杉山知之氏と落合陽一氏、近藤義仁氏がVRの過去と未来を語る【VRCカンファレンス2017】

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11月11日、VRの知見を広めるためのイベント「VRCカンファレンス2017」が開催された。本イベントは2015年から毎年開催し、今回で3回目となり、同時に最後のイベントとなった。

当日催されたセッションの中から今回は、デジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏、エクシヴィ代表取締役社長の近藤義仁(GOROman)氏、科学者の落合陽一氏の3人によるセッション「 VRとこの一世紀(50年前から今、そして50年後)」をレポート。その内容をほぼ全文起こしにて、以下にお伝えする。

 

写真は左から杉山知之氏、近藤義仁(GOROman)氏、落合陽一氏。

セッションの内容は現在、過去、未来のテクノロジーや、社会のこと、子育てについてまで多岐にわたり、会場は笑いを交えた賑やかな雰囲気に包まれた。

 
杉山 まずは50年前のお話からですね。僕は生まれてますが、みなさんのほとんどは生まれていないんじゃないでしょうか。この会場には僕より年上の方はいらっしゃらないんじゃないですか?多分居ないかと思います。50年前は1967年ですよね。さてこの年は何の年でしょう?

 
観客 大阪万博?

 
杉山 そんなものないよ!1972年だよそれ(笑)

 
観客 東京オリンピック?

 
杉山 東京オリンピックは1964年ですね。1967年はというと「サマーオブラブ」と言うんです。サンフランシスコにヒッピー達がみんな集まって、僕のような髪型をしていたんです。そしてフォークギターを弾いていたのが50年前の67年なんですよね。

では、コンピューターの方で見ると、その頃は「IBM360」という大型コンピューターが世界で1番使われていたのかな。で、50年前ってねもう、ほら2017年はもう終わりだから、今を2018年て考えると、1968年って3つ大きなことがあるんですよ。1つはインテル創業です。

そして、最初のHMDが出たのも68年、僕も写真でしか見たことがないんですけどね。それからもう1個あって、それはアラン・ケイ(編注:米国の科学者)が有名な「ダイナブック構想」(編注:アラン・ケイが提唱した理想的なPCコンセプト)を思いついた年なんですね。論文自体は72年に出すんですけど、ダイナブックを思いついたのは68年なんですね。これが50年前です。

 
近藤 僕なんてまだ生まれてないですし、落合さんはもっと生まれていない(笑)

 
杉山 今日の(他の)セッションでは、ここ数年間の話をしていましたが、その中で当然パソコンの処理速度が速くなるという事実があって、まるでエクスポネンシャルカーブのようにグーっとパソコンの性能が良くなって、それで最終的には落合さんのような、計算機自然みたいなことを言い出す人が現れたんですね。デジタルネイチャーなんかも計算機が自然と融合しちゃうみたいなそういう概念ができるという中で、あんまり過去のことを話しても意味が無いので、未来のことを中心に話していこうと思います。

僕ね、2000年を越える前のVRML(編注:virtual reality modeling language。WWW上で3次元画像を構築するための言語)の時、色々頑張ったりして、博物館とか美術館とか作って、なんか見て回ろうみたいなことをしていたんですね。ドコモさんとかも力を入れたりして。その後にやっぱりそれが、重いし、遅すぎるし、普通の環境じゃできない。最初にLoop 3Dを開発するときにはインディーっていうマシンでなきゃできなくて、パソコンにはGPUとか無かった時代があって。

みなさんもやってハマった人もいるかもしれないけど、Second Life(編注:仮想世界で生活を送れるネットゲーム。その世界の仮想通貨を現実通貨に換金できることもあり話題になった)っていうのがあって、Second Lifeは結構大きなPCの画面で見てるとそれなりに没入感があって、その中で暮らすというものなんです。で、それこそさっきの問題でゲームをクリアや、ルールがあるわけじゃないので、Second Lifeって最初何していいかわかんないんだよね。物を作りたい人とかはあの中の部品を使って、アクセサリー作って売るとか、建物も建てられるし、もの凄い建物を作ると達成感もあるんだけど、普通にやっているととどうしていいかわからないし、知り合う人もみんな英語喋ってるしでね、難しかったと思うんです。

そこで、昔から思ってたことを発見できたのがあってですね。僕は結構VR的な考えって無くて、1970年代に建築系の学生として音響のことを勉強していたんですが、音って見えないじゃないですか。見えないとどういう風に反射しているかわからないので、ビジュアライゼーションで始めたんです。その時は大型の計算機1台ですよ、パソコンが無いから。それで一生懸命10年くらい院生と共に研究しているうちにこれから作る音楽ホールを、ワイヤーフレームですけどかなり細かく作って、そこで大型計算機を1週間くらいまわすと、一応伝達関数的なものが出るんです。そのステージから出た「ポン」みたいな音もね、伝達関数でたたける、座席でこんな感じになる、みたいなことも計算できたんです。で、それに無響室っていって、響きが無いところでとった、全く反射音が無いところでとった声とか、ちょっとした楽器の音、太鼓の音とか。それを打ち込むとこれから造られる音楽ホールの音が聞こえる、というところまでは87年くらいまでには達したんですよね。

 
落合 それ俺が生まれた年だ(笑)

