SCE吉田氏が語る、VRが普及するために必要な2つの課題とは?
リードエグジビジョンジャパンは1月13〜15日、東京ビックサイトにて展示会「ウェアラブルEXPO」を開催中だ。14日には「VRが可能にするゲームの未来」と題した特別公演に、ソニー・コンピュータエンタテインメントのワールドワイドスタジオプレジデント、吉田修平氏が登壇。PlayStation 4向けVRゴーグル「PlayStation VR」(PS VR)の特徴やVRの可能性について約1時間語った。
中でも興味深かったのは、「VR普及のための今後の課題」というテーマだ。
吉田氏は「非常に大きな課題がふたつあります」と切り出し、まず体験したことがない人に伝えるのが難しいことを指摘。その解決手段として、「実際に触った人を増やしていくのが非常に大事。今年は体験機会をたくさんつくっていく」と提案し、3月2日から日本科学未来館で実施する企画展「GAME ON」を例に挙げていた(関連記事)。
加えて、「暗くネガティブな感じではなく、みんなで楽しめて、人と人とのつながりをより強くするメディアというイメージづくりも大事だと思います」と強調していた。ちなみにスライドに書かれていた言葉は「体験、体験、いい体験!」。
もうひとつの課題は、コンテンツの品質だ。PS VRやOculus Rift、HTC Viveなど、ハイエンドよりのVRゴーグルはいずれもハードウェアとしては品質の高い体験を届けられるようになっているが、肝心のコンテンツのできが悪いと気持ちのいいVR体験が生まれない。
吉田氏は「VRでは、画面の向こうにゲームの世界があるのではなく、プレイヤーがその中に入ってしまう。これはゲームを何十年作ってきた人でも初めての体験で、デザインのために学ぶことが多い」とコメント。デベロッパーとノウハウを交換していくことで、VR業界全体でいいコンテンツをつくっていくことが重要だと語っていた。こちらのスライドには「コンテンツ、コンテンツ、いいコンテンツ!」と書かれていた。
ちなみに、Oculus RiftやHTC Vieと比べたPS VRのメリットについては、「比較的安価」と「規格が統一」という2点に触れていた。
前者については、「家庭用ゲーム機は、同じハードウェアを5〜10年の間ずっと作り続けるので、ハイエンドのコンピューターでも比較的安価に提供できる。PS VRでも120fpsの有機ELなど、クオリティーの高いコンポーネントも採用している」とコメント。
後者については、「ユーザーが持っているハードの仕様がすべて同じということは、デベロッパーが発売前に確実にユーザーと同じ環境でテストできるということ。いろいろなパフォーマンスのシステムが混在するPCやモバイルでは、より心地のいいVR体験を保証するのは技術的なチャレンジがある」とメリットを強調していた。
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