VR電気自動車や触覚再現コントローラーが登場! 気になる展示をピックアップ(前編)【CEATEC 2017】
10月3日から6日まで幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2017」。同イベントの展示ブースで紹介された気になる製品や最新技術などをピックアップし、2本立てでお送りしたい。
ハプティック トリガープラス(アルプス電気)
操作に対して振動や触感などを伝えるフォースフィードバックデバイスを開発しているアルプス電気は、同社の最新技術を搭載した「ハプティック トリガープラス」を展示。グリップ型のコントローラーで、圧力、振動、温度再現だけでなく、静電センサーにより指の動きも検知する機能を搭載している。
グリップ型のコントローラー「ハプティック トリガープラス」
ブースでは、PC内の3Dイメージをハプティック トリガープラスで操作するデモを展示。たとえば、氷の入った金属製カップの3Dイメージでは、指の当たるところに温度調節可能な素子を配置し、ひんやりとした触感を再現。さらにスティックを振ると中に入っている氷が動いているような振動が感じられる。
親指と人差し指に当たる部分が押し込めるようになっており、温度もこの部分が変わる
そのほかお湯の入ったカップなら厚さを感じ、動物を掴むときは握ったときに反発があるなど、映像に合わせた反応が得られるため、VRコンテンツを視覚だけでなく触覚もリアルに感じられるようになる。
雪だるまを持つとかなり冷たく感じる
アルプス電気は、ハプティック トリガープラスを製品として発売する計画はないが、VR関連のメーカーからこういったデバイス開発についての問い合わせは随時受け付けているとのこと。
VR-CAR(デンソー)
デンソーがブースで展示していたのが、トヨタから実際に発売されている一人乗り電気自動車「コムス」を使った「VR-CAR」。Oculus Riftを装着して乗車すると、クルマが走り出す映像が流れ、さらにクルマが空を飛んで世界各地を遊覧できるというもの。しかも視聴中は映像にあわせて、コムスが自動で前後に動くため、よりリアリティーのある体験ができるようになっている。
トヨタの一人乗り電気自動車「コムス」を使用
Oculus RiftにLeap Motionを装着しているが、今回は操作にはLeap Motionを使用していない
VR用の椅子やSIMVRではなく、あて実車のコムスを採用したことについては「設置の簡単さ」などをあげている。たとえばイベントで設置する場合、SIMVRなどは移送などに手間がかかるが、コムスなら自走して持って行けるわけだ。
Oculus Rift用のセンサーを車内に装着している
今回はクルマが前後に少し動くだけだったが、それでも体感的にはかなりの効果があった
Oculus Riftの全面にはLeap Motionも搭載されていたが、今回のデモでは映像に自分の手を映し出すことにしか使っていないとのこと。今回はクルマの動きも前後だけで表現したが、いずれは手の動きを検知してハンドル操作などにも対応し、より自由度の高い操作が可能なコンテンツにも利用できるようにしたいとのこと。
バーチャルドローン(ズームス)
理系のコンテンツ・クリエータグループ「ズームス」は、VRとMRを使ったドローンのトレーニングシステム「バーチャルドローン」を展示。ドローンを使用する現場が増えているが、現状ではドローンを取り扱うためのトレーニングなどは手軽行えない状況がある。そこでこの「バーチャルドローン」を使って、実際にドローンを飛ばさなくても、手軽に体験や訓練ができるようになる。
前方にカメラユニットを搭載したHMD
ゲーム形式のコンテンツが用意されており、楽しみながらドローンのコントロールが学べる
実際の風景でドローンを飛ばしている雰囲気が味わえる
HMDを装着してVR映像内で飛行させるだけでなく、HMDのカメラを通して、実際に今いる場所で仮想のドローンを飛ばしているような体験が可能。もちろん本物のドローンを飛ばしているのではなく、仮想のドローンなのでぶつかっても壊れないし、落下による被害もないので安心だ。
眼鏡型ディスプレイ(国立大学法人福井大学)
国立大学法人福井大学は網膜走査型ディスプレイなどアイウェアなどに搭載する、超小型レーザ走査光学エンジンを展示。従来の製品は三色のレーザービームを1本のビームに合波するため、レンズや鏡など多くの部品を組み合わせて行っていたが、今回のシステムでは光導波路を用いることで部品数を少なくすることに成功。プロトタイプは13×4.5×4.5mmと従来のものよりも数分の一のサイズのため、メガネのフレームなどにも十分組み込めるサイズになるという。
プロトタイプとして展示していたエンジン。指の爪よりも小さい
こちらは従来のエンジン。部品数も多く大型だ
また映像を送信するユニットはワイヤレス化することで、アイウェア自体の重量も軽量化が図れるとのこと。今後は2年以内に実際の製品化を目指して開発を進めていくとし、普通のメガネと同じくらいの軽さの網膜走査型ディスプレイが登場しそうだ。
(TEXT by 中山悟)
●関連リンク
・CEATEC JAPAN 2017