 
杉山 それでその時ねARという言葉を使っていたんですよ。それがアーキテクチャリアリティです。人工現実感。で、後からVirtual Realityっていうのが出てきて、僕はそれが嫌いだったんですよ、バーチャルリアリティーって、意味が良くわからないし、バーチャルって意味をどうとったらいいかわからないから。

で、本当はアーキテクチャリアリティっていうふうにまとめてくれたら、Augmented Realityや、Mixed Realityもみんな一応入っちゃうし、触覚だなんだと言っても、アーキテクチャリアリティでやったらいいのになととは思いつつも、今ここに出ると、みんなVR、MRとか並べて書かなきゃいけないみたいな風潮があってね。ちょっと面倒臭いなとは思っているんですけども。

ちょっと話を戻すと、Second Lifeの中の自分のアバターが居て、そこにはすっごい綺麗なリゾートがあるわけですよ。で、ホテルがあって凄い綺麗な海岸があって、僕はデフォルメされた老人で出てくるんですけど、現実の僕は凄い忙しいわけですよ、仕事で。でもそこに自分がアバターを出して、チェアーに寝かせて、波の音を聞いていると、ちゃんと自分も癒されちゃうんですよね。なんか、自分のアバターを見ていて、心が安らいでストレスが取れるみたいなことを何度も経験したんですね。真夜中に。

こんな表現が進んでいって、何か起きれば、こう多重な感じ? 自分の人生っていうのを、一つの現実っていうタイムラインの中だけでなく、いくつものVRの世界とか、そういうVRコミュニティの中で、多重に、同時平行的に自分の人生を送れるんじゃないかなっていうふうに思ったことがあります。

 
近藤 僕もそれは凄い実感しています。中学校1年の時に、ずっとパソコンをやっていたんですけども、学校は凄いつまんなくて、辛くて。それで親に、モデムを買ってもらってパソコン通信をやっていたんですね。1200baudっていう、当時秒間120文字くらいしか送れないもので。その時代にパソコン通信に手を出して、北海道から沖縄までかけまくったら電話代が7万円になって、もう親にめちゃくちゃ怒られて、封印されてしまったんですね。

でも、今おっしゃられたようにパソコンの世界がもう1個、自分の人生に別レイヤーができたみたいな体験をして、どうしてももう1回やりたくなってですね、自分でホストプログラムというのを書いてシステムオペレーターをやって、夜中だったかな、運営していたんですよね。所謂現実が辛いときにもう1個のレイヤーを引けるっていうのはSecond Lifeとは違うかもしれませんが、そうゆうのはありましたね。

 
落合 僕はパソコンを始めたのは8歳の時なんですけど、ちょうどその時にWindows95が出てですね、それでおじいちゃんに「Windows95買って」って言ったら、「お、いいぞ」って買ってくれて、で「インターネット繋ぎたいんだけどいい?」ってきいたら、「お、いいぞ」ってなって。

 
近藤 8歳から?

 
落合 はい、8歳からですね。それでその時ちょうど3Dムービーメーカーが出て、それで3Dのキャラがもりもりと動きだしたのが8歳の時なんで、それをから見ても今とやってることはあんまり変わんないなーと思って。NURBS(編注:ナーブス。曲線や曲面をCGで表現するために用いられる数学的モデル)が滑らかに表現できるようになって。

 
近藤 分解度が上がった!

 
落合 そう、分解度が上がったのはありがたいけど、なんかワークフローは昔と一緒だなーと思いつつ、8歳の時から何か進歩したことがあるのかなって思っちゃって。Perl(編注;パール。プログラミング言語の一種)書けないとなーと思ったりとか。

 
近藤 CGIとかね

 
落合 そう、CGIでカウンターつけて超喜んでる…

 
近藤 アクセスカウンターね。あとキリ番とか言ってたよね(笑)

 
落合 キリ番とか言ってましたよね、で、BGMでMIDIが流れる……。

 
近藤 MIDIですか!?

会場 (笑い)

 
落合 そうMIDIです。マルチメディアとか言ってた頃にパソコン始まって、(年齢が)30近い…、なので22年くらい前ですかね。

 
近藤 (PCの体験順としては)杉山さん、僕、落合さんの段階ですよね。んで僕は昭和50年(生まれ)なんで…。

 
落合 僕は昭和62年かな

 
杉山 僕は昭和29年です(笑)もう早く引退させてよって感じで。そういうことを経て、今技術的に少し予測も可能じゃないですか。これからどうなってくかって。さっきのセッションでは2、3年までの未来だったから、もうちょっと先の未来の話をして頂けますかね。

 
近藤 そういえば最近、エストニアに行ったんですよ。エストニアは電子立国と言われてますね。何でエストニアに興味を持ったかっていうと、2014年か13年にあったWIRED CONFERENCEでオープンガバメントとかの話で、ちょうどエストニアの人がその時代にもう電子政府とか、選挙とかもネットで投票できるよみたいなことを喋っていて、面白いなーと思って。

で、最近「e-residency(イーレジデンシー)」という概念が生まれてですね、エストニア人じゃなくても電子国民になれるというものです。ある種のSecond Lifeじゃないですけど、それを国家がやるというのが、すげーなと思って。で、それがネットで申し込めるんですよね。それこそインターネットでフォームをピューっと書いて、パスポートの写真送って、100ユーロくらいをクレジットカードでピッと払ってしばらくすると、メールが来ると。

でも受け取りが大使館なんですよね。結局アナログに戻るんです(笑)

