VIVEはVRゴーグルだけではない HTCが振り返る激動の2年間と事業の広がり【TGS2017】
9月21日から24日まで幕張メッセで開催中の「東京ゲームショウ2017」の開催に合わせ、「台北ゲームショウ」を主催する台北市コンピュータ協会は9月22日に東京ベイ幕張ホールにおいて、ビジネスイベント「Asia Pacific Game Summit 2017 in Tokyo」が開催された。ここでは、HTC Nippon VIVE セールスマネージャーの西川美優氏による「Virtual Reality- Development Status in 2nd year」というセッションをレポートしたい。
なお、本来ならばこのセッションは、HTCのVR担当副社長Raymond Pao氏が登壇する予定だったが、諸事情により来日が中止になったため、西川氏が登壇することになった。
弊誌でもお馴染みのHTC西川氏。
バーチャルリアリティを取り巻く様々な要素。将来的にはロボティクスやバイオティクスもそれに関わっていくという。
VIVEが市場に投入されて1年、VRに携わる会社は一気に増えている。
VIVEはハードウェアの「HTC VIVE」、コンテンツ配信プラットフォームの「VIVEPORT」、コンテンツ制作の「VIVE STUDIOS」、投資の「VIVE X」という4つでエコシステムを構成。
まずはHTC VIVE。世界で初めてモーションコントローラーと赤外線センサーによるフリースケールVRをひとつのパッケージで実現したVRシステムだ。
HTC VIVEは、米Valveの「SteamVR」構想を基に作っており、オンラインソフト流通もValveの「Steam」を利用しているものの、HTC自体も「VIVEPORT」という独自のマーケットプレースを用意。VIVEPORTでは世界初となるVRソフトの月定額課金も展開している。
2017年モデルのiMac Proと最新Mac OS X High SierraでMacでのVIVEサポートを実現(関連記事)。クリエイティブ方面でのVIVEの使用をターゲットをしており、西川氏もHTCとアップルとのジョイントプロモーションを行いたいとやる気十分。
Intelはワイヤレス接続のソリューションを提供。
触覚(ハプティクス)や視線検出などのサードパーティソリューションにも言及。嗅覚ソリューションとなる「VAQSO VR」の紹介も行われた。
ソフト面ではベセスダ・ソフトワークスのBethesda VRタイトル(「SKYRIM VR」は正式発表されていないが、そう遠くない時期にPC版も出るとの観測がなされている)や、「乖離性ミリオンアーサーVR」といったオリジナルタイトルを紹介。
また、アーケードのソリューションにも触れられ、HTC VIVEを全アクティビティで採用している「VR ZONE SHINJUKU」も紹介(関連記事)。
映画の世界を体験できるVRも紹介され、スティーブン・スピルバーグ監督が映画化する「READY PLAYER ONE」(レディ・プレーヤー・ワン)でもVIVEを使ったプロモーションコンテンツの開発を予定している。なお、VIVEは同映画のオフィシャルVRパートナーになった。
それ以外にスポーツ、デザイン、ヘルスケア、トレーニングなどの各分野でHTC VIVEが活用されている。
アクセラレータープログラムの「VIVE X」では世界5ヵ所に拠点を持し、1億ドルの資金提供を行ってきた。日本でも「Tokyo VR Startup」に参加している。
VIVE Xの参画により企業価値が2倍から5倍に跳ね上がった例も紹介された。
最後に、東京ゲームショウのHTCブース出展にも触れられた。同社では6タイトル(一般公開日)のVR体験を用意。また、土曜日にはVRコンテンツのクリエイターやVR産業のキーマンとして知られるパルマー・ラッキー氏、GOROman氏らのトークショーが行われる(詳細記事)。下記YouTubeで生放送も視聴可能だ。
20分と短いセッションだったが、現代VRが急速に立ち上がった2年間に起きた出来事をわかりやすく説明し、APGS参加者に理解してもらったことだろう。HTCは今後はVRを中心とした新技術の創出・開発に力を入れていく方針と思われるため、今後のVIVEファミリーの発展にも期待できそうだ。
(TEXT by Shogo Iwai)
*東京ゲームショウ2017まとめはこちら
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