行った!見た!かぶった!「LG VR Development kit」実機はフリップアップが実用的
LGエレクトロニクスは、米国時間の3日まで実施していたゲーム開発者向けイベント「GDC 2017」にて、新型のPC向けVRゴーグルをお披露目した。外観のレポートに続いて、実機でVRコンテンツを体験する機会を得たのでそのレポートをお届けしよう。
USB Type-C接続でケーブルがスリム化!
まずは再度、ハードウェアをチェック。名称は「LG VR Development Kit」とのこと。筆者的には、SFの世界でスナイパーが使う電子ゴーグルっぽいデザインにグッときます。前面のカメラがモノアイっぽいし。
横から見たところ。左側サイドにPCにつなぐためのケーブルが伸びている。なお、これはまだ開発キットで、最終製品ではないとのこと。
背面。額と延髄にあたる部分にはクッションを用意。開発担当の方によれば、この重量のバランス配分が難しかったという。個人的にはPlayStation VRに似ていると感じた。
レンズは射出成型によって作られたプラスティック製。視野角は110度で、瞳孔間は12mm調整が可能。開発時にはこの光学系システムをつくるのが難しかったとのこと。HTC VIVEのような同心円状の刻みがあるフレネルタイプよりもクリアだという。スペック的には、3.64インチで1440×1400ドット×2枚、90Hz、ペンタイル配列の有機ELパネルを採用。ドットピッチは540ppiになる。レイテンシーは20ms以下。
ひとつの大きな特徴は、USB Type-Cを採用したことで、電源/ディスプレー/USBという信号をスリムなケーブル1本で送付できるようになったこと。このケーブルの先を送信機につないで無線化するという構想もあるようだ。
PCとの接続中継に使うアダプター。
右側面には、ヘッドホン端子を用意。
モーションコントローラー。VIVEのものとは異なり、親指で押すタッチパッド上に左から「APP 1」「SYSTEM」「APP 2」というボタンが並ぶ。VIVEで手のひらの部分にある電源ボタンは、SYSTEMで代用するとのこと。位置が上にある理由は、プレイヤーが誤入力するのを防ぐためと解説していた。
側面。人差し指のトリガーと、握って入力するグリップを用意。持った感じ、VIVEのものよりは軽い印象だ。
背面。上部の角ばった部分には、位置トラッキング用の受光部が埋め込まれている。
フリップアップだから開発も楽!
装着方法のおさらい。後部にあるボタンを押してヘッドバンドを広げる。
かぶった後にこれまた後部にあるダイヤルを回して……。
しっかり頭に固定する。
その後、フリップアップしたゴーグルを……。
両手で前におろして……。
顔側にグッと押し込んで装着完了。
LG VR Development Kitにおいては、このフリップアップが一番重要な機構になるそうだ。例えば、VRコンテンツを開発するに当たって、開発者はPCの画面で編集して、さらにVRゴーグルをかぶって見えかたを確認して……という作業を繰り返すことになる。フリップアップが可能なら、このときにゴーグルを完全に脱ぐことなく作業が続けられるわけだ。これは素直に便利だろう。
実際に体験できたコンテンツは、韓国SKonecのFPS「MORTAL BLITZ VR」だった。グリップを握って銃を出現させてトリガーで敵を撃ったり、銃を持たない状態でトリガーを引くと超能力でフィールドに落ちてるアイテムを拾って投げられたりと、さまざまなアクションが可能だ。
HTC VIVEと同じルームスケールなので、実際に歩き回って敵の攻撃を避けたりできる。
装着感は非常にPS VRに近いものを感じた。当初は「若干、前に重いかな?」という印象だったが、FPSをプレーして汗を掻くほど体を激しく動かしてもズレることなくきちんと固定してくれた。レンズも非常にクリアーで没入感も高い。コントローラーも、グリップが押しやすい位置にあったりとVIVEをよく研究していると感じた。
開発キットといえば、「おっ、おう……」というこれからの飛躍的な成長に期待するレベルのものもあるが、LGの開発キットはすぐにでも売り出せそうなレベルの品質だったのが驚きだ。GDCなどでのフィードバックを受けてブラッシュアップしていくとのことなので、ほかのPC向けVRゴーグルにとって強力なライバルになるのではないだろうか。
今後の動向に要注目だ!
特別に箱も見せてもらいました。
箱を開けると「Welcome」の文字。粋だね!
引き出しにモーションコントローラーやベースステーションが入っていた。発売日や価格は今後発表とのことだが、これは本当にすぐ売れるんじゃないでしょうか。
(TEXT by Minoru Hirorta)
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