 
杉山 本物の人間かどうか確かめるんだね(笑)

 
近藤 そうそう、それで大使館の人にお会いして、指紋をとられて。で、パスポートを渡されるんですけど。それで、僕は何でそんなことをしてるのかなって凄い興味があって、結局それは何でかっていうと、エストニアの人口って130万人ちょっとくらいなんで、面積も九州くらいで、人が全然いないんです。で、彼らは領土という概念はもういいと考えていて、行政のサーバーも世界中に点在させてミラーリングしているんですよね。その発想が凄いんですよ。

例えば日本が韓国にサーバー置きますとか、日本国がやらないじゃないですか。でもそれを彼らはやってて、それがすげー面白いなと思って。今って個人でも起業できるようになったじゃないですか、落合さんも起業されたし、僕もしたんですけど。それが、もしかしたら50年後には建国もできるようになって、建国ブームが来るんじゃないかと(笑)

 
落合 この前スイスのサンガレンシンポジウムで建国した人いたよ(笑) 「俺、国家元首だから」みたいなことが言えちゃいますね。BBCのハード・トーク(編注:政治家から一般人まで多彩なゲストを迎えるBBCのインタビュー番組)で出てました。

 
近藤 それはもうバーチャル国家?

 
落合 バーチャル国家ですね。でも(バーチャルとはいえ)確か一応面積はあったような気がするんですよね。

 
近藤 領土を持っている(笑)

 
落合 一応領土を持っていたような気がするんですよね。だから国家ブーム絶対は来る。

 
近藤 国家ブームは来ますよね。今まではリージョン、物理的に、土地があるとかそういうのがあったと思うんですけど。そういうのが全部インターネットどこからでも繋がれるようになった時点で、人のほうが大事になってくるのかなと思って。

 
落合 国民の保障はどうするのかな(笑)

 
近藤 そうですよね(笑)

 
杉山 そのエストニアのなんかでいうと、例え制限があったり、他の国が来て土地を取られても、サーバーが残ればエストニア人は残るんですよね。

 
近藤 そもそもインターネット、「ARPANET」(編注:アーパネット。現在のインターネットの原型とされるコンピューターネットワーク)がそういうコンセプトですよね。だからどこを爆撃されても一応通信できるよねみたいな。それの発展系なのかなっていう。

 
杉山 実際問題、どんないいことがあるんでしょう

 
近藤 まず会社が作れるっていうのがあって、それでエストニアはEUなので、EU商圏の中でビジネスができるようになるんですね。これがまた面白いんですけど、e-residencyになってると、エストニアに法人登録が30分くらいでできる。ギネスブックでは10何分とかいってたかな。話を聞いてたらブログ開設のノリで会社が法人登録ができるっていうので、それもなんかすげーなと思って。

 
杉山 じゃあちょっとヨーロッパ相手にお仕事するときは……

 
近藤 エストニアに拠点を置いて。実際Skypeとかエストニア生まれなんですよね。なんで、IRCとかのインターネットリレーチャットとかも、北欧で生まれてて。何でかな、寒いからかなって僕は思ってるんですけど、家から出なくなってある意味結構バーチャルに適している、外に出ても寒いとか、雪が降って出れないとか、そういう時にそういう仕組みがどんどんできていったのかな。

 
杉山 仮想的な感じになってくるということですけども、まぁもう1つはお金も仮想的な取り組みが進んでいますね。

 
近藤 そうですね今「Bitcoin(ビットコイン)」とか、いわゆる暗号通貨とか。

 
杉山 落合さんはBitcoinみたいな流れってどう思ってるんですか。

 
落合 Bitcoinですか? んー、なんかやった方がいいと思うんですけど。簡単に言うと中央集権だとなんか、困ることがいっぱいあるので、非中央集権型の価値って多分あったらいいなと思うんですけど。なんか東洋的じゃないですかそれって。西洋的には、どっかからヒエラルキーで価値を設定する方が嬉しいけど、東洋では参加している人たちが価値だと思っていればそれでいいっていう、それはなんかあるよねっていう。

だってジュリアン・アサンジ(編注:オーストラリアのジャーナリストでありインターネット活動家。ウィキリークスの編集長)とか多分、何百億円かゲットしたよね、Bitcoin高騰で、資産が100万倍くらいになったって話ですよね、そういうようなBitcoin長者を大量に生んだので、今回の仮想通貨の感じは非常にいいなと思います。

だって、WikiLeaks(ウィキリークス)とか、別に主要政府とか、法定通貨を超えた価値がありますよね。だってあれ法定通貨ベースだったら絶対何かにつけて投獄されそうな気配が…(笑)でも社会にとっては必要だから、そういう考え方ってあるよねっていうか、だってAirBnB(編注:民泊仲介サイトおよびサービスの名称)とかUber(自動車配車サイトおよびアプリの名称)とか、もし明日潰れたら超困るけど、別に誰かがICO(編注:Initial Coin Offering。仮想通貨を使った資金調達方法のこと)ベースでまわしてくれれば、別にそういうのはいらないですよね。

なんかICOで調達して、サーバーとって、でそこの見返りとリターンがトークンエコノミーでまわってくれれば、国家によらないし、別に日本で白タクが使えないとかいう問題も突破できるかもしれないし。なんかそういうようなところじゃないかな。だって成田降りたら不通に中国人の白タクが待ってて、中国風には白タク動いてるじゃないですか。

 
杉山 落合さん、実際Valu(編注:個人がVAという疑似株式を発行して取引できるサービス)とかご自分でやってみてどんな感じですか?

