本機能を使い、顧客企業の望むVRコンテンツを構築するソリューションが、NEUTRANSということになる。
SynamonのCEO 武樋恒氏は「持ったり投げたり銃で撃つという動作は、フルスクラッチで設計開発をしている。これにより、ハードウェア固有のVR用プラグインを使う必要がなくなり、機材専用ではないマルチプラットフォームのVRコンテンツとなる」という。
Synamon CEO 武樋恒氏
また、VRコンテンツは操作が難しいと使いこなせないため、操作性にもこだわった。「5分使っていただければ、誰でも使いこなせるようになる」(武樋氏)とのこと。実際、体験会ではVR初心者が装着したにも関わらず、すぐに銃やビームを操作し、ワープも行った。
NEUTRANSの重要な特徴としてはほかに、マルチプレイが挙げられる。体験会のデモはインターネット経由で動いていたのだが、現状90fpsを保っての操作が可能とのこと。「VRに弱い」と言っていた参加者も、酔うことなく操作できていた。なお、体験会では2人同時にVR空間にアクセスしていたが、5人までは遅延のないことが確認されている(システム的な上限はない)。
体験会にて。空中へのお絵かきや、銃による射撃(昔の銀玉鉄砲のような軌跡がきもちいい。こうした物理的な動きの調整にも注意を払ったという)、フィギュアの観賞、窓の外の風景の瞬時切り替えなど、さまざまな機能が実装されている。VR空間内のオブジェクトは、ログインしている別ユーザー(中央の黄色いヘルメットを被ったキャラクター)から手渡してもらうなど、マルチプレイの特徴も味わえた。
小さなモデルルームの上に表示されている▼の印をクリックすると……
そのモデルルームの中にワープする。上の画面でモデルルームを覗いていた女の子フィギュアが見下ろしているのが分かる。こうした機能は、建築業界でのモデルルームの参考例として紹介されたが、もちろんエンターテイメントとしての使い道も十分にあろう。
机をつかんでそのまま左右に引っ張れば、机のオブジェクトが大きくなる。こうした直感的な操作は、NEUTRANSが特に重視するところ。
Synamonはもともと、スマホ上の対戦型VRコンテンツをリリースしていたのだが、マッチングがなかなか実現しなかったという経緯がある。これにより、「市場自体の活性化が必要」との認識に至った。そこで、まずはVR市場の形成から、との意図で、B2B向けのソリューション開発を行い、良質なVRコンテンツ普及の一助になろうというわけだ。
参考活用例として、SynamonではVRクリエイティブ会議室、VRショールーム、展示、出展、プロモーション向けVR、研究用マルチプレイVR体験などを挙げている。たとえば旅行代理店用のVRコンテンツでは、VR空間内でパンフレットを閲覧したり、窓外の景色をリゾート地のものに変更したり、動画をプレイしたりといった体験が、窓口担当者とのコミュニケーションをしながら可能となる。
NEUTRANSの初期導入費用300万から。カスタマイズに400万円を設定している。ライセンスは5ユーザーで月額10万円。サーバなどの環境はSynamonが用意する。 武樋氏は「興味がある方は、まずはご連絡いただきたい」とのこと。
なお、リンクスと代理店契約を締結した点も、併せて発表された。
(TEXT by Dairo Yoshikawa)