ウェブブラウズが快適に! Gear VRの新型モーションコントローラーを試してみた
Unity Technologiesは1、2日、米国ロサンゼルスにて開発者向けイベント「Vision VR/AR Summit 2017」を開催していた。今回は、展示会場のSamusungブースでデモしていた、この4月に海外で発売を迎えたコントローラー付き新型Gear VRのインプレッションをお届けする。
Gear VRは、Oculus VRとSamusungのコラボで生まれたGalaxyシリーズ専用のスマートフォン向けVRゴーグルだ。VR全体では「プレミアムモバイルVR」に分類される。
同じスマホ向けVRのジャンルでいうと、それこそ紙やプラスチックといった多様な素材の製品がリリースされているが、それらと比べるとGear VRは頭を動かした際にも映像がぬるぬる追従してきてくれるのが特徴だ。細かくいうとよりスマホ内蔵のものより精度の高いGea VR側の内蔵センサーを使ったり、「Asynchronous Timewarp」(非同期タイムワープ)といった仕組みで映像を遅延しないようにしたりと、単純に「ハコに挿して使う」に止まらない工夫が盛り込まれている。
一方で、Gear VRは、Oculus Rift/HTC VIVE/PlayStation VRといったハイエンドVRに比べると、位置トラッキングに対応していないため、例えば、頭を動かしてものに近いても拡大表示されない。またスマートフォンなのでPCやゲーム機に比べると描画処理の性能が限られているといった点も不利だ。ただ、持ち運びには便利なので、位置トラッキングが不要な360度映像を見せたり、出先で簡易的なデモを体験してもらう用途には向いている。
そんなGear VRの体験を大きく向上させてくれそうなのが、今回のモーションコントローラーだ。
今までGear VRは、本体右側のタッチパネルかBluetooth接続のゲームコントローラーで操作していたが、よりシンプルなボタン構成で持ち運びしやすい第三の選択肢が現れた。さらに外部のセンサーを置くことなく、コントローラー内蔵の角速度/加速度/地磁気センサー(サンプルレートは208Hz)で上下左右の動きを取れるのが特徴になる。
上部にはタッチパッド、中央に「ホーム」と「戻る」のボタン、その下にボリュームを用意。
人差し指の部分にはトリガー。
サイズ的には幅48.1×奥行き38.2×108.1mmで、重量は64.3g。手に持つとこんな感じ。Oculus Riftにも小判状のリモコンが付いているが、それより大きくより手に馴染む形だ。
実際に使ってみたところ、結論から言えば、細かい操作が求められるゲームよりは、ウェブブラウズなどに向いていると実感した。Oculusによれば、Oculus Storeにてすでに20以上のコントローラー対応アプリを用意しているとのこと。
まず試したゾンビシューティング「Drop Dead」は、やはりコントローラーのドリフト(位置ずれ)が気になってしまった。赤外線などを使って外部センサーからの絶対位置をとるわけではなく、内蔵センサーで最初の場所からどの方向にどれだけ動いたかの相対位置をとってるので、何かの拍子に計測がうまくいかなくなることが多い。
一応、ボタンの長押しで再センタリングできて、ゲーム自体が遊べないということはないが、わりと忙しいガンシューティングゲーム中に頻繁にセンタリングし直すのは、臨場感を損なうのでできれば避けたいところ。
これは同じプレミアムモバイルVRに分類されるGoogleの「Daydream」のコントローラーでも同様だ。現時点では仕方ないのだが、将来的にはモバイル型の外部センサーなどでなんとか解決してほしいところだろう。
グエー、やられたンゴー(単純にガンシューティングが下手なだけです)
三人称視点のフィールドを自機でかけめぐり、弾を撃って敵を撃破していくアクションゲーム(すいません、名前を失念しました)は、チュートリアルだったこともあって割ときちんと遊べた。
一方で、ウェブブラウズなどはかなり利便性が増したと感じた。例えば、YouTubeを開いて動画を選ぶといった際にも、いちいち手をGear VRの側面まで持っていかずに、だらんと下げたままコントローラーを向けて見たい動画を選んで、トリガーを引いて再生が可能だ。
360度動画でユーザーに好きなものを選んでもらったり、ワープ方式でいろいろな場所に移動して周囲を鑑賞する、といった用途では、ゴーグル側のタッチパッドよりも楽かつ直感的に操作してもらえそうだ。あとはGear VRでアダルトコンテンツを見たい、という方も色々とはかどるかもしれない。
Oculus Rift/HTC VIVE/PlayStation VRのように両手用ではなく、片手用ということもあって、手や道具の再現とまでは至らないものの、シチュエーションを定めれば確実に便利というこのコントローラー。米国では単品でも販売しており、Bluetooth接続かつAndroid 5.0以上なら利用できるので、日本でも発売された際にはぜひゲットして活用してみよう。
●関連リンク
・Gear VR
・製品情報(英語)
・Vision VR/AR Summit 2017