 
落合 僕Valuはね、みんなちゃんとValuのトークン還元しようって感じなんですけど、僕は毎週水曜日に朝「Valu放送」をやってるのと明日、なんかオフ会があったりするんですけど、まぁなんか楽しいですよ。なんかサポーター募集って感じがしていいなーって感じですね。

 
近藤 僕も落合さんの10VA持ってるんで、食事会に行ける(笑)

 
落合 あとタイムバンク(編注:時間を売買できるアプリ)も始まったので、タイムバンクも登録したんですけえど、なんかあれいいですよね、ああゆうのいいなと思って。なんというかブロックチェーンオブエブリシングなんですよ。なんて言ったらいいかな。あらゆるものが金融資本化すると、基本的にあらゆるものの信用創造ができるようになるから。無限信用創造の世界観って、僕結構好きなんですよ。

で、そうすると、なんか生まれながらに貧富の差が無い感じになるんじゃないですかね。だって健康な肝臓を持って生まれてきたから信用創造が可能だ、みたいな。これはめっちゃ自分あると思いますよ。この前どっかの国際会議で俺ずっとこの話をしてて、健康な肝臓持って生まれてきたから、信用創造的には彼はもう100億くらいの価値があるって。それはどんな貧民でもですよ。なんかそうゆうような世界観に生まれてきた我々は、今良いと思います。

 
杉山 この話のテーマとして50年後まで話すと藤井先生に言われてしまっていることや、今これから生まれてくる子とか、今若い子達とかには50年後があるから、50年後のことを考えていきましょう。この世界、まさに先端のコンピューターを色々いじくって、色々できる人たちっていうのは、その50年前に比べたら、圧倒的に社会を動かすパワーって実は持ってるわけですよね。

だからこそ、どういう方向に行くべきかって話と、その方向に行くべき後輩とか、例えば今日生まれた子供たちに、何をどう与えていけばそういうことができるのか。人間って結局生まれたまま放っといたら人間にならないじゃないですか。例えば狼に育てられちゃった人とか居たとして、人間界に戻れないみたいなことが起きちゃうからやっぱり、何かをこう、インプットして、自分でもやってみるみたいな。そうゆうことをしないと人間にならないと思うんだけど、今の教育って大きな問題を抱えているって多くの人が思っているだろうし。そうゆうのも含めて話せたらいいなと。

 
近藤 教育でいくと、僕の原体験の話になっちゃうんですけど、結局プログラミングとか、当時はキモがられてて、パソコンいじるとか、ゲームでしょみたいな。小学校の時から、プログラミング打ち込んだり、自分でソフト作ったりしてたんですね。でもそれが女子とかに言えないっていうか。

中学校の時もそうで、電子メールやってるとか言いたいし、将来これみんな使うようになるよってみんなに伝えたいんだけど、先生も理解してくれないみたいな。「パソコンやめなさい」とか怒られたりとか当時してたんで、そういうのをシンクしていくのをどうしたらいいのかなって。課題ですよね。カリキュラムと、今起こりつつあるテクノロジー進化との乖離が凄いあるような気がするんですよね。

 
杉山 そうですね、まぁ、高校まではそういう感覚でやっているところ、世界中でそうやっているところがあるんですけども。

 
近藤 だって僕ブラインドタッチでバーっと打っただけでキモがられるましたからね(笑)信じられないですよね。だって、僕は超クールで見ずに打てると思って高校の時にバーって打ったんですよ、したら女子に「キモっ、気色悪っ」っとか言われて、それ以来パソコンて人前でやっちゃいけないのかなって思って。

 
杉山 凄いトラウマがあるんですね(笑)

 
近藤 ありますよねやっぱり。

 
杉山 したら今は凄い嬉しい?

 
近藤 超嬉しいですね、だからみんなむしろLINEとかやって、女子が。逆じゃないですか僕がチャットとかやってたときはキモがられて、今LINEできないとモテないじゃないですか、こういう手のひら返し感が今後もいっぱい来るんだろうなって。

 
杉山 落合さんはそういうキモがられた経験とかはないんですか?

 
落合 あんまりないかなぁ。

 
杉山 憧れられた?

 
落合 憧れられたこともない……と思います。プログラム書けることで得したことは専門性以外にはあんまりないかなって感じはしますけど。あ、スパム攻撃とかするときには、学校とかに…(笑)

 
近藤 学校に(笑)

 
落合 ランダムに生成した文章で抗議文を送るとか、便利でしたけど。まぁ役には立ちましたかね、昔はそういうことは良かったかな。何か運動会を中止にしたいとか言ってる子が居て、じゃあ中止にするようにメール5000通くらい送って…。小中学生の頃はよくやってましたけどね。

 
近藤 サイバーテロみたい(笑)

 
落合 教育でいうと、さっきまで伊豆の方で文部科学大臣とかが居て、吹き込みまっくといたんですけど、改造と分解と鑑賞ができるといいよねって話をしていて、物をバラバラにしてその後組み立ててちょっと追加して、その良さを愛でる、この習慣? で、これってアートの基本だし、全ての創作行為の基本だと思うんだけど、その癖って小さい頃に身に着けておくと、後々人生がハッピーになるんですよ。例えば、かっこいいホームページだなって思って右クリックして、ソース読んで、ちょっと持ってきて、カウンターぺちゃっと置いてみて、でも丸パクりだと恥ずかしいから色とか変えてみて、MIDIとか流してみてやろうとかバナーの補正とかあるわけじゃないですか。

