13歳問題や風営法問題などの解消に ハシラス、バンナム、SMEら「ロケーションベースVR協会」設立

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7月18日、ハシラスやバンダイナムコエンターテイメント、ソニー・ミュージックエンターテインメントは、ロケーションベースVR事業者の業界団体「一般社団法人ロケーションベースVR協会」の設立について発表会を行った。ロケーションVRとは、コンシューマーが自身でHMDなどを購入し楽しむのではなく、アミューズメントパークなどの商業施設などに設置して、来場者にプレーしてもらうタイプのVRのこと。

 
協会の設立は5月8日だが、発表会が行われた7月18日から会員募集および本格的な活動をスタート。ロケーションVRの市場拡大を狙うとともに、ロケーションVRに関する諸問題について取り組んでいく。

 

協会の代表理事を務めるハシラス代表の安藤晃弘氏。

 

協会の設立は5月で、事務所は事務局長で弁護士の三好慶氏が共同経営している法律事務所に置かれる。

 

事務局長の三好慶氏。

 
代表理事を務めるハシラス代表の安藤晃弘氏によれば、ロケーションベースVRは『13歳問題』と『風営法問題』といった大きな課題を抱えているという。

 
13歳問題とは2眼立体視が13歳前後以下の子供に悪影響を与えるという問題。安藤氏は「疑似立体視がダメなら、3D映画もダメになるので、HMDだけの問題ではないはず」と語り、さらに「アメリカや中国など海外では13歳未満にもプレーさせており、自分たちが聞いている範囲では健康問題は出ていない」とのこと。VR技術はエンターテイメントだけでなく、教育やコミュニケーションといった分野にも広がりをみせているため、13歳問題にこだわることで、逆に日本での展開が阻害されてしまうことを危惧していた。

 

ロケーションVR協会の事業内容。

 

ハードウェア調達に関するエコシステム構築や技術共有のためのチャットツールといった取り組みを進めていく。

 

ロケーションVRの設置には風営法が問題となることもある。

 

協会の設立により、13歳問題やアテンド人件費といった課題を解決していく。

 
発表会では13歳問題について、小児科医などを務める慶応大学名誉教授の南里誠一郎氏が登壇。南里氏は「13歳問題はアメリカで施行されたCOPPA(Children’s Online Privacy Protection Act/児童オンラインプライバシー保護法)がベースにあるのでは?」と指摘。COPPAは、12歳以下の子供の個人情報を取り扱う際に、保護者の同意が必要といったことが義務づけられている。

 
そのうえで南里氏は「人間の立体視がはっきりしてくるのは10歳前後。頭部の発達、いわゆる頭の大きさがほぼ完了して瞳孔間距離が変化しなくなるのが12歳から13歳くらい」と医学的な根拠も提示。また「自分でも試してみたが、高所など怖い映像もある。高齢者へのショックや、てんかんへの注意も必要かもしれない」と、子供だけでなくユーザー全体に対するガイドライン策定の必要性を提示した。

 

13歳問題について解説をする慶応大学名誉教授の南里誠一郎氏。

 
風営法問題については弁護士で事務局長の三好慶氏が解説。現状では風営法5号営業に該当するかどうかが論点となっており市場拡大を阻害しているという。特に「射幸心をそそるおそれのある遊戯」という部分が問題視されており、ロケーションVRそういった施設や機器ではないことアピールしていくとともに、協会側でもガイドラインなどで対応していくとのこと。

 

発表会では、すでに会員となっている企業の担当者も登壇。ソニー・ミュージックエンタテインメントの田中茂樹氏は、すでに世界各地でロケーションVRを使った施設が数多く登場している海外での事例を紹介。特にアメリカや中国では大型の遊園地ではなくデパートなどの商業施設に付帯して作られる小規模娯楽施設のファミリーエンタテインメントセンターが増えてきていおり、ロケーションVRはそのファミリーエンタテインメントセンターでの主流となるアトラクションとして注目を集めているとのこと。

 

中国ではすでに数千件のインターネットカフェでVRシステムが導入されているという。

 

またバンダイナムコの田宮幸春氏は、同社が開設したVR ZONE SHINJUKUでの事例をもとに、ロケーションVRについて開設。来場者のアンケートでは初めてVRを体験する人は6割で、すでに体験したことがあるユーザーが増えてきていることを実感。さらに普及に向けて「自制の効いた挑戦の加速」が必要という。

 

田宮氏がロケーションVRに期待する3つのポイント。

 
VR市場はまだ立ち上がったばかりなので、規制のハードルが高いと普及の阻害となってしまう。業界全体で普及に向けて前向きに進めていくとともに、13歳問題といった安全性・健康性についても業界内で先だって取り組み、自分たちで規制のハードルを調整していく。こういった活動をロケーションベースVR協会に期待しているようだ。

 
質疑応答で安藤氏は、協会名をロケーションVRとしてことに対して「VRは一般家庭にまで普及していくことは確かだが、その時代までには少し時間がかかる。多くの人が一番初めにVRを体験するのがロケーションVRとなる」と説明。協会員となる企業参加にはロケーションVR関連という縛りをもうけるわけではないが、VRを体験する入り口となるロケーションVRの普及をまず取り組みたい。そういった意図をもとに設立した協会というわけだ。

 
現在議決権のある正会員として登録しているのは、イオンリテール、ソニー・ミュージックエンタテインメント、タイトー、ハシラス、バンダイナムコエンターテインメント、フタバ図書の6社。また議決権のない賛助会員としてリクルートテクノロジーズが参加している。安藤氏は「4月頃に業界内で協会をつくろうという話がでて、5月に立ち上げとスピード感をもって進めてきた。話をしていた企業のなかにはこのスピードでは対応できないところもあったので現状の参加企業数になっているが、今度は増えていくはず」とのこと。

 
アテンド最近はロケーションベースVRを使ったイベントやアトラクション、アミューズメントパークのニュースを目にすることが増えてきている。ロケーションベースVR協会の設立によって、業界内でロケーションベースVRを使った施設の設置についてノウハウやエコシステムが確立し、しかも安全、安心に運用できるようになれば、この流れはさらに加速しそうだ。

 
 
(TEXT by Satoru Nakayama

 
 
●関連リンク
一般社団法人ロケーションベースVR協会

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