KDDI総合研究所、位置・アングル・空間の音場がズレない「音のVR」開発 CEATECに展示
KDDI総合研究所は、視聴者の操作や動作に応じて、収録した音場の空間的な広がりを保ちながら、任意の範囲にズームしたステレオ音場をリアルタイムに合成する音場のズーム合成技術を開発したと発表した。これにより「音のVR」を実現し、360度VR映像などにおいて、任意の範囲で音と映像が体感的に合致したインタラクティブ視聴が可能となる。
VRなどでのインタラクティブ視聴は、視聴者の操作や動作に応じて、任意のアングルや位置から実際のシーンをよりリアルに音と映像で体験できるため、通信や放送、エンターテイメントなど幅広い用途が見込まれている。これらのアプリケーションソフトウェアでは、映像を任意の方向に回転・ズームは可能だが、音場は変化しない、あるいは音場の方向が回転するのみで、表示されている映像の範囲以外からの音が大きく混ざるなど、体感的に違和感が生じていた。
今回、音場の選択的合成方式の考案、導入により、音場のズーム合成技術の開発に成功。この技術は、複数のマイクを空間的に配置した「マイクロホンアレイ」を用いて、収録した音場の空間的な広がりを保ちながら、任意の範囲にズームしたステレオ音場をリアルタイムに合成できる。
これまで「ズームマイク」などと呼ばれる任意の方向の音源や音場を抽出する技術は存在したが、任意の方向を中心に、空間的に自然な広がりを持つ任意の範囲のステレオ音場を合成する技術はなかったため、世界で初めての技術となる。音場の選択的合成方式は、「体感的な違和感」を解決するとともに、独自の高速化技術によって、スマートフォンやタブレットでもリアルタイムで合成・再生が可能だ。次世代移動通信システム「5G」のサービス展開にあわせ、音と映像の新たな体験価値を提供するツールとして期待される。
同技術は、10月3日~6日に幕張メッセにて開催される「CEATEC JAPAN 2017」にも展示されるので、興味がある方はぜひチェックしてみてほしい。
●CEATEC JAPAN 2017
・開催日時:10月3日~6日 10:00~17:00
・会場:幕張メッセ
(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
・入場:全来場者登録入場制
- 当日登録 入場料 一般1000円 / 学生500円(学生20名以上の団体および小学生以下は無料)
- ウェブ事前登録・招待券当日登録:入場無料
・KDDIブース:社会・街エリアゾーン(Hall 2)
今後は、スポーツやイベントなどさまざまな音響環境での評価を進め、早期の実用化を目指すとしている。
●関連リンク
・KDDI ウェブサイト
・CEATEC JAPAN 2017 公式サイト