 
近藤 やりましたねー。

 
落合 でもそれでクールじゃないもの見て、隣の人のクールなものを見ると、こいつクールだなって思うっていう。あの感覚って、めちゃくちゃプログラマーに重要な能力だけど、今のiPhoneアプリってそれ不能ですよね。リバースエンジニアリングできないから。

で、リバースエンジニアリングできるものに囲まれて過ごすってのは凄く幸せなことで、だから逆に言うと今の子はリバースエンジニアリングできることを求めてそうな気がするから、だからマインクラフトとかしたいんだろうなと僕は思うんだよね。

 
杉山 確かに。

 
落合 マインクラフトってリバースエンジニアリングっていうか、デジタル世界でもリバースエンジニアリングできるじゃないですか、だって壁とか割ろうと思えばすぐ割れちゃうし、ツルハシがあれば、あの感覚ってたまらんだろうなと。

 
近藤 なんか物を学ぶ時ってバラしてると思うんですよね、分解して変化部を楽しんで学ぶ…。僕もそうだったんですけど、おばあちゃんがテレビをバラバラにさせてくれたり、それこそプラグラムも解けないゲームのソースコードを改造してModしてクリアしたとか、触って覚えてますよね。だからそういうのがどんどんブラックボックス化されてるのはそうかもなと思います。

 
落合 僕iPhoneでスケッチアプリとか良く使うんですね。で、背景とペン先が気に食わなくてこれならどうせ画像データとか入ってるんだろうなと思って、ソースを出して、ペン先とかを変えてたんですね。それをツイートしてたら、「どうやってその機能を追加したんだ?」って本人が取り上げてくれて、その機能が次のバージョンから付いたんですよ。方眼紙とか無かったから。

で、そういうのとかやってると、なんか古き良きプログラマー達はそうやって反応するけど、今って何か規約で禁止されてたりとか、ちょっとそこを開けてあげないとデジタル世界ってこれ以上はブラックボックス域を出ないんだろうなと思ってて。だってその管理をアップルがめっちゃ簡単にしてくれてるけど、でも改造不能ですもんね、アプリって。

 
杉山 なるほどね、みんなでもっといじくりまわせるような。

 
近藤 リバースエンジニアリング推奨みたいな世界。

 
落合 ブロックチェーンに期待してるのはそこなんですよ、だからAppStoreとGooglePlayのものからパッと出てくるものじゃなくて、ブロックチェーンでSkypeみたいなプロトコルみたいなものをやるやつとかあるじゃないですか。

それに例えばブロックチェーンの上で使えるようなOS管理だとか、アプリ管理みたいなものがちゃんと出てくれば、そういうリバースエンジニアリングしても、ちゃんとできるようにはなると思うんですけど。誰が改竄(かいざん)したかわかってるからね。

 
近藤 そうですね。

 
落合 いい感じにGitHub(ギットハブ)と密接にやれるコミュニティがあれば、どんな子でもいきなりプログラミングできるようになるんだけど、今の偏った二極体制だと成立しないから、革命を起こしましょう! だってダメでしょ? あのプラットフォーム環境だったら、人間のプログラミング能力ってもう頭打ちですよね。

 
近藤 与えられたものしかできないですね。

 
落合 Googleの社内にいる人達の全体総量を超えないですもんね、いつになっても。それじゃあ僕らはやっぱりダメだって思ってて。だって、エンジニアの賃金無限に上がっていくから、カリフォルニアの人も困るはずなんですよ。要は社内で囲まなきゃいけないから。全員プログラミングできる世界なんだから、もうみんな頑張ればいいのにってちょっと思うわけで、なんかそれを深セン(編注:中国広東省にある都市。世界屈指のIT拠点となっている)辺りから破壊しに行くっていうのは、殺されるかもしれないけど楽しいですよね。僕は期待したいなアジアの時代に。

 
杉山 アジアの時代に?

 
落合 うん、誰かBitcoinで得た500億円くらいをポイって寄付してくれる人がいれば、戦えそうな気配を感じてるんですよね。

 
近藤 ICOで?

 
落合 そう、ICOで。

 
杉山 これからの戦いって意味で、落合さん…、落合さん最近講演ばっかりでいつ寝てるのか心配になるんだけど。

 
落合 それ実は…、あっ、ちょっとやばい、言っちゃいけないことを言うところだった(笑)

 
杉山 (落合さんが)教育系のシンポジウムに出てたときに、今教員として学生に教えてる立場だから、4つ同時に勉強してつけてあげたいんだよって話をしていて、1つがサイエンスで、1つがデザインで、1つがエンジニアリングで、もう1つ最後にアートだったんだよね。この4つを全部身につけてグルグルまわさないと新しいこと生まれないみたいな話が出てたと思うんですけど、その辺ちょっと説明して頂ければ。

 
落合 そうだな、どこから話そうかな、みなさん駅弁リバースエンジニアリングしたことあります?

