「市場が早すぎても特異点の一社に自分がなればいい」 VCが語るVR業界への投資事情
11月7日にデジタルハリウッドで開催された「VRCカンファレス」内にて行われたセッションには、様々な分野の著名人が登壇されていました。今回は記者が気になったベンチャーキャピタル(以下VC)の高宮慎一氏と佐俣アンリ氏のセッションのお話をお伝えしたいと思います。
写真左の高宮氏は、グロービス・キャピタル・パートナーズのパートナー/Chief Strategy Officer、右の佐俣氏はANRIのジェネラル・パートナーです。
動画もありますのであわせてご覧ください。
VCと聞いて「それは何?」と思う方もいるんではないでしょうか? 簡単に説明すると「この会社は今後急成長する!」と思えた企業に投資する投資会社のことです。VR業界でいえば、Oculus VRがFacebookに20億ドル(約2450億円)で買収されたり、Magic LeapがGoogleから5億4200万ドル(約665億円)も資金調達したことなどが有名です。
そんな話から始まったお二人のセッション。ではVCってすごい儲かるのかといえば、投資した会社の8割は潰れてしまうそうです。でもたまにOculus VRのような大きく伸びる会社が出てくるから続けていられるそう。しかし日本のVR業界では、資金調達してスタートアップしている会社は3、4社らしく、お二方は「日本はもっとVR企業が多くていいはず」と提案していました。
さらに、「セッションタイトルに『日本のVR分野への投資は魅力的? それとも時期尚早?』とありましたが、市場全体が早すぎても特異点の一社に自分がなればいい。自分の所が商用化する目処が立っていれば、VCとしても人より先に手をつけられるのでアドバンテージが高い」と言われていた佐俣氏。
開発者がVCから投資を引き出すにはどうすればいいか? というのもお話しされていました。
お二方の意見では、「世間ではまだ見たことないもの。3〜5年後に普通の人達に認められるもの。業界では2〜3年後に『新しいね』と言われるものがほしい」とのこと。
続けて、「1〜2年後にできるものは、もうできてる。その先を見れていると出資できるが、さらにつくるほどの情熱があるかどうか。5年後に認められるということは、5年間人に認められずに仕事するというで、それは非常にキツイこと。でもそれができるであろうと思えれば『じゃぁ頑張ろうか』といえる」と理由を説明していました。
確かに5年間誰にも褒められず、認められず「それは本当に商売になるの?」と言われながら開発していくのは、かなりの精神力と商品への情熱がないと継続が難しいですよね。
最後に「とりあえずカジュアルに相談して欲しい」とお二方。
「VCが起業家に何を期待しているのかといえば、こんなのをやりたいんですが、これってVCに適していますか? なんてのも話してほしい。そしてこういう(ここではVRCカンファレスのこと)場所もすごく大事で、こういう場所には企業やクリエイターが沢山いる。この場所で出会った人達でコラボレーションが可能。ヒートアップしてチームを作って大きく目指して欲しい」と語っていました。
VR界では普通になってきているセッション系のイベントでは、確かに色んな業種の方とお会いできますよね。是非ともイベントで知識だけでなく、コミュニティーも拡げていって大きな一歩にしていただきたいです。
一番最後に佐俣氏がいわれていたのが、「とにかく頑張ろうってことです」という一言。これから急成長していくであろうVR業界。皆でガンガン盛り上げていき、5年後を見据えて頑張っていきましょう。
(文/とりか)
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