投資家から見たVR業界の注目すべきテクノロジーや現在のVR市場【CEDEC 2017】

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8月30日より3日間行われたCEDEC2017。今回は3日目に行われたグリーのセッション「シリコンバレー注目のVR/AR関連テクノロジーについて」と、「シリコンバレーVR/ARのマーケットトレンド及びビジネスモデル」をレポートする。

両セッションはグリーが去年立ち上げた「GVR Fund」のCEOらによる講演で、GVR Fundはサンフランシスコを中心にVRやARに関連するスタートアップへの投資に特化したファンド。

 

GVR Fund 古森泰氏

最初に紹介するのはGVR Fundの古森泰氏による「シリコンバレー注目のVR/AR関連テクノロジーについて」。古森氏はGVR Fundで主に投資活動を行っている。

そしてこのセッションでは主にシリコンバレーで注目を浴びているVRやARのヘッドセット周りの技術やコンテンツ作成に関する技術を紹介している。

 

まず1つ目に紹介した技術は「インサイドアウトトラッキング」(関連記事)というもので、現在はヘッドセットとは別にセンサーを用意し、そのセンサーによりトラッキングを行うアウトサイドイン方式が主流となっている。

しかし現在ヘッドセットに内蔵したカメラのみでトラッキングが行えるインサイドアウト方式でも十分な精度でトラッキングが可能になったため、来年の今頃にはインサイドアウト方式を採用したデバイスがほとんどになるだろうというのが古森氏の見解だ。

 

次に紹介するのは「アイトラッキング」という技術で、ヘッドセットの内側に装着したカメラで目の動きをトラッキングするというもの。これはVRヘッドセット「FOVE」(関連記事)にも搭載している技術。

今後はこの技術によって、目線の先のみの映像を高い解像度にして他の部分を低い解像度に設定することでモバイル機器でもより質の高いVR体験をすることができるのではないかと考えている。

 

次はディスプレイの技術について。今後は有機ELの技術進歩により、より高い解像度になることや視野角の広がり、画面のカーブによる自然な映像の映し方を実現するなど、視覚的にもVRの体験はより良い物になってゆくだろうと考えている。

 

ここからはコンテンツ制作に関わる技術の紹介。1つ目は広範囲なトラッキングを可能とする技術で、現在ロケーションVRの盛り上がりから注目され始めている。最近では野球場の広さでもトラッキングが可能なものもあるという。

 

2つ目はWeb上でVRやARのアプリが作れてしまう技術で、以前にGoogleがGitHub上にWebVRを作るためのデータをアップしたことから注目を集めている。

 

最後に紹介するのは「ライトフィールド」という技術で、一度撮った写真の焦点距離を後から変更できるというもの。これには特殊なカメラが必要なことや撮影したデータ容量が大きくなってしまうというデメリットがあるが、ひそかにブームになっている技術だという。

 

GVR Fund 筒井鉄平氏

次に紹介するセッションはGVR FundのCEO筒井鉄平氏による「シリコンバレーVR/ARのマーケットトレンド及びビジネスモデル」。

このセッションでは2016年〜2017年VR・ARの市場概況及び投資状況を総括し、VR注目分野についての紹介をする。

 

最初はVR市場の話から。2016年にはVIVEやOculus Rift、PS VR、Gear VRなどのコンシューマー向けのVRヘッドセットが出揃い、現在それらの合計で約700万台以上のヘッドセットが普及している。

 

この700万台という数値はゴールドマンサックスという投資銀行が予想していた最大販売台数を超えるものとなり、業界にとっては良い数値を出している。しかし、スマホやタブレットなどのモバイル端末と販売台数を比較してしまうと700万台という数値はまだまだ小さい。

 

また去年のVR市場は日本円で約2000億円の市場規模となり、その8割以上がハードウェアで占められ、残りの約2割はゲームやロケーションベースが大きく牽引している。

 

では実際にどのようなコンテンツが人気なのかというと、ゲームの通信販売を主としたプラットフォーム「Steam」での同時接続しているユーザー数の多いコンテンツ、トップ5では「Rec Room」、「The Lab」、「Arizona Sunshine」、「Job Simulator」、「SUPERHOT VR」となっている。

 

また、モバイルVRのコンテンツでは360度映像のコンテンツが中心となっており、興味本位で「Youtube」や「Netflix」などで視聴する人が多いが、大きな収益を上げられるような結果を上げているところはまだほとんどなく、これからマネタイズ始まっていく分野だという。

 

そのようなVRコンテンツのマネタイズ手法は大きく分けて4つあり、BtoCの分野ではユーザーによる課金、広告収入、またはその両方を取り入れたもで、BtoBではクライアントからの収益が主体となっている。

しかしほとんどの場合それだけではチームを運営していくことができないので、投資家から資金を調達したり大きな企業などから支援金を援助してもらうことが必要になる。

 

ただ過去5年の投資家による投資金額のグラフを見るとVR・AR分野への投資は積極的であり、筒井氏はこれからも投資額は増えるだろうと予測している。

 

またこれからVR市場はどれほど成長するのかというと、ゴールドマンサックスやSuperDataなどのデータによれば2020年には300億ドルから800億ドルの市場になると大幅な成長を予測している。

 

最後に今後の注目すべきVR分野の紹介。1つ目は既にデベロッパー版のものも発売しているWindows MRで価格が3万円からなっており今までのハイエンドVRヘッドセットよりも低いのが特徴で、Valveとの提携で今後Steamのコンテンツが利用できるようになる。

 

2つ目はスタンドアローン型のヘッドセット。Oculusはスタンドアローン型VRヘッドセット「Project Santa Cruz」を既に発表していることや、HTCやサムスンもそのようなデバイスの発表をしており、PCを必要としないモバイルVRデバイスは今後注目すべきとのことだ。

 
(TEXT by まぶかはっと

 
*CEDEC 2017記事まとめはこちら

 
●関連リンク
GVR Fund ウェブページ

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