 
会場 (笑い)

 
落合 あの、大阪駅とかで駅弁死ぬほど売ってるんですけど、あれを10個くらいピックしてパカって開けると、君は日本海のカニなんだけど、こっちでは瀬戸内海のカニって言われてるねみたいな。で、このイクラは北海度から来たはずなのに、こっちでは日本海のイクラだって言われてるね、みたいな。同じものだよね、みたいなものが大量にあるわけですよ。

つまり、モジュールをひたすら組み合わせたやつを雰囲気でパッケージに日本海の絵を書けば、日本海の食い物になるんですよ。大抵の弁当はそうですよ。最近で一番面白かったのは、「海苔弁おにぎり」っていうのがあって、海苔弁当にのってる揚げ物をおにぎりに巻いておにぎりとして売ってて、下に海苔弁を売ってるんですよ。君はこういうモジュールの世界なんだねみたいな。

で、コンビニで売ってるオレンジジュースって、着色料抜いたら透明なオレンジジュースができるじゃないですか、「〇〇の天然水」系って全部そうじゃん。っていうことは世の中のほとんどモジュール製品でできてて、モジュールとモジュールの組み合わせで適当なイメージをくっつけることによって、ありがたがるっていうのが、世の中の工業製品の基本だと思うんですけど。あれを突破するにはアートをやらないとわかんないんですよね。

だって普通にオレンジジュース飲んだら、オレンジジュースの味じゃないですか、あれオレンジの味じゃないですよね。で、絞ったオレンジジュースの味をわかってる人からすれば、あれはオレンジ風飲み物として愛でるのが正しいのであって、オレンジジュースではない。で、アートって本当のオレンジジュースを作り続けることを常にやることだから、そこに出てくる雑味だとか、賞味期限とか、そこから出てくる何かっていうのはもの凄く大切なんだけど、でもそこでみんな香料付きオレンジジュースで満足する世界になったら、創作意欲も興味もわかないじゃないですか。モジュールとモジュールを組み合わせただけの世界だったら創作意欲も興味もわかないじゃないですか。

確変が起こったらモジュール一気に組み替えてお金儲けしようぜって人だけになっちゃうから、この世界は徐々につまらなくなってしまうので、それはアートが必要と。でもデザインって超重要でモジュール作れないとそういう仕組みってわからないじゃないですか。いつまでたってもオレンジを手で絞ってたらそれは原始時代なので、それは桃の天然水にも凄い価値があるわけですよ。逆に言うとそういうサイエンティフィックにそれを定量化する必要もあれば、それを工法に落とす必要もあって、その4つの枠組みって、現代社会においてはイノベーションをつくる上では最も重要なサイクルなんですよね。なんだけど意外と教育機関ってアートとデザインを教えるところもあるし、サイエンスとエンジニアリングを教えるところもあって、サイエンスとデザインとエンジニアリングはギリギリあるけどアートはないんですよね、大体。

 
杉山 ないですね。

 
落合 その人達はあらゆるものをシンプルに変えて、よく最近見たものをツルっとした表面に変えたりするんだけど、でもそれって雑味が無いんで、あんまりおもしろくないみたいな。そういうのを繰り返すと縮小再生産になってしまうので、そうじゃない人材を育てようと思ってやってますね。チーム戦が基本です。

 
杉山 その感覚で言うと、そこで言っているアートっていうのは、ほとんどの人は自分じゃできないって思い込んでる人が居るし、だからこそ出ないと思うんだけど。

 
落合 でもGOROmanさんがキーボード叩いてキモいって言われるものアートですよね。

 
近藤 アートですね。アート体験(笑)

 
落合 誰かの心をザワつかせてしまう(笑)

 
近藤 エモいですからね

 
落合 そう、エモい、エモくてキモい

 
近藤 僕はクールだと思ったんですけど……。

 
落合 アート過ぎてそれを見た女の子には嫌悪感が……。

 
近藤 早すぎました(笑)

 
杉山 そういうことも含めてアートだってことがみんなにまだみんなに伝わってないから。この4つって凄い大事で、その時もそういう状況って教育でできるのかな、学習でできるのかな、違う方向でできるのかなっていうような問いがあったと思うんですけど、その辺はどうですか。

 
落合 さっきの改造癖と分解癖と鑑賞癖ってやつをちっちゃいうちに身に付けさせないと、物を無秩序に分解するような人間にはならないから、なんか制約的になっちゃうんですよね。僕はそういう人を上手く育てたいなと思っているんです。

なのでそういったものを徹底させるのと、ひたすらサイクルをやらせるっていうは凄く重要で、ウチのラボに行くとリジェクトの数みんな超稼げるんですよ。みんな論文1年間に10本とか送るから、リジェクトの数は稼げる。でもその自分で書いたダメ論文を読んでくれる査読者にもっと謝っとけってですね…。恩を貰ってるんだから、お前が大人になったら他人の論文もたくさん査読しろよって言ってるんですけど。でもそれはエコシステムで、そういうことをすると、業界は増えるんですよね、そういうことをちゃんとやりたい考え方っていうのがないとアカデミックとか、コントリビューションベースの社会ってまわらなくて、全部ブロックチェーンになってもチェーンメンテナンスする人も、マイニングする人もいないとまわらないから、そういうところをちゃんと考えるうえで、他人に迷惑をかけることが大切です。つまり、他人に借りを作れば返さなきゃいけないなと思うので、駄目な論文をひたすらサブミットしろと。そして大人になったときに駄目な論文に丁寧なレビューを返せって、いつも言っています。

 
杉山 そこまで教育してるんだなと思って、いいんですけれども、もう1個のお題は50年後だから、落合さんも80歳になるわけですよ。

 
落合 生きてないですね(笑)

 
杉山 ホントに!?

