HTC Vive Pre日本初展示 傭兵アーサーになりきる「乖離性ミリオンアーサー」のVRがスゴ楽しすぎ!!
去る1月24日、スクウェア・エニックスは、千葉県浦安市の舞浜アンフィシアターにて、iOS/Android用のキャラクターコマンドRPG「乖離性ミリオンアーサー」(乖離性MA)のリアルイベントである「御祭性ミリオンアーサー」を開催した。
VR・パノラマ系メディアのPANORA的に注目なのは、なんと乖離性MAのVR体験コーナーを用意していたということ。しかも、VRゴーグルの「HTC Vive Pre」が国内初展示というからには、これはもう絶対に見ておきたい!!!!! というわけで現地を訪れてかぶってまいりました。
HTC Vive Pre
Oculus Rift、PS VRのライバルが上陸!
VRゴーグルというと、国内ではPCにつないで使う「Oculus Rift」や、PlayStation 4向けの「PlayStation VR」、スマートフォンの「Galaxy S6/S6 edge」を利用する「Gear VR」、段ボール製の「ハコスコ」や「Google Cardboard」といった製品が知られている。
台湾HTCと米国Valveがタッグを組んで手がけるHTC Viveも、海外ではそうした代表的なVRゴーグルのひとつとして多くの展示会で存在感を示しているのだが、国内ではほとんど展示されてこなかった。
なぜスゴいのかといえば、ざっくりこんな感じでまとめられる。
・ValveはPC向け配信サービスとして有名な「Steam」の企業
・歩けるほど広い位置トラッキングで「ルームスケールVR」を実現
・剣や銃などの道具の再現に向いた形のモーションコントローラー
・モードを切り替えて目の前の空間が見られる「Chaperon」
ソフトの配信サービスを最初から有しており、「歩ける」や「道具を使える」といったバーチャル世界にいる感覚を深めてくれる独自の要素も盛り込まれていて、かなり発展に期待できるわけだ。
製品版は2016年2月29日に予約開始で、4月に発売予定となっており、現在は第2世代の開発機である「Vive Pre」を開発者に渡してソフトを作ってもらっている段階になる。詳細については、ぜひCES 2016のレポート記事でチェック。
御祭性MAの会場では、そんなVive Preを6台も用意。位置トラッキング用のベースステーション「Lighthouse」を2セット利用して、1セットあたりVRゴーグル3台+コントローラー3セット(6本)を運用していた。PCはマウスコンピューターの「G-Tune」ブランドのものを利用。
ベースステーション。位置トラッキングについては、Oculus RiftもPS VRも外部センサーひとつにつき1台のVRゴーグルという組み合わせだが、Viveでは2つのベースステーションから発したレーザーで位置を特定する仕組みで複数台の運用を実現しているようだ。
かぶってみた印象だが、前バージョンよりもやや軽量化されていて、がっちり顔にフィットする印象。Oculus Riftの製品版プロトタイプほどは軽くないので、強く絞めるほうがいいが、きちっと固定すれば頭を振ってもずれることがなかった。メガネありでも装着は簡単。HMDの右側にIPD調整ダイヤルがあって、自分の目の幅に合わせて細かく調整することも可能だ。映像は非常にクリアーで、Oculus Riftの製品版プロトに匹敵すると感じた。
コントローラーは、棒状で重心がやや前にあるため、剣や銃を握っているような感覚。重心が中心にあり、手そのものの感触を再現しようとするOculus Touchとは方向性が違うが、よりゲーム向きと感じた。
実際にコントローラーを振って攻撃!
とまぁ、そんなVRマニア的な話はまったく知らなくても、乖離製MAのVRコンテンツは大盛況で多くの人が現地で楽しんでいた。ちなみに乖離製MAは「拡散性ミリオンアーサー」を進化させて2014年11月に配信を始め、全世界で1000万ダウンロードを達成した人気タイトル。今回のイベントは2000人のファンを無料招待したこともあって受付からすごい行列で、ざっと300人は並んでいた。
ステージイベントでもVR体験コーナーを紹介していた。ニコ生のタイムシフトでは1時間34分あたりから。傭兵アーサー役の阿部敦さんがステージから別部屋に案内されて、HTC Viveを装着。
内容はプレイヤーが傭兵アーサーとなって、キマイラと戦うシチュエーションを再現したもの。まず乖離性MAのロゴが現れ、光に包まれてバーチャル世界にダイブ。目の前富豪や盗賊、歌姫のアーサーたちが現れる! 阿部さんからもステージの出演者からも「すごいね」の声が絶えなかった。
まわりを見渡す阿部さん。360度すべてが乖離性MAの世界で、上を向くともちろん空が……。
さらに後ろを見ると訓練城ヘブリディーズが見える。
このヘブリディーズはVR用に制作したものとのこと。
さらに「シャキーン」とエクスカリバーを抜いて出撃準備。ちなみに阿部さんは、コントローラーを動かして目の前にいるウアサハをぽんぽん叩いていた。やりたくなる気持ち、わかります。
そうこうしてるうちにキマイラ出現!! ステージでは「なんかきた」「こえええ!」と大盛り上がり。VR版では、仲間が3D化された状態で周囲に配置されていて、モンスターと対峙しているので臨場感が非常に高い。画面レイアウトは最近のファイナルファンタジーっぽい印象だった。目の前にカードが5枚現れるので、コントローラーで指定して、トリガーを引いて選択。
自分のターンが来たら、「SLASH」の文字が現れるので、コントローラーを振って攻撃! 剣のように振るので、コントローラーの形状がぴったり合っていた。「これは楽しいね」と阿部さん。「阿部くんが降ってる姿がテニスみたいで、あまりアーサーっぽくない」というツッコミも入っていた。
敵からのファイアブレス攻撃では、目の前いっぱいが炎で埋まる。思わず「アツいね!!」と阿部さん。
戦闘に勝利したあとにパーティメンバーが集まってきてハイタッチ。ここに実際にコントローラーで参加できるのもうれしいところ。
実際にプレーしてみたが、パーティキャラクターが3Dで周りにいてくれるのでとても心強い。敵の攻撃もこちらに向かってくるエフェクトが立体的なので迫力がある。カードの図柄や文字についても、HTC Vive PreはOculus RiftのDK2よりずっと解像度が高く、映像が鮮明なのでキレイに見ることができた。
少し残念だったのは、ゲームテンポがスマホ向けのままなので、カードの図柄をじっくり見る時間がなかったこと。鑑賞モードがほしいところだ。
もう1点、コントローラーのトラッキングが甘くなることがまれにあった。展示員の方が対処するとすぐ元に戻ったので、おそらく1セットのLighthouseで複数のHMD+コントローラをトラッキングしているために、死角が生まれたものと推測される。
ちなみに開発はVR部を有する面白法人カヤックが担当した。アセットはスマホ版のものをベースにVR向けにクオリティーアップしているため開発におよそ3ヵ月かかったが、Vive対応自体はあまり難しくなかったとのこと。
スクウェア・エニックス 第10ビジネス・ディビジョンの加島直弥氏(写真左)と、面白法人カヤックVR部の原真人氏(同右)
全体的にVRに向いた演出が多く、とてもいいゲームだと実感した。おうちではスマホ版で乖離性MAを遊び、同じデータを使ってネカフェやゲーセンでVR版を遊べると人気が出そうだ。今後の展開があるかどうかは不明だが、機会があればぜひ体験して欲しい。
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(文/Minoru Hirota、取材協力/佐藤カフジ、ハッチ)
●関連リンク
・御祭性ミリオンアーサー
・乖離性ミリオンアーサー公式サイト
・HTC Vive