【連載】神足裕司 車椅子からのVRコラム 「ついにVRでアダルトだ」
6年前にくも膜下出血で倒れた人気コラムニストの神足裕司さん。闘病中の氏が車椅子の上から隔週でお送りしているVRコラム第4弾です!
ついにVRでアダルトだ。いつかそんな日もくるかな、と思っていたけどそんな日は割とすぐ来た。
しかも我が家のリビングで真昼間。PANORAのスタッフもいるし、家族もいる。そんな悪条件の中、上映は始まった。美咲かんなちゃんというかわいい女の子とふたりっきり。VRのゴーグルをすると昼間だろうと、それが家のリビングだろうと、人がいようと彼女と二人っきりになれる。たかがあのスキーのゴーグルほどのものをかけるだけでそこはもう別世界だ。
それは、いままでのテレビで見ているのと大幅に違う。自分がかんなちゃんとその部屋にちゃんといるのだ。かんなちゃんはぼくだけを見つめている。ちゃんと目が合っている。そう自覚できる。そしてボクに話しかけてくる。他の誰でもなくボクに。
だいたい今までのアダルトビデオには大抵女の人とその相手の男優さんがいて目の前であわれもない光景が繰り広げらげる。そんな他人のいいことをみてもおもしろくもないじゃないか・・と思うはずだがそこは、ボクら男性のたくましい想像力でその男優さんが自分なんだと言い聞かせ疑似体験する。脳は賢い。まるでその男優さんのしていることは自分がしていることのように思えてくる。思えば涙ぐましい努力の上、アダルトビデオを見ていることになる。あるときは急にさめて客観的になってばかばかしくなったりもする。
ところがだ、VRはその努力が要らない。最初から自分が主役なのだから。隣にいるかんなちゃんが甘い声で話しかけてくる。汗をかいた顔が目の前でみだらな言葉を発してくる。ボクが下を向けば、かんなちゃんの下半身。目の前に胸も迫ってくる。それは驚くぐらい鮮明で実際ベッドにいるときのように感じる。いままでのアダルトビデオとは全く違う体験だ。「神足さん、神足さん!!」と呼びかけられて我に返った。ああ、ここは我が家のリビング。ゴーグルをとると見慣れた部屋。いままでどこにいたんだろう。ちょっと現実に戻るまでに時間がかかった。さっきまで横にたしかにかんなちゃんがいたのに。
ユーザーレビューをみると「VRを体験してしまうと、ビデオみるのがアホらしくなる。スマホを持っているなら、メガネも安いし、一度試してみて、損はないと思う。絶対に、VRじゃなきゃ、満足できなくなります。」とのこと。1000円ぐらいのゴーグルを購入して、スマホでアプリをダウンロードしてすぐに楽しめるのだ。安いゴーグルでも何の支障もないとのこと。ボクは女の子用の「イケメン執事」なんていうのも観ました。男女共にVRデートを楽しんでください。お勧めです。
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●著者紹介
神足裕司(こうたりゆうじ)
1957年、広島県出身。黒縁メガネ・蝶ネクタイがトレードマークのコラムニスト。「金魂巻(キンコンカン)」をはじめ、西原理恵子との共著「恨ミシュラン」などベストセラー多数。2011年にクモ膜下出血発症。1年の入院生活を送る。半身マヒと高次脳機能障害が残り、要介護5となったが退院後、執筆活動を再開。朝日新聞をはじめ連載も多数。最新刊は「一度、死んでみましたが」「父と息子の大闘病記」などがある。
●関連リンク
・朝日新聞デジタル 連載 コータリンは要介護5
・神足裕司Twitter
・還暦だョ!コータリさん~猛暑を乗り切る60歳の知恵袋