 
落合 わかんない、でも50年後のVRとかってバーチャルとか言ってないんじゃないかな。

 
近藤 今インターネットとかあんまり言わないですし。

 
落合 インターネットって言う代わりにブロックチェーンって言ってそうな気配を僕は感じてるんですけど、なんかそれも言ってなさそう。この前小学校で講演したときに、「メディアって何か思いついたら手を挙げて」って言ったら、「テレビ」「カメラ」って言ってた人の横で凄い発音よく「ジ・インターネット」って言ってた子がいて、その時俺たまんねぇなって思っちゃって。つまり多分メディアの感覚が僕らは有形無形に関わらず、なんかイメージできてるけど、50年後はそんなことも言わないような気がしてて、そういう世界観に移行したら超面白いなと思うんですけど。

 
杉山 多分何でも現実みたいになっちゃうのかな。

 
落合 なんでもかんでも現実みたいに見えると思いますよ。

 
杉山 現実に感じるし。

 
落合 でもその世界でオレンジジュースを生絞りする良さを伝えるなかなか大変ですけどね。

 
杉山 でも、だからこそ生絞りに一生懸けますみたいな人間も現れるかもしれない。

 
落合 そうですね。俺ブロックチェーン農園とかにね、暮らしてる人が凄い居ると思う。

 
杉山 その島のその人会わないと本物の手絞りの味を味わえないみたいな。

 
近藤 基本がバーチャルで、リアルに凄く高くなってるみたいな。ブルジョアジーのものみたいな。

 
杉山 全てが普通にバーチャルみたいな。

 
落合 肉眼でGOROmanさんを見ても美少女にしか見えないみたいな。でキーボード打ってると、みんなが「スゴイ、カワイイー」とか言ったりして(笑)

 
近藤 そのころきっとキーボードじゃないでしょ、50年経ってまだキーボード打ってるのかな。

 
落合 ごめんなさい、僕予言します。50年経ってもまだキーボードを打ってると思います。全然打ってると思う。

 
近藤 キーボード最高?

 
落合 いや、キーボードは全然嫌いなんですけど、でもキーボード打ってそうで超怖いんですよね。その時キーボード打ってたら、人類は生まれながらに指が無い方がいいって僕言うと思います(笑)「このせいでキーボードを打ってしまう!」とか言って。なんか全然違うモジュールに変えた方がいいみたいな、指先にUSB5本付いてた方がいいみたいな。

 
杉山 攻殻機動隊に出てくるやつを見た時は便利だなーっと思いましたけどね(笑)(編注:攻殻機動隊で登場するオペレーターのこと。指先が複数に分離し、高速でタイピングを行う)

 
近藤 分離しますからね(笑)

 
杉山 どうですか近藤さん、50年後は。

 
近藤 50年後ですか。僕も死んでると思うんですけど、死んでないようにしたいっていうのはあります。例えばその頃のSNSで「りんな」(編注:日本マイクロソフトが開発したAI女子高生)みたいにして、実際に死んでるんだけど、自分のツイートとかSNSの投稿をし続けてみたいなーと思います。

 
杉山 それね、僕にとっては凄いリアルで、いい加減でもどうにかなる年齢じゃないですか(笑) でもデジタルハリウッド大学は僕が作った学校だから居た方がいいとも思うんですが、それは銅像なのかって?

 
近藤 この時代に(笑)

 
杉山 でもそしたら院生達がAIでやれればいいなって。個人のパーソナリティーは要らないわけですよ。学長としていつもこういう態度だ、みたいな。こういう世界観でだって言い続ければいいわけだから、このぐらいのAIはすぐ作れますって言われて、じゃあすぐ引退できるなって(笑)

 
近藤 ジョイ(編注:USJのジョイ・オブ・ライツ。抽選で選ばれたメッセージをプロジェクションマッピングで映し出す)みたいに投影されたらいいんじゃないですか、常にデジハリに(笑)

 
杉山 うちみんな3DCG得意だから、完璧に作ってくれると思うんだよね。

 
近藤 コンペみたいなね。

 
杉山 そうやってずっと居れば、後世に少しはお役に立てるかなーと、デジタルでいけば残る。

 
近藤 銅像ってきっとそういう目的で作っているんでしょうね。

 
杉山 二宮金治郎見ても、そういうことねって思うのと同じかなって。

 
落合 なんか、銅像とかいいっすね…(笑) 僕今、ぼーっと考えていたのは、日本はあと50年したらハッピーな国になると思っていて。今日本の人口が減ってるじゃないですか。で、僕らの結論は人口は増やすより減らした方が最適であると気が付いたことだと思うんですよ。

つまり我々日本列島には人が多すぎるし、別に居なくても困らないからみんな子供を作らない。それって結構重要な最適化だと思うんですよ。インターネットに接続した日本人は最適な人口になろうとしているっていう。で、日本が今抱えている問題って、全部テクノロジーで解決できそうな問題しかないんですよね。例えば投票に若い人が参加しないって言ってますけど、ネットで投票できるようにすればいいじゃんとか、少子高齢化の高齢化なんてテクノロジーで解決する最たるものだし、少子って子供の面倒見るとかそんなのブロックチェーンとUberで乳母が来るみたいな(笑)

 
近藤 乳母Uber(笑)

 
落合 乳母Uberが来ればいいわけなので

 
近藤 商標取った方がいいんじゃないですか(笑)

 
落合 あともう2、3個あるとしたら、国防とかなんですけど、ぶっちゃけ国防ってロボ兵が攻めてきた外国人を破壊すればいい話ですよね。倫理的に問題なのは、相手に攻め入ってロボ兵が相手を倒したらそれは虐殺ですけど、防御壁にガンダムが立ってて、それが飛んでくるものを壊してる分にはそんなに悪いことをしてる気は僕はしないんですよね。正当防衛だし。

そういうような価値観で考えると、今日本が持ってる弱点は大抵テクノロジーで補強すればなんとかなると思っていて、その時みんな意外と二宮金治郎の銅像とか見てるのかなって思って。何でかっていうと、その日本人の考え方は全部ここ2、300年にインプリントされたやつで、鑑賞可能な状態でアナログに残ってるものの価値ってもの凄く高そうで。

それを守るために国家を全部解放するのかとか、逆に国防するのかって2択で、「銅像がね、守れるからね、国防は重要だよね」とかフィジカルなものの価値を守らなければ、行政フリーにしてブロックチェーンにしても、俺達なんか「やーめたっ」っ言えればいいんだけど、多分そうはならないから。その間の価値ってなんか面白いなって思って、ハードウェア保存してそれをテクノロジーで守るみたいな、設定の仕方って問題設定がおもしろいなってちょっと思ったんですけど。

 
杉山 確かにアメリカの南部でリー将軍の銅像を壊すとか残すとか、という時にそういうことを感じましたね。丁度お2人はお子さんを持っているかと思うので、最後に子供達が幸せになるにはこういったことをしなきゃいけないなみたいな思うことがあると思うんだけど、今後子供達はVRみたいなもの社会でどんなふうに使っていくのかなって。

 
近藤 そうですね。教科書とかVRで体験学習できたらいいなと、歴史とか関ヶ原の合戦とか本能寺の変を体験できるとか。文字で学んでいたのを、一瞬の体験で効率よく学習できないかなとか。

 
杉山 落合さんはどうですか

 
落合 僕小さい頃、月曜日に隣の家に住んでる画家の人から絵を習ったり、火曜日はピアノを教えてくれるおばあちゃんが毎週来てて、水曜日は東大の大学院生が来てて、毎日違う家庭教師が来てたんですよ。で別に保育園とか行かないみたいな。でそれって今なら凄い低コストで実現できるんですよね。ピっとマッチングしたらプっとすぐ来てくれるみたいな、そうゆうようなものをすると、一律教育しなくても育てられると。だってギリシャ時代って家庭教師で人間育ててたでしょ。王宮の家庭教師としてソクラテスをーみたいな。そういうような世界観になるわけですよ、多分。凄いスーパーお金持ちもですよ、GOROmanさんを呼び出して……

 
近藤 全員タイムバンク状態(笑)

 
落合 GOROmanさんの2時間を100万で買ったらしいぞ、みたいな(笑)

 
近藤 それはおもしろいですね、なんか召還教育みたいな。

 
落合 僕もきっと召還されるだろし、でもそういうような教育スタイルをちっちゃい子に施すことができると思うんですよ。だから最近タイムバンクをマジでよく見ていて、このストレッチを教えてくれる人って、1時間5万円なんだ安いって思ったりとか、意外といけそうな人達ってどんどん出てくると思うから、そしたらあてがってやるといいと思います。

 
近藤 あれもある種のシェアリングエコノミーですよね。

 
落合 そう、シェアリングエコノミー。もうちょっとコストが安ければ、毎日違う人が雇えるなと思って。そういう教育って実は学校行かせるよりいいなって思って。学校行かせるとコミュニケーション能力は身につくかもしれないけど、一律のモジュール教育とプロダクト教育じゃないですか。工業製品教育なので。きっとオレンジジュースの味がわからない人間になっちゃうから、毎日違う変な大人に会わせるのがいいんじゃないかなと思って。若手パパさん仲間で5人くらいでタッグ組んで毎日誰かが預かるみたいな。

 
杉山 ここらへんの人が知り合って子供を全員で教えたらそれだけで…

 
近藤 すげーやばい子ができそうですね(笑)

 
落合 超音波が見えるとかいって(笑)

 
近藤 Xmenみたいなやつが出てくるかもしれない。

 
落合 過度に期待はしてないですけど、ただプロダクトライクな子供の育て方っていうのはやめようと思う。

 
杉山 ということで時間になってしまいまして、最後はお子さんの話まで及びましたけど、50年後是非みなさんも元気にVRの世界を楽しんで頂ければなと思います。これからもVRの発展にこのメンバーで尽くしていきましょう! ありがとうございました!

 

全てのセッションが終了し、イベントの終了後には登壇者を集め記念撮影を行った。VRCカンファレンスのウェブサイトでは当日の動画や写真も閲覧できるので、イベントに来れなかった人はそちらで会場の雰囲気を感じることもできるだろう。

 
 
*VRCカンファレンス2017のレポート記事まとめはこちら

 
(TEXT by まぶかはっと

 
●関連リンク
VRCカンファレンス 2017

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